旅立つ日には
葉leaf



旅立つ日には
一つのメロディーが流れている
旅立つ日には
何かが必ず終わるから
僕らは故郷を持たない
僕らは故郷を探さない
故郷への渇きだけを持ち続ける
旅立つ日のメロディーは
旅とは全く無関係なようで
旅と鋭く交わり果し合い去っていく

神の誕生日が毎日やってくる
当たり前すぎて祝うまでもないので
僕らは草原に座る
世界の誕生日が毎日やってくる
もう飽きてしまったので
僕らは海辺に座る
僕の誕生日は年に一度だけ
その日だけ
神も世界も誕生することをやめてほしい

冷たい土のうえに寝そべって
僕ら生きているつもりだった
あんなに生きているつもりだったのに
生命なんてまやかしに過ぎなかった
冷たい土の上には冷たい道路が敷かれ
僕らはその上を走って生きているつもりだった
しかし生命はまやかしに過ぎなくて
僕らを駆動していたのは生命以外のもの

楽しいことがたくさんあったような気がする
でも楽しいという言葉があまりにも広すぎて
どのように楽しいかいつもわからなくなる
でも楽しいを細分化するとそれはもはや楽しくなくて
衝動のように分割されない楽しみだけが楽しい

詩は夥しく死んでいった
私の紡ぐ言葉もまた詩の死骸である
すべての詩人の詩行は死骸に過ぎなくて
生きている詩行というものは詩ではない
生命を失う刹那
詩は初めて詩になる
生命を持っているとき
詩はいまだ詩ではない


自由詩 旅立つ日には Copyright 葉leaf 2017-05-31 04:06:28
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