こときり
望月 ゆき

路上の車の窓ガラスを
ツバメの低空飛行が横切る
それを見ないふりをして
7月はやってくる。

その間にもわたしは
あなたのことを見ている

アジサイの花びらで
四つ葉を作ってよ。
次の瞬間にはきっと
何もかもが可能になると

その間にもわたしは

しっかと
握りなおし たしかめた
手の中には
水色の傘、
だったか。
それとも

螺旋階段のてっぺん。
夕立を撒いて走りゆく
白い制服の彼ら
の頭上をかすめて雨雲は足早に
遠ざかる

その間にもわたしは
あなたのこときり 見つめられずに。


いつも
通り過ぎたあと、気づく。


自由詩 こときり Copyright 望月 ゆき 2004-06-25 08:06:25
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