土地
葉leaf



大震災と原発事故で被害を受けた土地に赴任して、日々復興の仕事をしながらもう一年になる。右も左もわからないうちから多くの仕事を任されてなかなか苦労した。今では大抵の仕事に慣れてきて、来年度に向けて着々と準備を進めている。
復興の仕事をしていると、この土地がいかに深い傷を受けた土地であるかが分かってくる。津波による人身被害や建物の被害、耕地被害。放射性物質による土地の被害。この土地は大きなトラウマを背負っていて、今私たちはそのトラウマを治癒しようと一生懸命復旧工事をしているのである。
だが、人もまた人生のどこかでトラウマを背負い、その人の人生の幾分かはそのトラウマの治癒に生涯注がれる。人間の人生と、この土地の来歴は、大きなトラウマを負ったという点で非常に似通っている。
今日もこの土地では頻繁にダンプが往来し、除染作業員が膨大な作業を続ける。これはまさに人生の現場であり、人生もまた一つの被災地に過ぎないのだ。




自由詩 土地 Copyright 葉leaf 2017-03-10 02:42:01
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