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11月の珍しい雨
暖かく 枯れ葉は勇み足
駅からの小道
うたを忘れた
鞄の少女は
傘も持たず 泣いていた



両手は鞄でふさがり
ブラウスの肩は
濡れはじめる
錆ついた歩 ....
  ああ おれはこわれた
   二丁目の角で 
 月見うどんすする スーン
 鉄格子のなかから するどいめだま
 おりまげたひざのうらには ぶっとい静脈
  にわとりのしずく 
  ....
 
 本日、バック転日和。池谷幸雄は今頃なにをしてるかどうか、という問いに答えるのは、簡単だ。
 バック転をしている。相変わらず。月でもいい週でもいい、大阪人がタコ焼きをほうばる回数より多くバ ....
 誰もいない土手に座って 動かないブルドーザーを見てる
 雨が降ったのはもう何日も前 消えない水たまりを
 車輪のついた風が駆け抜ける


 人がいないのはこの一瞬だけ まばたきをすれば
 ....
 壁に咲く花を見落としても
 私は死なない
 

 夏は確かにあった
 冷蔵庫の置きすぎた麦茶からは
 想像もできない


 どこか
 ダムの底に消えた役場のよ ....
 午前一時 机に肘ついて 見えない国道を眺める
 建物の奥には陰険がある そして街中にもそれはあった
 ブランコをこいでるときに 
 どこか知らないとこへ飛んでしまうおそれなんか抱かなか ....
つぎはぎだらけのオニオンパイ
心に何もなくても 白紙があるから 散乱しても
おもちゃの劇のように 一晩かけて作ったおもちゃのお城を壊すだけ
這いつくばった地面のひび割れとともに  ....
せつな過ぎて 街灯に浮かんで逃げる自分の影に泣けてくる
おれが移動すればおれの影も動く
泣いてても笑ってても 影の表情や温度は変わらん
光の帯となって過ぎ去ってゆく特急列車の通過
おれは野菜と ....
  蛸壺の中で何人も嫌味を言い合っている 煙で見えなくした無表情の顔で

  三秒間で繰り出した言葉が 何人もの内臓をえぐり 来世さえ摘み取ってゆく

  知らない顔も知ってる顔も ホッチキス ....
  

 ターテンは
 両足が不自由で
 下半身と両腕に
 ギプスのような器械を
 つけていた
 本名の達野公彦と呼ぶ者は
 誰もいなかった
 みんな彼をターテンと呼んだ
 ....
 公園の水のほとりで
 老人が自爆している
 ソフトクリーム胸に突き刺しながら


 芥子色のニット帽が
 つぶれて落ちている
 喘ぐ声は、聞こえない


 だ ....
外から
窓を叩いている
さむかぜが吹いている
部屋のなかで
ふくらんだふうせんが
飛んでいる
鍵はかかっている
入れる扉もない
窓を叩き割ることも
思いつかなかった
ふうせ ....
 
  


 わたし、苺をいただこうと思って、近所の自動販売機まで出かけましたの、そしたらば、それは偶然、ペプシの自動販売機でございましたが、なんとも、苺は売ってませんのよ、懐疑という二 ....
  
 

 もうこうなりゃポカスカ日和だ
 立っていると
 足がくらげになってしまうほど
 あったかかった
 午後三時の図書館の屋上は
 どの午後より
 死んじゃってる、と
 お ....
 

 もうオオカミは吠えない
 寝静まった夜更け
 窓の向こう
 開かないパラシュート
 地面で弾む音が
 幾つも聞こえる



 氷河期の時代
 地球上には
 愛がなかっ ....
 


  
 ちくわ
 が好きだとしても
 ぼくを獅子丸あつかいしないで
 水でっぽうから
 ミサイルを発射しても
 ぶっしゅだとは思わないで
 ぼくは下駄をはいて
 まっすぐ ....
 ハンカチを落とした 鶏の胸肉のような色
 ペンギンが踵から剥ける
 中身は大吾
 繰り返し描かれるマジックの人面魚のひげ
 さきほどは嘘だったのに
 感動を呼ぶ映画にな ....
  




 歩道橋の真ん中に
 枯れた花束があった
 しなびて横に傾いていた
 錆びついた階段を
 とにかくのぼって
 誰かが飛び降りた





 歩道橋の下の
 ....
自炊なんかしねぇ
俺の部屋 三角コーナーのスポンジから
俺の生活の血が滴り落ちる
見ず知らずの人刺したのは
後でやっと気づいた
赤目剥いて俺を見つめる信号の赤
 ....
            

 被害妄想のために
 恋人を殴って
 流れた血を見たら
 おれは生きてる気がした
 これがおれのやりたかったことだ
 やっと見つかった
 天職を ....
 いつものようにマンションの郵便ポストが冷たく死んでいる
 買えやしない分譲マンションのチラシ、呼びもしないデリヘルのチラシ、
 性欲ってビジネスになるんだなって納得するほどのピンクチ ....
  

 段ボールの切れ端から
 夢を見た


 やさしさに包まれた炎
 どんどん燃えていく民家
 煙を感じるはじめての


 あれは炎だ
 単なる火であり、炎だ

 ....
探偵を探す旅を続けている


シャツのボタンの止め方がわからない


サイレントの救急車の中で嘔吐する


銃口でえぐられた横っ腹の傷


ベッドのない病院の中庭で
 ....
 得意げにまわってる
 あの子は
 何も話せないから
 おどけてるだけなんだよ
 水色の音楽の真ん中
 はしゃぎ過ぎて
 黄色のスカーフが
 ほどけて
 落ちた ....
 ぼくたちの見えるところ見えないところ
 繰り返される欲望の衝突のおかげで
 ぼくたちはもぬけの殻になってしまった
 風鈴がチリンと一つだけ鳴る
 意味を終えた紙吹雪のように
 ....
 湿ったマンホールの中でひしめきあった豚たちが
 悲鳴を上げている
 チカチカする電灯の合間に
 血走った目が光って見える
 だからどうしようぼくたちは白い粉の洗剤を飲 ....
 深夜のプールに
 腹を裂いた犬の死体を浮かべた
 悪いことしてない
 したいからした
 細切れにされた僕が
 立ち尽くし
 一つしかない空の星を
 噛み砕いた
 
 通り魔が居眠りする路上で
 おれは通り魔を殺した
 こわくない
 おれはたった一人の人間だ
 心臓と肺を持つ
 たった一人きりの人間だ
 長い長い
 疲労感と倦怠感、頭 ....
 井戸水の表面に映った三日月の先が
 赤みどろに染まった
 折り重なった葉の上で
 崩壊をたずさえた少女の落涙
 狂いはじめた
 鈴虫の羽に
 つぶやきのような雨しずくが
 ....
 結びかけた靴の紐が
 切れた瞬間に
 砂時計の砂は
 落ちきった
 
 海が燃える
 
 
 紙飛行機の上で
 くしゃみする
 ひっかき傷のせいで
 墜落す ....
m.qyiさんのカンチェルスキスさんおすすめリスト(35)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
少女の合計- カンチェ ...自由詩312-1-27
にわとりのしずく- カンチェ ...自由詩409-9-7
クロマニヨンプレイ- カンチェ ...散文(批評 ...409-6-2
蝋人形の抜糸- カンチェ ...自由詩509-4-8
壁に咲く花- カンチェ ...自由詩1008-10-16
永遠ブランコ- カンチェ ...自由詩808-9-2
つぎはぎだらけのオニオンパイ- カンチェ ...自由詩308-8-6
穴を掘れ- カンチェ ...自由詩308-1-24
それが何だったかもうわからない- カンチェ ...自由詩108-1-13
ターテン- カンチェ ...自由詩1007-11-1
ソフ- カンチェ ...自由詩1007-10-17
レコードの針はとまり、- カンチェ ...自由詩807-10-16
苺を求むる- カンチェ ...散文(批評 ...507-5-12
右手の甲にそら豆- カンチェ ...自由詩1107-3-3
オオカミに襲われた傷- カンチェ ...自由詩607-2-17
ちくわ- カンチェ ...自由詩306-8-7
きんぎょ鉄パイプ- カンチェ ...自由詩206-8-7
レモン水- カンチェ ...自由詩806-7-3
教科書どおり- カンチェ ...自由詩206-5-20
生身の人間- カンチェ ...自由詩606-4-29
喝采のクレオパトラ- カンチェ ...自由詩806-2-6
放火魔の小便- カンチェ ...自由詩405-11-30
全力の腹痛- カンチェ ...自由詩205-10-1
ころがるちゅうしん- カンチェ ...自由詩10*05-9-14
やさしい活気が乱暴に穴を開けた- カンチェ ...自由詩8*05-9-12
時計の針の音しか聴こえない- カンチェ ...自由詩405-9-7
縦に裂ける- カンチェ ...自由詩705-8-3
移民- カンチェ ...自由詩505-6-24
崩壊をたずさえた少女の落涙- カンチェ ...自由詩505-6-20
そらを掘る- カンチェ ...自由詩1005-6-20

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