蝋人形の抜糸
カンチェルスキス

 誰もいない土手に座って 動かないブルドーザーを見てる
 雨が降ったのはもう何日も前 消えない水たまりを
 車輪のついた風が駆け抜ける


 人がいないのはこの一瞬だけ まばたきをすれば
 夕日が戻ってきて 尻尾を振る犬が遠くに見える


 頑丈な鉄橋は スピードを支える
 深く吸い込んで息を吐いたのは おれなのか
 強いて急いだのは 結末なのか
 きみは涙のない日々を送る


 折れ曲がった釘と 地面に残したおれの足
 闇雲に発達した土踏まず
 化石のように つぎ行く場所を知らない


 



自由詩 蝋人形の抜糸 Copyright カンチェルスキス 2009-04-08 01:23:46
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