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「武甲書店」に立ち寄った旅人と 
キャベツの皮を剥くマスターが交わす 
カウンター越しのささやかな会話 


「 たった一言で、世界は 
  天国にも地獄にもなるよ 」 


「 あ ....
  からからから 


バスの車内の床を
なすがままに転がる 
誰かが忘れたコーヒーの空き缶 


  かーん 


いい音立てて 
優先席の爺さんの 
杖にぴったり止まった ....
 それぞれに 
 ぽっかり開いた胸の穴 
 貫いてゆく
 いのちの言葉 
もしかしたら 
病気で半年前に退社した
若奥さんのUさんは 
日々ずっこけるこの僕を 
きらいじゃなかったかも?と 
今さら思う 

僕は特別Uさんに 
ホの字だったわけでもないが 
 ....
道を歩きながら 
開いた本のなかに 
在りし日の老いた詩人は独り 
捲れる頁から頁へ渡り歩く 
無声映画の季節 


   * 


 冬 

上野駅の踏み切りの橋の上から 
 ....
人々の行き交う夕暮れの通りに 
古びた本が 
不思議と誰にも蹴飛ばされず 
墓石のように立っていた 

蹴飛ばされないのではなく 
本のからだが透けているのだ 

聴いている

時 ....
田舎の駅の階段を 
せーらー服の少女は軽やかに上り 
ひらひたと舞うすかーとのふくらみに 
地上と逆さの重力が働いて 
自ずと顎が上がってく 

まったくいくつになっても 
男って奴ぁい ....
旅先の緑の山に囲まれた 
川のほとりの砂浜で 
独り石に腰かけていた 

これからの日々で 
立ちはだかる壁を思う 
鉛の心が重かった

空に燃える正午の陽を浴びながら 
激しい川の ....
地上を覆う 
夜の帳の重さを 
老木の林が支えている 

土深く 
張り巡らせた 
無数の根足を踏ん張りながら 

夕闇に黒く浮き立つ 
老木達をじっとみつめる 
君の体から放たれ ....
老人ホームで 
19年間すごした
Eさんが天に召された  

すべての管を抜いて 
白いベールを被る
安らかな寝顔の傍らで 
両手を合わせた日 

帰り道に寄ったマクドナルドで 
 ....
遠い空の下 
母親の姉は幼い娘と手をつなぎ 
初めて小学校の門に入った日 

職場で交わした 
十年目の契約で 
ようやく正職員になった日 

朗報を伝えようと 
玄関を開いた家は  ....
  夜空をみつめて
  歩いていたら 
  遠くの星が瞬いた


{引用=孤独でもいいじゃないか・・・

きみのいる青い{ルビ惑星=ほし}も 
ここからみれば 
宇宙に ぽつん と浮 ....
糖尿持ちの母ちゃんが 
昔より疲れやすくなり
今迄ほったらかしていた 
使った皿や洗濯物を 
最近僕が洗いはじめた 

ベランダに出て
竿に作業着を干す 

日々の疲れに
湿った心 ....
東口を出た歩道橋に 
一人立つ 
目の見えない 
フルート吹きの奏でる 
あめーじんぐぐれいすの 
音色を前に 

手押し車の老婆は通りすぎ 
土産袋を持ったサラリーマンは通りすぎ 
 ....
春雨の降る午後 
私は一人傘を差し 
無数の蕾が開き始める 
桜並木の道を往く 

三っつ目の信号を曲がり 
学校に沿う坂を下ると 
傘を差す 
君の母が立っており 
喪服の私は頭を ....
一人のひとの 
こころに宿る 
一つの宇宙 

銀河の塵を何処までも 
深く掻き分け泳いだ場所の   
無明の闇の広がりに 
ぽつんと一人 
ひかりの人が 
仏の姿で坐っている 
 ....
とぼけてしまった
お風呂上りのもーり爺さんを 
いたずら好きなNさんが抱きかかえ 
こころやさしいIさんがオムツをあて 
ぼ〜っとしてるぼくが後ろから車椅子を入れる 

車椅子に腰を下ろし ....
昨夜からの強風で 
停まってしまったモノレールの車両が 
ホームを離れた線路の下に 
ぶら下がっている 

一月前、自ら途中下車した 
君の人生のように 

骨壷の前に坐り
遺影の君 ....
恋人を亡くし 
自らのこころを立て直そうと  
遠い旅先で 
免許取得の合宿に入った君は 
今日初めてのハンドルを握った 

仕事から帰った僕は 
君のブログの日記を読む 

「ギア ....
仕事帰りの人波に紛れ 
手を繋いだ老夫婦が 
通りすぎていった 

耳に入れたイヤフォンから 
「ベル」という唄を聞くと思い出す
もう会うことも無い
いつかの君の猫なで声 

少し離 ....
久しぶりの路上ライブで 
再会した彼は 
唄い終えると 
ギターを背後の壁に立てかけ 

白い吐息を昇らせて 
小鳥みたいに震えてる 
ファンのみんなに 
ほっかいろを配る 

昼 ....
いくらむいても 
姿一つあらわさぬ 
たまねぎみたいな 
かみさまなんぞを
しんずることは 


   ()
  (())
 ((()))
 ((()))
((( 詩 )))
 ....
ぼくが司会をする朗読会の前に 
亡き友の魂に祈る為 
愛する作家の遺作に出てくる 
上智大学のクルトルハイムを訪ねた 

洋館の重い木の扉を開くと 
暗がりの壁に 
一枚の肖像画があり  ....
雪のつもった日のバスは 
渋滞でみんな遅刻のはずなのに 
なぜかこころやさしい 

雪化粧の街を窓外に眺める 
人々をぎっしり乗せた
バスのなか 
ネクタイのよれたおじさんが 
あんパ ....
こころをそらにすると 
あるがままにうつるようになる 

つくえのうえにちらばった 
えんぴつやほんも 
かっぷやすぷーんも 

きのう
ぼくのむねにぐさりとささった 
だれかのこと ....
初出勤のバスには 
4人の乗客 

到着するバス停を降りて 
それぞれの瞬きを胸に
それぞれの舞台へ 
散らばってゆく僕等は 
地上に降りた 
4っつの星 

体の透けた 
帽子 ....
昨晩は夕餉のあとに 
家族みんなでテレビを囲み 
遠くへ嫁いだ姉が送ったビデオを入れて 
5歳の姪が懸命に踊る姿を見ていた 

今朝は早くに目が覚めて 
寝ぼけ{ルビ眼=まなこ}で水を入れ ....
最近運動不足だったので 
行きも帰りも 
家と駅の間を歩き 
めっきり乗らなくなった自転車が 
ある冬の日の玄関で 
肌寒そうに置かれてた 

( 今日は休みだたまには乗るか ) 

 ....
きょうというひのできごとの 
いいとわるいを 
きめるのはやめよう 

え? ということも 
あとで よかった になる 
はからいのふしぎをおもいたい 

わたしのひとみに 
うつる ....
朝食のバナナをほうりこみ 
口をもぐもぐさせながら 
ねぼけまなこで 
汚れた作業着をはく 

ポケットから取り出した 
昨日の悔しい仕事のメモを 
丸めてゴミ箱にすてる 

窓から ....
夏野雨さんの服部 剛さんおすすめリスト(127)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ぽえかふぇにて_- 服部 剛自由詩208-6-29
空き缶と旅人_- 服部 剛自由詩4*08-5-28
Poetry_Night_- 服部 剛短歌3*08-5-26
机上の地図_- 服部 剛自由詩308-5-15
白い道_- 服部 剛自由詩208-5-11
詩人の肖像- 服部 剛自由詩11*08-5-2
お花畑にて_- 服部 剛自由詩6*08-4-30
石の人形- 服部 剛自由詩2*08-4-28
いのちの石_- 服部 剛自由詩308-4-18
蜜柑の木_- 服部 剛自由詩808-4-10
告知の夜_- 服部 剛自由詩408-4-9
青い惑星_- 服部 剛自由詩308-4-9
いのちの洗濯_- 服部 剛自由詩3*08-4-6
五線譜の橋__- 服部 剛自由詩17*08-3-24
春雨の午後_- 服部 剛自由詩18*08-3-24
涙ノ星_- 服部 剛自由詩308-3-17
もーりさん_- 服部 剛自由詩408-2-24
遺影の君へ_- 服部 剛自由詩4*08-2-24
声援_- 服部 剛自由詩14*08-2-21
ひかりの夜道_- 服部 剛自由詩308-2-20
唄人の石_- 服部 剛自由詩508-2-18
たまねぎ_- 服部 剛自由詩308-2-18
イグナチオの涙_〜クルトルハイムにて〜_- 服部 剛自由詩308-2-18
雪の日のバス_- 服部 剛自由詩508-2-4
「_灯_」- 服部 剛自由詩708-1-25
ひかりの鳥_- 服部 剛自由詩608-1-4
空の器_- 服部 剛自由詩3*07-12-5
自転車の唄__- 服部 剛自由詩7*07-11-29
ふしぎな道_- 服部 剛自由詩3*07-11-21
緑の芽_- 服部 剛自由詩4*07-11-13

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