{引用=
白く、鉄塔が、明け方の空に溶けこむ。昨日からの読みかけのページをめくるように、朝は、なめらかにわたしに降る。ここから失われたものなど、ひとつもないかのように、無音のまま、満ちていく。水を ....
 今夜、遠い空の下の鳥羽で、一人の詩人の通夜が行われた。その時僕は、旅先の秩父から、地元の鎌倉へ戻って来ていた。何処から書き始めるべきかわからないが、川村透という詩人は、その正義感の強さ故に、かなりハ .... {引用=                                   




青空に透けて

行ってしまった

面影はみんな




 浜辺の足跡
  ....
はるか昔、深海で織られた地層は
湧き上がる二つ対流の狭間で
荒々しくこそぎとられアルプスとなった
そのせめぎあいで
この谷を境に
やむを得ず東日本は南北に向きを変えたという

山中に住む ....
一度きりあった
あの年の冬日和の空を
見上げた
雪深い底では私が眠っていた
春を待ちながら
かたい殻でおおった種子だった。
銀世界の予感の中心で
熱く流動する硝子のように夢を見ていた。
 ....
「冥王星が死にました。」
炭酸ジュースに入れられた少女は、僕を見てそう言った。


不透明な観覧車にのって
星と廃棄物に包まれた
この街を、見る。
2秒間だけ目を瞑り、
世界の ....
 
 
一人目の盗賊は目を瞑った
二人目の盗賊は葉の匂いをかいだ
三人目の盗賊は百本の口紅を盗んだ後アル中の妻に口紅を一本買って帰った
四人目の盗賊は人形の頭を終日かじり続けた
五人目の盗 ....
 最近、4講時の講義を終えて裏門の階段を下りると、そこに3人の女子高生がいつも座っている。まさか、僕のファンだろうか? と思ってしまうところが僕のかわいいところだろう。今年大学に入学した1年はルックス .... 何年か待てば
私の細胞はすべて新しくなる
そうしたらこの
君についての記憶も新しくなるのかしら

心臓の一部の細胞だけは
生まれてから死ぬまで
一度もあたらしくなることなんてないらしい
 ....
車のスピーカーが壊れたんですよ。
それは、左のスピーカーなんですけども、音が出ないんですよ。
汚職した政治家のように沈黙を保ってるんですよ。
そしたらもうなんか左のスピーカーってめちゃ静かで、「 ....
何かひとつの 削られていく
言葉とはすべてだ
死刑囚の持とうとする
そんな 闇を 僕は手にした



一人の偽善者が
牢屋だ そうして出ることもなく 
部屋の隅のどこへいくのだ ....
積み上げたものを崩すのは容易く
 失ってしまえば戻らないものばかり
  作り物みたいな寝相が少し 怖くて 
   呼吸を口で確かめた あなたは今、確かに生きてる

月明かりだけがこの世界の光 ....
ふと思いついたことを書く。

大御所の映画評論家の中には、映画はエンターテイメントが前提であると主張する人が多数いる。また、映画は産業であり、ビジネスであるということを大々的に主張し、周囲に吹聴す ....
生命を軽視して
ぼくはいきている
煙草を吸うし
お酒だって飲むし

眠たい論議と
他人行儀な親近感で
いつまでたっても
あしどりは重い
たかが芸術さ
たかが言論の自由さ
そう ....
覚和歌子さんの詩集、『海のような大人になる』は、たくさんの語り手によって詩のありかを教えてくれる詩集です。


誰がこの詩を語っているのだろう、と考えると一人ひとりの顔やしぐさが浮かんでくるよう ....

石の
私を
知っている
この道中を 転がるねむりにつくまで
一瞬の銀河を

青いトンボ玉の影は透けて
石と添い寝をする。こんにちは、
樹木の芽の
吹き出る
空気が澄み
口を ....
『生きてる?』

昔ちょこっとメル友やってた友達?から
メールが来て、文面がこんなんだった。
その子からのメールのタイトルは当時
メッセージフロムスカイメールとかだったので
相当前のことだ ....
セックスがまだ下手糞だったころの話をしようか。

学校帰りには毎日本屋に寄って
ゲーム週刊誌から現代小説まで立ち読みした。
田舎だったあの町には
本屋くらいしか暇を潰す場所がなかった。
町 ....
そんな女の媚びるような歌声が
俺の頭から離れないんだ

しかし女は誰か男を
男の腕を
懐を
頼りに生きているわけでもなかった
女は
言った
斜め口調で
この俺がいかにつまらない男 ....
 このあいだハロウィンだったので、ロブ・ゾンビ監督の「ハロウィン」を見た。
スラッシャー映画というのは、血しぶきを見ながら、ころせー!と心のなかでさけ
びつつ鑑賞するのが正しい見方なのでは。とおも ....
{引用=夜の階段を下りて
一階はとっくに海に沈んでいったので
その、密やかな貝を避けながら
水の中につま先をいれる

どこまでも透明な
水晶を重ねて束ねて作った
深海は 魚を飲み込む
 ....
ドアを開けたらまだ真っ暗で
少しめげたけど
新宿行き高速バスの始発は5時3分
元気を出して、君に会いに行こう

バス停は牧場の横、畑の中
途中が手探り足探りの真っ暗で
牛が寝言でいつも驚 ....
わかったことがある。

これまであらゆる現代詩を読んでいても、言語的な感動をしたことがない。

そのことが、自分の作品にある致命的な欠落(文字の連なりに付加価値を与える要素)の正体であり、そし ....
力道山が死んだ時に
レスラーは四六時中強くなければならなくなった
横山やすしが死んだ時
芸人は四六時中面白くなければならなくなったのか?

コメディアンがいなくなった、と彼は呟いた

爆 ....
財布を落として2時間30分
中身が無くなり手元に戻ってきた
もちろんデートは散々で
君の呆れた顔しか覚えていない
スーツは一張羅を着た
クリーニングに出してビシっとキメた
はず ....
半分

どんなおじさんにでも
その時だけ恋をしてしまう女の子がいる
父の日にプレゼントを贈り続ける女の子がいる
おじさんとセックスしてお金を貰う女の子がいる

半分お金で半分趣味らしい
 ....
切り落とされた枝が芽吹いて
いびつに折れた朝の出来事
春まだ浅い日の寝ぼけまなこは
過ぎたことを知らずにいる

幸せな枝に降る雨は優しい
見知った顔をした人達のように
安らぎで包む穏やか ....
新宿駅連絡通路できれいなひとに呼び止められた
朗らか過ぎる白い歯並びと
しなやか過ぎる姿勢の妖しさと

「あなたがあなたらしく生きているとき人は美しい」

白い歯並びからのぞく跳ねるような ....
それは
口づけをせがむときの仕草で
そらに生まれたのでした
ふわふわと漂うようままに
虹色に、つややかに
とらえられない言葉で
とらえたまま
雲のすきまに
ずっと住んでいると
思 ....
鈴木ユリイカさんが編集し長年発行されている『something』は世界の女性詩のカタログです。
従来の詩の雑誌と違い、多くの外国人からの
すでに発売されていたり、出版されている詩集の詩から優れた詩 ....
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