かなしいときに
ねぎを刻む

そういう物語があったけれど
わたしはじぶんがじゅうぶん青くさい
ことにへきえきしているから
ことさらに平気な顔して大根を刻む
まっしろな朝、まっしろな腕 ....
薄青い空を
魚のかたちの雲がとんでいる

空には魚がいる
空は生きている

海はみえないけど
生きてる波が暴れてるだろう

いきものは
どこにでもいるだろう

私の目と
脳内 ....
僕の住む街の近くに
緑の草におおわれた丘があって
その頂には飛行船のなる樹が立っている

枝々に
最初は小さな小さな 飛行船がぶらさがって
そして日に日に 少しずつ大きくなってゆく
その ....
古の血は続いて来た この私に
終りを告げるのは、
ひとつの影の透けた暗さ。
私と同一に
よみがえることはない原子へ返る

風死す
広い家の縁側で、うちわをあおぎ
真っ青な空を
玄 ....
18になったら
黒いロングコートを買うと決めていた
ファスナーを勢いよく
心臓まで引き上げて
これでまた
心にひとつ鍵をかけた

冬になるとみんな
前かがみで、早足で
なんだか街はい ....
かえり道
ひる間の道路で
失神した

ことばを
ていねいに
編みすぎて
くちは
どこかに
縫い込まれてしまった

おい、猫
わたしたちは
やさしさが
足りなかったな
 ....
ふと覚めて梨の皮剥く午前2時 自動販売機のコイン投入口に
すいこまれていく女の人をみた金曜日の夜
ポッケの底のおつりの枚数をかぞえていた
裏面をやさしくなぜながら
口当たりの良い絶望味のコーラをぐびぐびのんだ

昔乗用 ....
五歳が
小さな手で拍手すると
泡がわれる音で
リズムがはじけて
色とりどりの
風船のいぬが連なって走り出す

お子さまランチのイギリスの旗は
ご飯の上で頂上を知らせ
倒れる直前にその ....
 
 
ははににたろうばが
えきのまえにすわってる
ちいさなリュックひとつで
このひとにも
かつてしあわせなひびがあったのだ
としったのは
わたしがこえをかけたからだ
それだけでわた ....
俺たちはもうそんなに遠くへは行くことができない
俺たちにはもうそんなに力が残ってはいないし
それにもうじゅうぶん遠くまで来てしまったから

石段を降りた水面の高さから
今度は二段昇った水の上 ....
白く 夏が終わりはじめている

僕らのいるこの部屋も

白い宙になかば浮いたカプセルみたいだ

窓の遠くから

世界の破片で遊ぶ子どもたちの声が

聞こえる

その声もなんだか ....
8時20分過ぎ
小洒落れた賃貸マンションの前に幼稚園のバスが来て
長男を送り出すと
夫婦はベビーカーを押して通りを渡り、家へ戻る
梅雨明けが発表された翌朝
アスファルトは早くも紫外線を乱反射 ....
あの店がつぶれてしまう
あの店がなくなってしまう
あの子といっしょに行ったのに
楽しい会話があったのに
つぶれてしまう
空き地になってしまう


絵本のなかの夏に遊び
ソーダ水の ....
 同じ筋に住んでいた同級生のM.Y.ちゃんの家が燃えたのは数年前、私たちが大人になってからのことで、Yちゃんの父親が亡くなって半年も経たないうちのことだった。幸い家は留守中でYちゃんの家族は皆 ....  ある夜のお仕事帰りに駅から自宅までの道を原付きで走行中、前を走るタクシーの後ろのバンパーに貼られたイエローのステッカーの『夏の交通安全運動実施中』という文字をなんとなく眺めていて、そのステッカーが『 .... ゆうだちに窓にはりつく蛾を迎え

てっぺんをあかるく染める夏至の月

梅の実と氷砂糖がからと鳴る

紫蘇の葉に赤く染まるる指の香よ

梅雨寒の肌と肌とで温みあい

蛇の子の細くすず ....
 
 
わたしが金魚の頭を
撫でているころ
ぼんやりとした扇風機は
薄暗がりの中で首を振り
幼い子どもが一人
どこかで帰る家を探している
ここだよ、と言っても
それはきっと
ただの ....
梅雨の晴れ間に猫がひなたぼっこ

じめっとした空気の中で
さらっとした表情で
陽だまりの
あたたかい記憶を抱いて

梅雨の晴れ間に猫がひなたぼっこ

小さく動く前あしで
水のない空 ....
 
 
泡がうまれ
浮かんでいって
はじけて消える
泡が泡として存在した
一瞬のいのちが
空中へ放たれてゆく

窓のそと
にゅうどうぐも
夕立がくる
ひとり
またひとりと
 ....
姿の無いものの気配がする
ガラス戸が小さくカタカタといって
何処か遠くの出来事を伝えようとしているのか
本当のことは良くわからない

日常の大部分は
そうやって解体されることなく消化される ....
 
夕方の公園で男が一人
ブランコをこいでいる
くたびれた感じのスーツを着て
サラリーマンのようにも見えるけれど
首から上に頭は無い
代わりに
水の入った水槽が乗っかっている

水槽 ....
世界は二頭の象が支える巨大な円盤ではなく
真空に浮かぶ球体にかろうじて貼りついている
ざらざらとした薄い膜に過ぎない
と知った日から君は
旅に出る必要がなくなってしまった
それなのに
果て ....
明日、地球が滅亡するから
 
賞味期限が切れそうな
冷凍チャーハン食べて
美容院と歯医者の予約はキャンセルして
会社の苦手な先輩に
「明日の歓迎会どうします?」
って念のため確認とって
 ....
私は東京の人になった
東京の人は傘をさす

おちてくるものから身をかくし
熱の拡散を厭うている



私は東京の人になった
どこへ行ってもだいたい
東京の人だと思っていたが
ここ ....
半分

どんなおじさんにでも
その時だけ恋をしてしまう女の子がいる
父の日にプレゼントを贈り続ける女の子がいる
おじさんとセックスしてお金を貰う女の子がいる

半分お金で半分趣味らしい
 ....
なあ、はじめ。
知ってるか。


お前がずいぶん毛嫌いしている、チンピラの田口は
将来お前なんかより良い父親になるんだ
それはもう驚くほど家族思いの良い父親だ
だが相変わらずお前は彼と ....
天井の電球をひねるために相応しい
高さにまで積まれた
人一人の半生の記録集から
無雑作に選んだ一冊を
うすい指腹で繰ってゆく
健康な子どもに絵本を読み聞かす
古めかしい速度で


い ....
石を蹴ったら靴が脱げて

靴を拾いに行ったら国境を越えた

そんな風に僕はあいさつをして

君はバナナを一本僕にくれた

皮をむいて

あまりおなかは空いていなかったけど

バ ....
殺される前に殺せ
ほんとにやるのか
やわらかい生活
はねっかえるからむずかしいんだよ
敷布団は固めがよい
腰によい
君が隣に寝ているはずなのに
ちがう人の顔に見える
友 ....
小林 柳さんのおすすめリスト(99)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
その夜- せかいの ...自由詩1410-12-7
頭上の海- 朧月自由詩310-12-3
飛行船のなる樹- 塔野夏子自由詩9*10-12-1
真夏の星雲- こしごえ自由詩3*10-12-1
チャイコフスキー- アズアミ自由詩310-11-22
- はるな自由詩510-11-10
夜中- トキハ  ...俳句4*10-10-20
o- コーリャ自由詩910-10-1
五歳の風船のいぬ- さだあい ...自由詩710-9-25
かかわり- 小川 葉自由詩610-9-25
水の上の透明な駅- カワグチ ...自由詩1110-8-22
31.5℃- 塔野夏子自由詩5*10-8-15
- salco自由詩4*10-8-10
あの店がなくなってしまう- はだいろ自由詩410-8-10
ねこじゃらしの波- A道化散文(批評 ...410-8-10
夏の亡霊- A道化散文(批評 ...410-8-10
- はるな俳句2+10-6-30
迷子- たもつ自由詩1310-6-29
梅雨の晴れ間に猫がひなたぼっこ- ベンジャ ...自由詩6*10-6-20
炭酸水と夏の気配- 小川 葉自由詩510-6-13
「遠雷」- ベンジャ ...自由詩6*10-6-5
- たもつ自由詩710-3-17
無題(世界は二頭の象が〜)- カワグチ ...自由詩1210-2-11
明日、地球が滅亡するから- かいぶつ自由詩510-1-29
雪ぐに- 因子自由詩510-1-21
ちひろ/山手線- ヘンナー ...自由詩2709-10-21
はじめへ- 仲本いす ...自由詩1109-10-5
「わたし」の日記- かいぶつ自由詩9+09-10-4
家族- 水町綜助自由詩809-10-2
浮気症- ともちゃ ...自由詩1009-9-19

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