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置き去りにされた
残骸の片方だけ残る後輪に
硬質ゴムの黒いよごれは、
動くことのない平衡を失ったもうひとつを捜してた
均等に働く両足の仕事のようにもとめあう
互いを見ることもなく、罵り合 ....
「僕は生まれるまえから窓のない部屋に住みたかった。
落日の骨は終わらない記号のなかに消えてしまった光の海へとかえってしまう。」
君は自分を求めない問いが何番目にあるのかを知っていたの ....
くるくるとないている
あなたの腕のやらかさに、思い出しては歯をたて
感情的なももいろの水をじわりと染ませてみるのが
ぼく、どうにもすきみたい(あいしてる。。)
からかわれなくなった ....
おこってほしいの
ねぇはやく
わたしのぜーんぶひていしちゃって
しかって よ
かんぺきななにかをもとめすぎてるあなたに
おこられたい の
それからあたまをなでて(いいこいいこ)
いますぐ ....
・
エスカレーターに乗れば段を踏み外す
券売機のタッチ・パネルはいくら押しても反応しない
施錠をすれば鍵を無くす
自動ドアには挟まれる
わたしは
文明というものに適応するように
生まれつ ....
「つよいかぜのうしろでうまれたちいさなあわがいます。
あのこはけさそらへとのぼっていくゆめをみたそうです。」
きえていくあわをとおくにみながらのぼってゆくのです
生 ....
浴室で三角座り
シャワーに打たれ続けながら
冷蔵庫からとりだしたばかりの水を
ごくごく ごくごく
やむことなく飲み続けている
目を閉じることなく
一心に濡れながら
渇きを潤しては放出し
このままこのま ....
(終わる世界、)
(青い鳥が空へと流れた、)
ようすいに集まった子供は暗くなるまえに家に帰る
こころのかたち、人のかたち、
雪を知らないアマリリスを神さまと見間違えたと ....
おかあさんがわたしをうんだので
わたしはおねえちゃんをうんで
おねえちゃんがまっさらなわたしをうんだらいいな
単細胞生物みたいに生きられるわたしを
おねえちゃんにうんでほしいんだ
わたし ....
のうぜんかつらの涼しげな顔に
もっと朱を塗りたくりたい
あなただってもっと
生々しくなれるんじゃないの顔の無い恋人
愛してると愛してないの中間を掬い上げてぼくに降り注いでください
誰だっ ....
唇に触れ
歯を撫で
咽を滑り
丁寧に体の線を通る水の清らかさより哀しく
わたしの隙間を見せつける夜の光に
世界中そこかしこ全てへと
わたしの居場所を散りばめたく(囁き教えたく)なる衝動ひと ....
わたしの持つ薬はどれも白いから
毎晩飲む度にわたしは呆けていく
(わたしがその日あかくてもみどりでも幸福なきいろでも)
あまり仲がよろしくない為に
ねむりを思い出すのに2、3時間を要してしまう ....
流線形を手がかりに
ピースを一つはめてみた
ぴったり落ち着くことが楽しくて
暇潰しではなくなっていた
ピースが足りないから毎日のように探し歩いた
埃の積もるベッドの下
ジレンマの隙 ....
あるところにえほんつくりのジミーさんがいました
ジミーさんはえほんをつくるのがだいとくい
ひとりひとりにあった
せかいにひとつだけのえほんをつくります
なきむしなぼうやには
ゆうかんなゆ ....
鳥のなかに
からだごと入ると
母のようにあたたかい
まだ生きている
わたしのように
鳥も飛び
わたしも鳴く
父が死んだように
湖になって
空を映している
わたしも映る ....
数センチの隙間から見る世界は、私にとって
とても、それは、とても薄明のような光景で
時折過ぎてゆく、子ども達の声が不思議と、
風船を飲み込んだようなこの喉に響くのだ。
枕元には、し ....
消えかかったロウソクに
微かに火は灯って
それが僕のだって
後で気づいたんだ
演技が長かっただけ
まだスタートライン
クラウチングから飛び出せ
ゴールは見えないけどね
今まで振 ....
橙色に照らされた木造二階建てのアパート
蹴飛ばせば簡単に壊れてしまいそうな垣根から
紅色の白粉花がその艶やかな顔を出す
やがて来る闇に飲み込まれてしまう前に
黒くて固い種子をてのひらに ....
遠い銀河を駆け抜ける汽車を
細い目で夢を眺めるように見ていた
枯れた花を抱いて
生まれたばかりのように震えながら
君はまるで無力だと笑う
陸に立っていることすらも精一杯で
まして君を抱 ....
ふりかえるこども
うれしいこども
こそばゆいこども
うたうこども
己れの行方
曇の行方
同じこども
雪の手のこども
夏には夏の
陰のこども
....
時追鳥を 知っていますか?
時間を追いかける鳥 それが、時追鳥
大きな羽根に小さな身体 頭は小さく 尾羽根は長い
七色の鳥だと言う人もいれば 真っ白だったと言う人もいる
ゆっくり過ぎる ....
・
幼いころ
妹はお風呂が嫌いで
兄は爪を切られるのが嫌いで
わたしは歯を磨くのが嫌いだった
だからそのころのわたしたち三兄弟ときたら
妹は髪から極彩色のきのこを生やし
わたしはのどの奥 ....
水面下で寝息をたてるわたしに
おはようのあいさつは
いつもキスだった
大切はいつも
抱えていたつもりで
放り投げていたかもしれない
川のあたりできれいな石を探すようには
見つから ....
「出ておいで、準備が出来たから」
満月。午前三時。公園。
魔神の子が遊ぶ為のジャングルジムの下
魔法陣の真ん中で花束を踏みにじれば、目蓋のようにドアが開く
右手の爪。左手の爪。
自ら ....
頬がストロベリィジャムの女の子が生まれた日にはたしか
僕は君とあたらしい世界について話していた
その日が何曜日かなんてのは僕たちにはどうでも良くて
クリィムを混ぜている水車を見るとそ ....
2000年、夏
小学校最後のこの夏に僕はミイラを作ることを決意した。
その夏は小学1年の時、図書館にあった本で見たロザリア・ロンバルド
というミイラ少女にあこがれて6年目の夏でもあっ ....
抱きしめた白い少女は、ぼくを抱きしめていた。透けるようなその白さは光を吸い込んでいるように輝いている。
(ゆめをみる、)
遠くで男が処刑されていた。首と胴が分かれてしまった男は黒い液体 ....
飼っていたのは、音のない荒野
はちがつの、日なたに置かれたたまごのように
だきすくめるたび
わたしのりんかくを剥がすもの
透明な模型のような日々
を、くみたてる
....
めにみえているものが、しんじつとは、かぎらない。
わたしがおんなのこか、おとこのこか、ほんとうのところは、だれもしらないのかもしれない。
あのおとこのこだって、ほんとうは、かわいらしいことり ....
クリームで前が見えないけれど
世界には青が降っている
炭酸を抜かないで
誰かの声を聴いた僕は夢中になって世界を振った
*
勢いよく噴出した青を二人の子供が飲んでいた
子 ....
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