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{引用=昨日の空と、今日のわたしと、明日の凪と、そこに存在しない隙間、}
窓際のプリズム きみと共有し 虹のない冬に射しこむキセキ
近づいてなお遠ざかる逃げ水にかざす指 ....
いくつもの読点で、あなたを区切って
体内へと運ぶ
元のカタチを、思いだすこともできないくらいに
細切れに、咀嚼していく
小指の爪から、過日の砂が落ちて
潮の匂いがした
....
遠ざかる夏の約束今さらに水たまりに咲く蓮の鳴き声
失ったものなどひとつもないような ちいさな津波のあとのリセット
くちづけで透明なピリオドを打つ始まらないままの第一 ....
1.
かみさまはいるよ、
って
教えてくれた人は
もうすぐ死んでゆく人だったけど
それは黙っておいた
だって、あいしてるんだ
2.
きのう、かみさまを見か ....
あやつられる
わたしの背中に糸が生えている
よく見ると
足からも
腕からも
糸が生えていて
どうにかすると口がパクパクする
声だけが違う場所にあって
伝えることができない
こ ....
輪郭だけをのこしたまま
あのひとがいなくなってしまったので
いつまでもわたしは
ひとりと半分のからだで過ごしている
明かりの消えた部屋で ひとり
アルコールランプに、火を点ける
ゆ ....
かけおりた坂道のおわりには
ボーダー柄の、夏が
波のような顔をして
手をふっていた
それから、 と言ったあとの
あのひとの声が
ノイズにのまれて、ちらちらと
散ってしまったので
....
コンクリートの丸いもようは、踏んじゃだめよ
って、
しあわせになれないから
って、
きみが言ったとき
さっき
二度ほど踏んでしまったぼくは
ちょっと泣きそうになって、あわてて
声をだし ....
毎日が
ずっと、遠浅だったらいいのに
って、言ったのは
あなただったか、わたしだったか、
もう わすれてしまった
うつろいやすいふたりだったから
ただ
手をつないだ
波が
....
手をつないで
深いところまで、いってしまった
引いてゆくまにまに
記憶の砂がすれあっては
かすかに音をたてる
ノートブックの波に
毎日つづった、日記
夕立ちをよけて、キスをして、 ....
昨日の夜、それとも おととい、
きみは月を見上げたかい
めざまし時計の朝
最初に「おはよう」を言ったのは、誰
目をつぶって100歩進んだところで
愛する人に出逢える確率を知っているか
....
ストローの紙袋を
できるだけ遠く
白く、吹いて
氷の空へ飛ばす
と
コツンとあたった
かすかな点から
ぱきぱき、と
空はひび割れて
肝油ドロップがふりそそぐ
雪乞いの
甘い甘い、 ....
グレープフルーツを半分に
ぱっさり、と
切ってごらん
まんなかにはいつも
記号
が
ぎゅう、
と
しぼったら
記号のしずくが
溜まるから
飲んでごらん
沈殿するのは
....
ねえ、
こんなふうに光る
赤信号の交差点でも
きみは
遠い場所へはせるの
さっきまで
胸をかげらせていたニュースも
アドバルーンの空気といっしょに
ぷすぷすと
消えてしまった
....
一日の終わりに
シャワーの蛇口をひねると
十二時のひずみから
しずくが落ちる
窓枠の
カタカタ
と鳴くのもよそに
通り過ぎたのは
秒針で
洗いながしたのは
遠い遠い
約束 ....
星砂の夕べ
ファクスからでてきた
きみが
あんまりうすっぺらで
それはそれは
過日の約束ほどに
ぺらぺらだったので
ぼくは
受信エラー。
とだけ 書いて
南の窓から ....
ほら
きょうは もう
ひ がおちる ね
と いいながら
遊歩道ぞいの木々は
うでいっぱいの
はっぱ を
するするとみまわし
だれが いちばん
きいろいか
えらぶのに
いそ ....
メリーゴーランドに
ふたりで乗ったあのとき
ふさがった右手のことばかり
気にしていたあなたは
左手でにぎる
わたしの右手をふいに忘れた
遠心力のそとがわ
こぼれて飛び散った
カ ....
宵闇、
五線譜の電線 で
輪郭のぼやけた影だけの鳥たちが奏でるのは
誰かの
失くしてしまった、声
あるいは、足音
にも 似て
道しるべにするには あまりにも
不たしかな
風通しの ....
「あれだけは、あたし大嫌いだから。」
ヨシ君のお母さんはダイニングで
ひよこ豆をクチャクチャやりながら
ぐにゃりと頬をゆがめた
さっきからの話の流れだと
茶飲み話の主役は蚊のようだ
あれは ....
じゃんけん、
負けたからぼくが去ればいいの?
きみは勝ったのにどこかにいっちゃった
そういうのって、
最初に決めとけばよかったんだ
たぶん
ケンケンパーだったら
もっとちがったのかもしれ ....
「水、持ってこいよ。」
シンちゃんが言ったから
公園の入り口にある水飲み場まで
バケツを片手にダッシュ
焼けた砂まみれの腕に
午後の陽射しは痛い
水飲み場につくと
犬を連れたおじ ....
うだうだ うだってんなよ
うだ うだだ。
水、やりすぎてやしないかい?
根腐れには
注意しろよな、おい。
自分。
四角い出窓にひじをついて
わたしは お空をみてました
ときどき 桃色の雪が
紛れこんではちらついたりして
世界は彩られたりしましたが
わたしは お空をみてました
ひじをついたまま
....
五感をはたらかせて
すれすれ を
歩いてゆく
波が薄く寄せるので
バランスを崩しながら
逃げよう
追いつかれたら
もうそこは恋で
出たり入ったり は
さくら貝 ....
夜の手のひらに
背中を押されて
チラチラと散らばる
港の明かりを見下ろしに
いつもここへ来る
デパートの裏の階段にすわり
わたしたちは
寄り添ったり
ときどき 無口になったりし ....
ここのところの暑さは
かなわんね、と
足元で声。
室外機のうしろ
干からび寸前の
トカゲが
ペラリペラリとにじる
爬虫類系、得意じゃないけど
手のひらにのせてやった。
こ ....
路上の車の窓ガラスを
ツバメの低空飛行が横切る
それを見ないふりをして
7月はやってくる。
その間にもわたしは
あなたのことを見ている
アジサイの花びらで
四つ葉を作ってよ。
....
ここに来るまでずっと
つま先だけ
見ていた
たどりついたとき
誰かが待っていて
ほめてくれたりする
どこかはどこ
軒下に避難した朝顔も
こうべを垂れるので
昨夜から宿っていた ....
はかりしれないほど
白い カール
次の瞬間にはもう散り散りに
泡
退屈だから
ゲームでもしよう
三角波を数えて
せーの、で
ライド
今ならまだ
右にも左にも
踏み ....
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