ビューフォート風力階級というのは
煙突の煙がまっすぐ昇るなら風力0で
風向き程度にたなびくなら1
木の葉がそよそよしてるぐらいは風力2で
小枝までゆらゆらなら3
といったやつです

風に ....

掃除をすると
部屋の四隅から
無限に白い米粒が出てくる
表面は乾いて
埃にまみれて
まるで
昔わたしが産み落として
そのまま捨てた卵のようだ


遠くに見えるラブ・ホテルの ....
  星はかつて人で
  海はかつて宇宙で
  ぼくはきっと蟻んこで
  きみは
  きっと
  かみさまで







   (命の軌跡をなぞるその指先が)
 ....


飲みさしのコーヒーの中に
砕けた夏を発見した
掬い上げようとしたら
逃げるみたいに砕けて沈み
底の方で銀色に光っている
人差指でかき回すと
跡形もなく溶けてしまった

 ....
 
命と
命ではないものが
同じ重さで
釣り合ってる

木陰で呼吸しながら
人はもっと
賢く生きていけた
 
午後、砂利道は続く
消しゴムでは
届かないところへと
 
かなしい
かなしい

と思っていると
なにをかなしいと思っていたのか
わからなくなってしまった
返事を期待しないきみのなまえを
部屋のそこここに置き散らかしたまま
 ....
砂浜のない水たまりがさみしくて砂時計から補充した陸



さようなら ― もとは接続詞なのだから ― 悲しむ理由はどこにもない



「リコーダーを縦笛とよぶ日 ....
くしゃみをひとつする、と
私たちは地球儀から滑落して空に溺れる
あの日グラウンドから送った影は
手をつないだまま鉄塔に引っかかっていて
捨てられたビニールのレインコートのようだった

バス ....
こんなふうに暑い日が続くと
思い出すことがあるんだ
外には夏の光が溢れて
田圃の青も
入道雲の白も
痛いくらいにくっきりと鮮やかに立ち上がる季節に
俺はただ
泳ぎたいだけだったのかもしれ ....
夜明けとともに
目的もなくふらふらと
外を歩いてみる
そこの夏は冷たかった

葉の上の雫に触れ
その一瞬にしかない冷たさは
手のひらの中で
やがて消えてゆく

川のせせらぎの音も
 ....
夜の列車から見るその風景は
何も動いていなかった
駅を出発してから
ずっと走り続けている
次の駅はもうすぐなのだろうか
それも定かではない
四人がけの座席に
自分だけかぽつんとだけ
窓 ....
お父さんが紙をつくってる
つくった紙を僕が並べていく
それがお父さんの廊下
なんだか淋しいところだね、と言うと
お父さんは土を持ってくる
足りないので
何回かに分けて持ってくる
だからお ....
未来と希望がついにかつての方角に行ってしまった
自分たちのことを、あまりに抽象的に語る若者たちに辟易したのだという

「僕たちはもっと実体を持った形而下的存在だ」と未来が苦虫を噛み潰したような表 ....
              2000/01/08
素敵なニヒリズム
笙の笛
名も無き馬が
オホーツク海の
放牧場で草を食む
食べ飽きて海を眺める
凪いだ海面は鈍く光り
濃紺の海が見つめ ....
おかあさんの肖像画は
ひきだしの中の一番濃いえんぴつで
曲線をつかって描くの

まぁるくまぁるい
頬や、腹や、てのひらを、
言葉や、仕草や、表情を、
やわらかい筆先でよびおこす


 ....
おまえの乳房の形をたどって
月が闇に向かって死んでゆくぜ
ほら
見上げなよ
あんなにも
雲と星屑に讃えられて

死んで
このふしだらな世界からいなくなっちまうなら
 ....
まだらな夕焼けが
きりっとした一本の藍色に
移り変わっていく、その頃
帰り道のファミリーレストランに
今日も大きな桃のネオンが点る

今日はごめん、どうしても
僕には行くことができなかっ ....
庭で子どもたちが泣いている
ちいちい ちいちいと泣きながら
翼をぱたぱたさせている
それだけで 私ももらい泣く
私は狂ってしまったんだと思いながら泣く

そして何を悲しんでいたのか わから ....

魚は酸素を知らぬだろうか
暗い水辺に輪を描いて
あんなにも深く潜ってゆく


飼育係は放課後に
飼っていためだかを流してしまった
閉じ込められてるのが
可哀相だったって
 ....
生きるのは/疲れましたと祖母が言う/空に刺さった冬の三日月

死にたいと/言えてしまう程わたしは自由/くたばることの出来ない自由

黄昏る/冬の寂しい路地裏に/孕んだ放火魔が火を産み落とす
 ....

林檎は何時でも
小気味よい音を立てて
裸になってくれる
こんな女の人がいたらいいなと思う
十月の昼間は少し暑くて
隣家から
おもいっきりテレビの音声が聞こえる
シンクには
小腸み ....
鏡の迷路で 
みうしなったら
うしろむきに 夜の
斜面で 滑ってみましょう
こわれたのが わたしです
{ルビ埃=ほこり}がかったランプの下 
赤{ルビ煉瓦=れんが}の壁に{ルビ凭=もた}れ
紙切れに一篇の詩を綴る 

クリスマスの夜 
遠い昔の異国の街で 
一人の少女が売れないマッチに火を ....
死が芽生える時刻は
まよなかだけではない
少年の空想の内でも

子を産むこともまだ知らない
子宮の中に 細胞
は もう芽ぶいていた
医者が論文を書いている間に、
家族が茶漬けを食ってい ....
お前にそっくりな
ひよこ豆をゆでる

おまえにそっくりな
ちいちゃな鉤鼻と
これまたおまえにそっくりな
ちいちゃなおしりがついている

圧力釜なら早いが
ああ、
それはぜんぶお ....
#01

 心臓が
 とまっちゃうほど
 うれしい
 なんて
 恥ずかしくって
 心臓が
 とまりそうだよ



#02

 いつかはこの魔法が
 解けると思ったら
  ....
上京した弟が半年ぶりに戻ってくる
迎えに行くついでに挨拶に立ち寄った
離れて暮らす祖母の家
久しぶりに二人が我が家にやってきた

今夜はすき焼きとお寿司
コンビニ弁当とファーストフードには ....
目が覚めたらベッドにいたと言う方が
目が覚めたら浴槽にいたと言うよりも
自然なように
あなたの微笑みは
驚異的に自然だ

あなたは別れを告げに来たんだ
というのが今朝の大発見

乾い ....
ドビュッシーを聴く
なんとなくの気分で
なんとなくの夜
泳いでいると ちくり
ふいに

音楽が死んだらきっとかなしい
なんておもってしまって 私

父が
美意識の問題だね
といっ ....
 売れ残った雑草区画の向こうに
 陽が落ちようとしている。
 今日は赤い平面円盤ではなく50億歳の核融合球体だ。
 50億年前に地球は無かった。
 50億年後に地球は無い。
 単層の光の輪の ....
小林 柳さんのおすすめリスト(99)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
夜のビューフォート風力階級- 海里自由詩8*08-9-21
家事- 吉田ぐん ...自由詩1908-9-12
星はかつて人で- Affettuoso [ ...自由詩10*08-9-10
夏の終わり- 吉田ぐん ...自由詩1808-8-23
ペーパー・シープ(命など)- たもつ自由詩608-8-15
かなしい、かなしい- ________自由詩3*08-6-9
【短歌祭参加作品】グッド・バイ- 簑田伶子短歌24*08-3-18
青を、- Rin.自由詩3008-2-18
夜のプールサイドで君は- ふくだわ ...自由詩307-8-15
冷たい夏- ぽえむ君自由詩23*07-7-24
見えない車窓- ぽえむ君自由詩6*07-7-21
スケッチ- たもつ自由詩1207-6-3
未来と希望- シリ・カ ...自由詩1*07-4-1
笙の笛- あおば自由詩7*07-3-26
肖像画- 有希自由詩707-3-24
花々- 水在らあ ...自由詩27+*07-3-19
桃と月- シリ・カ ...自由詩2*07-3-12
庭で子どもたちが泣いている- 若原光彦未詩・独白12*07-2-9
飼育係、或いは荒廃- 吉田ぐん ...自由詩1506-12-14
考えるのは生死について、そればっかり- 吉田ぐん ...短歌2406-12-1
所感- 吉田ぐん ...自由詩1806-11-1
そろもん(鬼ごっこの話)- みつべえ自由詩406-10-22
詩ノ灯- 服部 剛未詩・独白10*06-9-13
鳥とともに- nt自由詩5*06-7-17
ひよこ豆- 水在らあ ...自由詩20*06-6-16
フラグメンツ(リプライズ)_#01〜10- 大覚アキ ...自由詩10*06-6-9
時計の針は戻らない- 和泉 誠自由詩3*06-1-1
極端に正確な朝- たかぼ自由詩605-11-29
父の美意識- 簑田伶子自由詩14*05-9-30
夕陽- あるふぁ自由詩205-8-11

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