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太陽の剃刀は陰部からひと脈の血を匂わせた
人肌の季節を占って結露した光の置き場に困り果て
まだ暗い田畑で骨を拾う
骨は拾われる度に肥え月や星の声を濁らせた
他者の思考の中で溶かされる甘い小舟か ....
汗も涙も塩辛い
胆汁は苦い
寒さに震えるネズミ
呼吸を忘れたネズミ

肉体と精神の糸のほつれ
つぶれたトマト
窓から飛び出した冷蔵庫
氷嚢をあたためる心臓

入れ子状の死
ゴミ箱 ....
太陽に視姦され
草木の血は凝固する

飛来ではなく剥離
季節は肌を散らす
バラのように 蛇のように

鳥のように音が
魚のように光が駆け抜ける
時の流れの底

目には止まって見え ....
{引用=衝突}
虚空をただひたすら遠く
時の道を踏み外すところまで
それとも落下
全ての存在の至るところ
深淵の 
真中の
針先で穿たれたような一点へ
そんな慣性のみの
生の旅路であ ....
 *

終りのないものの終わりを決める
生きることは括り閉じることの繰り返し

言葉に置き換えられた
かたちのないものが夜うっすらと発光する
夏の夢の欠片が螢なら

抗うことを止めた ....
風の戸棚から匂って来る
木の葉一枚一枚の時間のずれと
牢獄から嘆願する女たちが
脳の一部を炙っている


飛行機は他人
張り伸ばした皮を擦るように
蒼い空ろを響かせた
わたしたちはあ ....
風は荒れ狂うものさ 解かるだろう
やがて虚ろな静けさだけが残るって
風向きを変えることはできないし
目的地を変えることもしたくない
帆船ってやつは風頼みの上
腕に頼りもやめられないってこと
 ....
アフリカの仮面の下で夜が流れていた
どぶ川で切った足から火の霊が入ると
真っ赤なオタマジャクシが身動きできないほど
か細い血管を遡り小さな手足を生やして泡立った
新月と時計の針が向かい合う
 ....
三月の終わり静かに雪原を食むもの
山々はうたた寝
雲の枕に青い敷布
芽吹く前の樹木が苔のように覆っていた
――チャコールグレイに粉砂糖
それもあっという間に銀のしずく
いくつもの涙が一つの ....
――ミルカ ヌカルミ

そんな回文が虻のように掠めた時
女のなにくわぬ横顔は真新しい日記帳で 
天道虫だけが慌てて這いまわっていた
とても大切なものを落としてしまい
それがなにかも思い出せ ....
風が歌わない日にわたしたちは何を聴こうか
再生し続けることで乾く色彩の体温
その沈黙まで指先で縋るように諦めながら
待っているどちらでもないひとつの結末を


インプットしてきたものが違う ....
車の中のあなたは雨 避けがたくとりとめもなく

一つの今と一つの場所が移動する 相づちは質量を残さない

「モノローグ」そう題された つめたい彫像として心臓まで

こと切れたままのラジオ  ....
嘆息の理由なら他にある
豊満な月に耐えきれず包み紙を脱がせただろう
子供みたいにあちこち汚して
今日がその日ならと狼みたいに祈ったね
誰かのせいだと言うのなら
それはわたしのせい(玄関前の犬 ....
冷たい灌木の素足を芝草が覆う
うぶ毛のようなスギナの森
露に閉じ込められて朝の光が震えていた

「友よ お飲みなさい
こっちは先に頂いています もうすっかり
辺り一面へ溶けだして ほら太陽 ....
雪に埋もれたまま青く影を落とし
家々は俯き黙祷する
気まぐれにも陽が歩み寄れば
眩い反射が盲目への道標

抱擁されるまま

冷え切った頬が温もり
辺りに耳が開かれるころ
頭の後方 梢 ....
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