ずっと
遠いどこかに
身体を預けていた
気分だった
やっと
身体が戻り
自分の意思で動く
手を眺めた
そんな
時間は短くて
また流れの中へ
飛び込むけど
この先 ....
機械の少年は
機械の少女に会った
機械のように恋をして
装置のように結婚して
遠く秋の空を眺めると
肌が乾いて懐かしい
あれは春だったのだ
二人はそう思うと
子供が一人
....
聴覚はナイフ
触覚は靴べらのように
点描の世界は途方もなく
広い音楽の塊に変わる
そこでは生半可な
ユマニスムが幅を利かせることなく
電話もメッセージ
横断歩道の音楽もメッセージ
....
世界が輝いて見えた頃
きらきらひかる理想を描いた
それが使命であるかのように
そのすべてを捨ててしまった今はもう
定型でしか夢見ることが許されないの
現実の中で やっと見つけたものだって ....
嫌だから
向き合う
追わないけど
逃げない
かつて古きよき友人がいた
というような
そんな時代でもないらしい
人は大きなしくみに組み込まれ
わたしとあなたとの
小さな友情もまた
しくみに違いはなかったけど
この人と ....
あそこに咲いた桜は
果たして、何分咲きなのだろうか
一つ、間の抜けた提灯と
手を繋ぐ親子の声が
きらきらと光る、岸辺の話
鳩を気にかける少年の上で
、あ。
....
箱にはたくさんの
記憶の残骸や
体の部品などが納められていて
私もいつか配達される
何が入ってるかは
その時にならなければわからない
きっと箱の中には
懐かしくて
壊 ....
いつも寂しい
窓の内
ここは
牢屋でもないのに
向こうの景色が
やけに綺麗だ
今日も空の青さを
雲が白く
縮れていく
いれたてのコーヒーをすすると
遠い過去の
記憶から
今 ....
遠くを見ながら青空と草花に体を溶かしている
土と草に腰を落として
体育座りして
小高い丘の上から
風がこぼれ落ちていくのを目で追っていった
頬を風が撫で
髪にまとわりつくように触れてい ....
今朝
気まぐれのように
寒風の中を
雪が舞った
空を見上げると
気配すらなくなり
いつもの朝が始まる
本当は
雪なんて
降らなかったのかも知れない
雪の降り始めは
....
視線絡ませて
遠回しな台詞だけで
愛の告白
指先から熱を発する
肩のあたりで甘いタメ息
背中を走る歓喜に目が眩む
五感すべてが癒された箱の中
....
窓ガラスで漂白 されていない
光を鼻の頭 受け止めながら
コインランドリーの角 右に曲る
山田さんちの昼御飯 きつねうどん
網戸で裏ごし されていない
風を耳の後ろ 感じながら
....
誰もいない静かな部屋で
時折鏡を、覗いてみる。
目はふたつ
鼻はひとつに
口ひとつ
奇跡を行うこともなく
些細な魔法もわからずに
背伸びをするわけでなく
....
世界のすべては
すでに
あなたの内に在り
日本の何処かで
今日生を受けた赤子の産声も
火葬場で燃えて遺骨になった
老婆の{ルビ御霊=みたま}も
すべては
私の内 ....
土手にのびる枯れ草を
焼いている
斜めにあがった太陽が
息をしている
薄い黄金色して
狐の尾のように揺れる
ちぎれちぎれに草が
もえている
風がやむ
眠りにつくよう
し ....
喪失した傷は取り返せない
異次元の彼方に漂着した 傷に
いつかあなたは口づけ青ざめる
日の出直前の白白とした空のように
種子の記憶が芽生え。
ミシミシ、と殻は青ざめ幽かに
震えつつ怯え ....
心の奥の掌に
ずっと何か握ったまま
夢を追いかける友の姿に
眩しさを覚え
「思いきりやればいい」
そう歌う歌詞の中に
掌の何かが
もがきだす
それに気付 ....
家を出る時に
鍵を掛ける
ガチャリ
この音と共に
忘れよう
片付かない
部屋
整理できない
気持ちを
息が出来ないくらい
きつく抱きしめていて
そういえば君に言い忘れてたことがある
たくさんの曲がり角
いくつもの選択肢
どうしてここまで
君なしでやってこれたのか
一度しかいわない ....
ゆるむ視界の中で
先を恐れないまま進むのに慣れた
ほんとうのこと を追い求めるのをやめてから
もう幾年も過ごした
あーあ、生き延びてしまった
通り過ぎていく風景が
....
塞いだ。
窓を閉め切った。
勝手口も、玄関も、全て塞いだ。
もはや、自分の呼吸しか聞こえない。
誰も訪れない、自分だけの世界。
安楽の母の子宮の中のような気配。
盛りの ....
たたかって
たたかって
かなしみをえらんで
かなしみにえらばれて
たたかった意味さえなくして
月がゆらぐ
夢がとおくに消えてゆく
それでもおまえ ....
勝手に逃げたひとのせいで
今日も電車は来ない
向こう側のホームから
数日前に死んだであろう
女の嬌声が響く
もうすぐここも
ひとで溢れ返りそうだ
後ろのベンチからは
少女の ....
ゆっくりとかつしっかりと
時間は流れ
あわてない
ゆったりと歩む
オーラを感じ
時間がゆるりと流れ
しかし多くの事を成し
頭はフル回転
もし背中に羽が生えたら
未来にはばたき ....
夜を歩いている
恋人と携帯で話しながら
別れ話をあそびながら
出張さきの地方都市
ふるくてほそい商店街
その奥の細道を
恋人と携帯で話しながら
別れ話をあそび ....
目の見えない猫に
少年が絵本を
読み聞かせている
まだ字はわからないけれど
絵から想像した言葉で
ただたどしく
読み聞かせている
猫は黙って
耳を傾けている
少年 ....
あなたといたあの時に
時間を止めてしまえれば良かった
そのための死神は
私でも良かった
―今は無い詩作掲示板へ、過去に投稿したもの。
表題をつけて改めての ....
君が知らないうちに
きれいになったと
思ったのは秋の日で
僕らはほかの誰かの
バースデーに引きずられただけ
遠い世界の争いのように
僕らは憂鬱を抱いていた
話は知らないうちに ....
{引用=菜の花は
きいろとみどりで
構成されているけれど
ぼくたちは、
どうなんだ
いつか、
しろい壁で
あかい屋根の
一軒家を建てよう
色が剥げたら ....
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