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伝わらない言葉でしか
想いを表せないことに
気付いた夜
意見の違いを
言い争えず黙る
気まずさ
めぇだば
いたやんどこさの
おんちゃだべさねぇ
すんばらぐ
めなんだら
よぐさもはぁ
おがったもんだでなぁ
まんだ
ごんじょぱって
おどっさ
おがちゃのえごとも
あちゃむ ....
速さを速さに過ぎる文字が
すべてすべて骸骨に去る
平らな井戸よ
容れものの子よ
二重の息や光の帯
朝へゆく朝 止めもせず
ただ見送ればその先に
二重の雨の ....
だれかが祈ってくれている
だから祈りをかさねている
まわりを見つめる
まわりを感じる
胸の痛みなくなるまで
まわりを見つめる
まわりを感じる
だれ ....
金属を叩く音が
全部で三つ
離れすぎず
また、求めすぎない間
充分で理想的な関係
重要なのは音色
振動する空気も
重すぎないのがいい
単純な規則性と
各々は直に影響し合う ....
君は落ちながら音もなく
決して誰も音楽などではないのだと
落ちてゆく場所が君の望んだ場所なのか
光はひかりであってそれ以外の何ものでもない
誰かの願いをその身に受けながら否定も肯定もしない
....
開けるんだ
閉じてはいけない
次も開けるんだ
その次も開けるんだ
閉じてしまっては
我々は何かの為を捜さなくては生きていけない
さぁ、その閉じられようと ....
戸惑いや不安が無くなるに従い
この体もそれ程必要とはしなくなる
歩み行くにつれ
私は森となる
風の声
川の声
鳥の声
途絶える事なく
一 ....
笑うことが苦手な君は()の中で笑っている
掴んだ言葉や色を
悲しみの下地に上塗りする
黒の透けた白い肌が
本当の君から目を反らす
人々は摘んで食べては
口々においし ....
見えない冷たさ
夜の手のひら
わたしわたされ
ひらめく見えなさ
指に映る指の影
花でくるみ ひとつ剥がし
鳴る夜の外
夜の外
やわらかな針
風 ....
{引用=
誰も知れない部屋に
愛しい疲れて飽いた私のプシケ
その瞳の黄金の闇に恋をしてから
どうにも朝が眩しくて
指先に掴めない月光を纏わせて
草原で花冠を編む
春雨のような声で静寂 ....
お客様をもっと回れ、6時まで帰ってくるな、という会社の指示通り、ユキオは6時きっかりに帰社した
倉庫をぬけて2階のフロアへの階段をあがりながら、きょうはやけにタバコくせえな、その階段の雰囲気でその日 ....
墨いろの街道
放たれた欲望は
雨上がりの夜にさえ
涙ながして飛んでゆく
飛んでゆく
好きだけじゃ
足りないみたいだ
このせつなさを
春の切実と名づけ ....
ぼくはずっと眠っていた
家並みの混んだ路地の奥
細い電線が空に絡まる保育園の
二階のしわくちゃな布団の上で まんまるに
ぼくの夢の上を白茶けた紙飛行機と
たくさんの紙の砲弾が行き来した
....
ひかりの反射を免れて曇り空の跡
つめたい水を浴びて閉じてゆく肌と
つめたい川に隔てられた母子
幾度も破かれては繰り返す眠りのうちに
再生されてゆく喉
結末の骨より吹きすさぶ逃げる月の速度 ....
ピンクと灰色とブルーが混じり合って
あたりがもうすみれ色になっていた
春にちかい風が吹いた
LEDほどのつめたさが鼻を撫でた
きょうの天気がなんであったのか
わからなくな ....
生まれた命のかずだけ
追憶はある
みんな誰かしらの
何かしらの追憶なのだ
この夜も、あの朝も
昼間もあったか、夕暮れもあったか
七千年まえのナイルの少年の
....
月のひかりは
黄金めいて降りそそぐ
それは
太陽なくして
成り立たないことだけれど
うそぶき加減が身に優しくて
わたしはつかのま
あしたの重みを
脱ぎ捨てる
思え ....
からん、と通る 落ちる
瓶の口の正円 艶やかな曲線の裸体を抜けて
からん、と{ルビ生=な}る
手足の生えた魂のような両手をひろげて
隙間なく横たわる 底
から見える瓶の口の正円
の正体は ....
騒めいた光に沈んだ私
綿菓子の甘い匂いも
水風船の弾ける音も
静かな商店街に溶けてった
狭い世界の金魚が裏返る
冷たい、冷たい風鈴の音がした
握り締めることなんて出来ないってわかってるのに
風に翻弄されて舞い落ちる粉雪をつかまえて
その結晶を手のひらに刻み付けたいと思った
この冬最初に降る雪を見たのは
帰省先である少し北の街 ....
雨が宙の溝を流れる
音も光も流れ砕ける
見えない緑
見えない金に吼えつづける
夢と文は 同じ場所に居て
時おり向きを変えている
互いの息の影
互いの音の光を重 ....
誰だろうかと
寂しさとしての絵にしていた
誰かがいた
人間ですらなくなった声にするのだろう
もう
おしまいにしよっか なんて
言わなくてもいいことは
空へ 空へ
さみしさは
出来の悪いコピー機みたいに
あやふやなものが
伝達されない
寒いね
寒さだけが本物だ
....
今までそこにあった熱が
布にうつり
やがて消えるとき
滴の風が片脚を打ち
向こう岸に
点滅する音
かたむき かたむき
火は水に傾き
指は到かず
水 ....
ひとつの言葉は、百のことを伝え
百の言葉は、ひとつのことも伝えない
そんな わたしの言葉
とろりとろりと
日が暮れて
お社の石灯篭の暗い影
僕の背丈より
いつの間にか長い
鬱蒼と生い茂る鎮守の森
空にはねぐらに帰ってきた鴉の
黒く騒がしい群れ
忍び寄る夕闇せかされて
....
闇のほつれが夜の樹となり
蒼を高みへ押し上げている
低い音のあつまりに
音のまだらに震え立つもの
冬を割り
冬を負い
夜の泡が
光を目指し
道の角ごとに
....
むらさき
むらさき
光の仕草へ
近づく空
歩いてわたる
歩いてわたる
うつぶせの鏡の群れが浮かぶ水
背から背へ 背から背へ
城壁の角
影が空を仰ぎ ....
はざまから土
降りおりる銀
曲がるたびに
冬を巻く道
緑の雨と肋骨の森
作りかけのまま棄てられた街
埋め立て地の午後
低い低い音のつらなり
熱を持たない ....
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