箱庭
石瀬琳々

「目をこらしてごらんなさい
 この世界はふわふわ漂っている
 箱庭なのです」


風が草の中でささやいている
透明な壁の向こうで
見知らぬ風景がふるるとゆれた
君はそっと魔法の呪文を唱える
すると天窓から雲が流れ
遠くはるかな星々の輝きも見えてくる


草の中はあたたかくて
僕たちはどこまでも漂っていける
やがて時さえも忘れる
二人だけの時間が
ソーダ水のようにはじけて
静かに泡立ち続けるように



自由詩 箱庭 Copyright 石瀬琳々 2008-09-04 13:45:43
notebook Home 戻る