紐解かれる
霜天

突然の雨に
掌で傘を作ってみたけれど
隙間が多くて
無抵抗に濡れていく私です

傾きかけた夕暮れに
落ちてくる雨は暖かい


いつのまにか
大切なことを忘れてしまったようで
メモをとっておいたのに
その場所さえも忘れてしまったようで

もうあなたは
横顔だけになってしまった


こうやって
少しずつ紐を解かれるみたいに
落としていってしまうのかな

雨に濡れた前髪から
剥がれ落ちていく水滴みたいに


きっとそれは
傾いた夕暮れから落ちてくる水滴が酸性のせいで
私も あなたも 通りすがりの人も
ゆっくりと解けていくんだろう


突然の雨に
掌で傘を作ってみたけれど
意味が無いことを私は知っている

解けていく夕暮れ
私にはぴったりだった


自由詩 紐解かれる Copyright 霜天 2004-03-31 17:43:54
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