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これからの僕は 
嫌な上司のみみちい小言を、撥ね返す。 
これからの僕は 
苦手な注射も唇結んで、ぐっと耐える。 

どうやら親父になるらしい 
僕は自分の弱さを抱き締めながら 
日常の ....
遮断機の棒が塞いだ 
目の前を列車は瞬く間に走り抜け 
突風に泳ぐ前髪は、唄い出す 

{ルビ焦=じ}らすように長い間道を塞ぐ 
赤ランプの音と{ルビ邪=よこしま}な棒が上がる迄 

 ....
仏像はいつも 
右の掌をやわらかな皿にして 
何かをはかっている 

左の掌を崩れない壁にして 
邪念を払っている 

日々の出来事に惑わされぬように 
同じ姿勢で私も、坐る。 

 ....
上野の美術館を出た帰り道 
焼芋屋の車が、目に入った。 

財布の懐が寒いので 
「半切りをひとつ」と言い 
小銭三枚をおじさんに手渡す 

紙袋からほっくり顔を出す 
焼芋をかじりな ....
 三月十一日・午後二時四十六分、彼はデイ
サービスの廊下でお婆さんと歩いていた。前
方の車椅子のお爺さんが「地震だ」と言った
次の瞬間、壁の絵は傾き、施設は揺さぶられ
る海上の船となっ ....
私という人間は、一冊の本なのです。 

四角いからだに手足を生やし 
不恰好に揺れながら 
人々の間を往くのです 

私が通り過ぎる時 
誰もが振り返り 
「何だい奴は」と{ルビ嗤=わ ....
私は今日も、顔を洗う。 

両手で覆った顔を上げて 
目に映る何でもない日常が 
常に真新しい(今)であるように 


  * 


もう会うこともない 
ある人が 
いつか何 ....
職場の休憩室で 
目覚めた朝 
ふいに手を見ると 

午前零時過ぎまで残業した 
昨日の仕事をメモした文字が 
手の甲に薄っすらと残っていた 

昨日がどんなに忙しかろうと
昨日がど ....
渋谷駅前広場に置かれた 
緑のレトロ電車に入り腰を下ろせば 
クッションみたいな長椅子は 
日頃の腰の疲れを
吸い取るように暖かい 

走ることの無いこの車両に 
集まる老若男女は 
 ....
母親に抱かれた赤児は 
空に響き渡らんばかりの声をあげ 
全身で泣いている 

泣くことは、生きること。 
だというように 

ほんとうは大人になっても、
黙ったふりで、泣いている。  ....
「明るい私」を演じる日々に疲れて 
休日は体を丸めた蓑虫となり 
布団に包まる 

{ルビ転寝=うたたね}の間に 
夢の運転席で僕はハンドルを握り 
並走する左の車線に 
追いついてきた ....
どうやら僕は
今迄の思い出を 
大事にしすぎたようだ 

部屋の中は 
まだ終えてない宿題みたいな 
山積みの本  

ポケットの中は 
札は無くともささやかな記念日の ....
屋久島の暮らしでは 
無数の鯖が 
村人達の手から手へとまわり 
こころからこころへとめぐり 

一匹の鯖を手に
樹木のように立つ老人は 
不思議なほどに 
目尻を下げる 

夜明 ....
彼はいつも、四つ足を 
ぴたりと大地につけている。 

一体何が本当に 
天から彼に 
与えられたものなのか 

ぢっと開いた丸い目で 
夜の{ルビ静寂=しじま}を見抜く 
蛙のよう ....
「自動販売機に並ぶ 
 ペットボトルの色水達は 
 どうも買う気がしないねぇ・・・」 

そう友達に話した昨日は 
蝉時雨の降りそそぐ
残暑に湿った一日でした 

翌日一人で出かける僕 ....
「 よいしょぉ・・・! 」 

どしゃぶりの雨の中 
三人の男は 
橋の欄干にぶら下がり 
川へ落ちそうな独りの女を 
心を一つに、引き上げた。 

(ソノ時彼ハ、ジーンズノ腰縁ヲグィ ....
今日も列車はゆっくりと走り出す 

人々が不安げに見る 
車窓の外の遠い山に身を埋める 
観音像は 
すべてを{ルビ識=し}っているように 
瞳を閉じる 

自分で望んだ記憶も無く
 ....
「免許を取るには、年齢位の金がかかる」 

誰かさんが言ってた通り 
33歳にして33万という金を 
母ちゃんは惜しげもなく貸してくれた 

二俣川で筆記試験に受かり 
初めて免許を手に ....
酒の宴の窓の外 
宵闇に浮かんで消える 
いのちの{ルビ花電気=イルミネーション}

窓硝子に映る人々が 
杯交わす晩餐は 
遠い日に想い出される 
束の間の夢 

夜風の吹く 
 ....
道の向こうから 
傘を差す若い婦人が 
ベビーカーを押して来る 

雨に濡れないよう 
ビニールの幕に囲まれた 
幼い女の子 

傘を忘れ 
日常の雨にずぶ濡れ 
靴下も湿った僕は ....
図書室のソファーで 
隣に座る青年が手にした 
テスト勉強のノートを
ちらっと覗く 

問6 

「(第九)という代表曲を作曲した 
  音楽家は、次の内誰か答えよ。 」 

   ....
昨晩瞬いていた満天の星屑が
ねむってた間に降ってきて
昼の七里ヶ浜の海にきらきら光る

昔々
女がりんごの実をもいで
男に蜜をあげました
  
人祖の罪で失われし楽園も
秋晴れに江 ....
beebeeさんの服部 剛さんおすすめリスト(142)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
新米親父の詩_ー胎児の合図ー_- 服部 剛自由詩611-4-10
幕開けの詩_- 服部 剛自由詩111-4-6
はかる_- 服部 剛自由詩211-3-28
芋と言葉_- 服部 剛自由詩8*11-3-22
日の丸の旗_ーSAVE_JAPANー_- 服部 剛自由詩411-3-17
幸福の本_- 服部 剛自由詩811-2-24
(_秋の日の断章_)_- 服部 剛自由詩508-10-22
(_今)に立つ- 服部 剛自由詩5*08-10-15
昭和の電車_- 服部 剛自由詩908-10-13
泣いていいよ_- 服部 剛自由詩508-10-12
夢の道路_- 服部 剛自由詩7*08-10-11
Freedom_Song_- 服部 剛自由詩32*08-9-22
屋久島の鯖_- 服部 剛自由詩11+08-9-14
石ノ蛙_- 服部 剛自由詩1008-9-10
(_無題_)_- 服部 剛自由詩408-9-5
いのちの綱_- 服部 剛自由詩908-9-1
星屑ノ唄_- 服部 剛自由詩608-8-30
免許を取れた日_- 服部 剛自由詩27+*08-8-26
蛍の光_- 服部 剛自由詩308-6-14
向日葵_- 服部 剛自由詩308-6-14
宇宙のうた_- 服部 剛自由詩607-12-8
きせきのひ- 服部 剛自由詩10*03-10-26

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