夕暮れ発
霜天

夕暮れ発 明日行き
手をすり抜けた紙飛行機は
いつまでも落ちない


深まる緑の季節も
夕焼けを背景に影になる
傾いていく時刻に
明日を見ながら祈って
紙飛行機を折る

飛ばしたのは私でも
飛んでいくのは紙飛行機だ
紙でできたそれは
この手で破ることが出来るのに
飛んでしまえば 届かない

飛ばしたのは私なのだ
確実に 確実に
落ちない紙飛行機は夕暮れを越えて
夜の中へ
着地点は明日の朝だと
勝手に決め付ける
赤と青とが混ざり合った空を
今はまだ 落ちない


夕暮れ発 明日行き
いつまでも落ちない紙飛行機は
光を零す電車の列の向こうへ
すうっと消えていった


自由詩 夕暮れ発 Copyright 霜天 2004-05-04 19:10:43
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