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蝉が時雨れている8月の
呼吸がぴたりと止まる時がある
子供達は公園でぶら下がっていて
突然の静寂にゆれている
初めてついた嘘はどこへやったかと
懐かしい引き出しをひっくり返すと
初めて ....
おーい
と呼ぶ声に
波線を見ています
空の上
海の下
その間の曖昧な辺りで
いつだったか春の衣装だった頃
それでは暑すぎると文句を言った頃
山沿いの海沿いのラジオも響かない場所 ....
街外れで
唸りだす自動販売機の理由を
僕は知らない
全てに理由があると仮定して
その唸りの意味を
誰も知らない
振り向いてしまう癖は
いつかの草笛のせいで
僅かな違いを聞き分けるこ ....
乗り込んだ8番線ホームは
おかえりと張り紙がしてあった
朝顔の色を真似た夕暮れ
僕は余白に
ただいまと付け足す
忘れ物がいつまでも見つからない
開け忘れたカーテンのそば
自分色で横た ....
緑の海がたなびいて
少しのカーブで横切るレールを
3両編成の電車がすり抜けていく
乗り合わせた肩は語らないまま
ひとつひとつ 暮れていく
天気予報は雨
降水確率は不明
飾らない傘の行 ....
あの空の話
もう遠くなった映像の中では
坂道の向こうの太陽と
薄くなるグレーの空とが
混在していて
蝉時雨
引いては寄せて
寂しさを反芻している
知らない知らな ....
夢は、夜の
街灯の明かり
スポットライトの下で
夢にならない浅い日の
出ていかない言葉を
止まりそうな川に投げ入れて
岸辺の草原の
揺れる夜露の中
反転している街並み
空 ....
鳴り止まない犬吠埼
海の声を聞いているのは少女、麦藁帽子
岩に砕ける波の飛沫を数えながら
降りていくのは
坂道
道はいつまでも道で
道は今までも道だった
通り過ぎる国道409号線
....
覗き込むと
少年時代だった
手頃な石を落としてみても
いつまでも帰着しない
頭上では飛行機雲と交差する記憶
不意に飛んできた雲から雨粒が落ちていくと
からーん、からんと
遠くで跳ね返る音 ....
新しい音が鳴り出すと
見上げてしまう癖がついた
国道沿いの滲んだ校舎の上
スピーカーが漏らす
ひずんだ音
ずっとずっと変わらない
ひとつ
呼吸のように響いては
震えている何か
....
少年
いつかなくした自転車の
へこんだ場所を忘れてた
あの子を見ててブロック塀に
ぶつけたときにできたやつ
そうだったね
そこに貼り付けたシールは
昔からの空色で
覗くと雲が浮かんでた ....
深緑の
深くなる光を
鉄筋コンクリートの箱の中から
眺めています
時計の針は
ここを刻むと
それ以上は動かなくなるのです
取り残されるように
私と空間は
どこか
こころ ....
この庭を今
黒猫が横切りました
急ぎ足です
影だったのかもしれません
向日葵は私を追い越して
手探りで空へ
夕暮れの角度を真似して
ちょっと斜めに傾いてみると
向日葵と空が
一緒 ....
草原の秘密基地
今はもう影だけで
虫取り網を振り下ろす
残像が目に焼きついた
夕暮れの蝉時雨を
いつまでもそこで聞いていたっけ
通りすがりの車窓から指差した
この草原は僕なん ....
僕の隣を35度線が貫いていて
本線から外れたところで
あなたがうつむいていた
ような気がして
振り向いてみると
変わらずに
距離は隠してしまう
あなたの隣を36度線が貫いてい ....
大きな円を描いて
ゆっくりとゆっくりと
海沿いの風車
丘の上から
当たり前にそこにある日々とか
ここで今に生きてることとか
海に臨んで
やわらかい強風に
回転している
....
ごうごうと響かせる飛行機と
大小不揃いの草むらの間
用途不明の建物が
誰かに忘れられてそこに居た
穴だらけの屋根はもう屋根じゃなく
その上でロケットみたいな煙突が出っ張っていて
いつか ....
からころと音のする
そんな欠片が散らばっていて
拾い上げると色とりどり
思い思いに光を反射している
広い砂浜
両手を広げても足りない
誰もいない静けさは
ただ波音を響かせる
....
海沿いに走る防砂林を抜けると
右手に岬が見える
あの岬へ行こう
いつか交わした約束みたいなものだった
続いてる道は防砂林の中を
くねくねと曲がって上って下りて
右手に見えない海 ....
ざわざわと鳴り響く
変わらずに続いていく音
私の内側で広がっては消えていく
潮騒のようなもの
潮騒の降る
そんな街に出掛け
片耳で受止めながら
海沿いに伸びる道を歩いたりする
....
街灯がちかちかと合図を送ったので
家へ帰ることにした
これといって何もない一日の
夕暮れの空はやっぱり綺麗で
一昨日 昨日 今日 明日 明後日
一直線に繋がっていく
ただ それだけ ....
もう
行過ぎてしまったのでしょうか
継ぎ接ぎを当てながら乗り継いで
ここまで歩いてきたけれど
風の叩く音に急かされて
窓を開けて覗き込めば
色と色とが混ざり合った空が
時間の流れ ....
黄色
ただ一面の
春混じりの風に揺れ
さらさらと
ぱっと明るくなったようなその中に
ぽつんと一人立ってみると
どこが始まりでどこが終わりで
なにが理由でなにが結果で
それば ....
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