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{引用=まだ、私の夢に虚無は訪れていない}
スロウで駆けてくる
馬の筋肉の躍動が
私の夢を横切る
霧のように潤ったこの部屋で
枯れたダリアが
二、三枚の葉を落とす
紙風船のよ ....
あれは風の強い日
鳥たちは身を潜めて
星は口をつぐみ
月が涙を溢して
小さな命が産まれた
静かに響く
祝福の歌
力強く鼓動を刻み
生きている証を記す
温かく差し伸べられる手に ....
花でありたい。
蝶でありたい。
蜘蛛でありたい。
鳥でありたい。
蝸牛でありたい。
魚でありたい。
貝でありたい。
硝子でありたい。
大樹でありたい ....
この星の基本的法則
物は上から下へ落ちる
リンゴも雨もテレビ欄も
いつだって片想い
用意された万物で
世界は回っていく
神様という人は
えらく凝り性なのだろう
この星の基本的法 ....
遠くばかり見てるね。
秋の夜空はとても澄んでいて
僕の焦点の合わない目でも
うっすらと星が見える
遠くばかり見て歩いてたら
石に蹴つまづいた
気付くと
隣にいたはずの君がいなかっ ....
バスが過ぎる
その排気ガスの匂いが薄まると
またキンモクセイの香が戻ってきた
田畑が刈られるのを待っている
風がやむと時間がとまっている
ひかりが雲が空をぼかしている
建物の優しい ....
戻るものなのだと 思っていた
想っていた
想ってきた
そこに いた
90゜ 歩きだして
180゜ 振り返って
270゜ 見失っ ....
レンズ越しに見える葬列
蛙の鳴き声に包まれて
猫背のわたしは
足跡のない欠けた部屋にいる
栗の木が窓の方へ手をのばして握手を求めるけど
押し出してくる風のせいにして逃げ出した
さっ ....
君の心はシャボン玉のように
フワフワ飛んでは パチンと消える
僕が君を守ろうと
そっとのばした この手のひらで
君の心を壊してしまう
どんな優しく包もうと
パチンと消える 虹色の ....
右手には紺のカバン
僕の大事な持ち物を
詰めていつも持ち歩く
左手には君の手
僕の大切な人の命を
握りながら練り歩く
気温は徐々に下がり
町に雨が降ってくる
左手は傘に変わり
....
話しかけたいというのか 声をかけたいというのか 何て言うのか とにかく 名前を呼びたいのです 別にこれといった用事がある訳でもなく どうしても 言わなければならないことや 是が非でも 聞いておかなけれ ....
どれだけ
つまらぬ嘘を聞いたら
あなたを嫌いになれますか
さびしがり屋の
つよがりをみせに やってくる
そんなあなたを
待ちくたびれ
生きていれば
いいこともあるさって
一緒 ....
つまりは
画面いっぱいに広がった活字を読むことができない
というのは文字に対する冒涜である
と せんせいは
鉛筆と紙を手にし声高に叫ぶ
そこで
無機質な文字には興味がわかない
とい ....
あなたによく似たひとだった
人違いと戸惑うわたしの顔を覗き込み
どうかしたのと気遣ってくれた
これを落としたひとをずっと探しているのと
あなたの落しものを目の前に差し出した
その ....
ユーフラテス川
という川の名前が
何故か印象から消えないのは
ユーラシア
ユグドラシル
など
ユから始まる名前が
好きだから
なのかもしれない
もし世界がユから始まるなら
僕はなん ....
いつだって僕は
誰かに操られて生きているそばにいてくれる人は
いつもどこかへ行ってしまう。
独りぼっちは嫌だよ
僕を独りにしないで
叫びたいのに叫べない
僕には言える口がないか ....
ちぎれた雲の雨脚にまで届くように 斜めの光線に従って
指先をぴぃっと伸ばしてゆくんだ
触れた蒸気のもくもくのすきまには
あたらしい宇宙が隠されていたとか、いないとか。
既に誕生していたのか ....
ねぇ、言ってよ。今日も。
そう、私が囁くとあなたも私の耳元で
好きだよ、って囁いてくれる。
レコードをかける時、大事に大事に針を落とすように
私は大事に大事に囁く
{引用=い ....
ここに一脚の椅子があって
それは懐かしいにおいのする木製の小さな椅子
小学校の教室にあるような椅子
揺らすとかたかた音がした
そんな椅子にあなたは腰かけている
手には一冊の詩集
マ ....
夏の終わりを惜しむ人がいる
勝手にエアコンをつけて
夏を拒絶していたくせに
夏の終わりの
さみしさは感じているようだ
夏は夏らしくしていたかっただろうに
異常気象とやらの
まわりの勝 ....
群青色の空の下であなたは自転車を押していく
わたしの歩幅を気にしながらゆっくりと歩いてくれる
オリオン座の見えるころに出会ったのに
まだ一度も喧嘩らしい喧嘩をしたことがない
わたしがとても傷つ ....
相田みつをの書に素直になれない
そんなもんじゃないと反発してしまう
宮本輝の登場人物のセリフに素直になれない
そんなもんじゃないと反発してしまう
そんなもんじゃない
ならどんなもんなのか ....
遊びのない
毎日
何の為に
生きるのか?
毎日日は昇り
毎日日は暮れる
見えるのは
青い空だけ
山も
森も
海も
川も
見えない
地球の公転軌道がほんのわずかずつ
ずれていることを憂うガリレオの
思いを想い過ぎて
抑うつ気味になった僕は
バナナがいいと聞いて
毎朝食べるようになった
いつか太陽の手をはなれ
地球 ....
あんなに耳障りだった蝉の声も
虫眼鏡で集めたみたいな痛い陽射しも
まるで色あせ始めた遠い物語
なだらかな坂道を自転車でおりると
向かい風がほんのわずかの後れ毛を揺らす
時折小石が顔を ....
そそくさと去り行く夏の記憶を確かめようと
深緑色に澱むお堀ばたを訪れてみた
色とりどりのウエアでストレッチに余念の無い肢体は眩しく
人恋しさを見透かされてしまうようで
遠慮がちにちょっと離 ....
朝焼けは随分きれいで
青紫のしじまに黙りこくり
そっとアクセルを踏み込む
見慣れた速度で
過ぎていく風景をやり過ごす
少し肌寒くなったようで
エアコンのスイッチを消した
仄かに燃えて ....
感情のもつれを
解きほぐすように
受話器から延びる線を
逆に回している
回線の向こうの
静かな苛立ちが
ザーッと時折混じる
誰か妨害しているの?
向かい合わなくて ....
かなしみの淵をなぞるゆめ
鋭利なガラスで指を切るゆめ
開いた詩集を風が繰るゆめ
その一ページに血をこぼすゆめ
うすももいろの唇に
ぼくのインクで紅を引くゆめ
まだ汚されぬやわはだに
....
田んぼの道ぬけて
山ひとつ越えて市街地に帰った
藍いろの街のひかり
遠くからだからかやさしい眺めだ
あのひかりの中でぼくは
ハードルを下げたまま生きているひとを
....
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