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遠いお話を
忘れないために
僕等は
指を折りながら
花の咲くのを待っている
寝返りの度に
蒸発してしまう夢を
朝のそばで
取り戻そうとしている
見つからないままでいる ....
開いた空に手をかざす
高い太陽からの光線が
透き通る
通過
在り来りなものに
ときに目をとめてしまうから
歩みは加速しない いつまでも
初夏の影がちらつき始めた
散らばった ....
夕暮れ発 明日行き
手をすり抜けた紙飛行機は
いつまでも落ちない
深まる緑の季節も
夕焼けを背景に影になる
傾いていく時刻に
明日を見ながら祈って
紙飛行機を折る
飛ばした ....
あちこちに光を反射する海と
緩やかに登っていく山の斜面とに
張り付くような町を
通り過ぎる
ざあざあと
長い波間を
滑り込むようにして
通り過ぎる
穏やかと
それ以外に言いよ ....
気がつけばすべてがあの日に返っている
ポケットに突っ込んだままの右手を
思い出して引き抜くと
零れ落ちていく ぽろぽろと
ありふれた困難とか
いつまでも続く分かれ道とか
乗り切るた ....
連続していく
足元で繰り返していく季節
飛び越える音も聞き慣れた
回り続ける円の内側を
ただ一列に連続していく
繋がっていく
足元で連なっていく蟻の行列
長く長く終わりが ....
4月の空は霞んだ青
地面に張り付く僕等の上を
紋白蝶がひらひらと
縫い合わせていく
南向きの窓から
緑の塊に見える林の向こう
隠れるようにキャベツ畑があって
近づくと白い花びらが
....
たなびいていく
たなびいていく
淡紅色の欠片の群れが
空に向かってたなびいていく
たなびいていく
たなびいていく
思い出色の校門に
長いあなたの黒髪が
空に向かってたなびいてい ....
突然の雨に
掌で傘を作ってみたけれど
隙間が多くて
無抵抗に濡れていく私です
傾きかけた夕暮れに
落ちてくる雨は暖かい
いつのまにか
大切なことを忘れてしまったようで
メモ ....
音も無い
そんな雨に出会って
そんな中に
佇んで
包まれて
張り付いた前髪から跳ねる雫も
もう遠くの出来事のようで
霞んでいく風景に
この道はどこへ行くのかと
この私 ....