すべてのおすすめ
君の母の納骨式が行われた日の夜 
朗読会の司会を終えた僕は 
仲間達に手をふって 
高田馬場駅に近いコンビニの公衆電話から 
( 今、終わったよ・・・ )と、君に言った。 

久 ....
食卓の{ルビ笊=ざる}の上に置かれた 
柔らかい柿達は 
それぞれに傾きながら 
ひそひそと、会話をしている 

( 厨房では蛇口から 
  ぽとん、ぽとん、と水が鳴る ) 

初老の ....
満月の宵、何処からか琴の音のする温泉で 
畳の寝台に横たわり、いちめんの夜空を仰いでいた 

霞がかった雲の向こうに灯るいくつかの星は 
遠くから、僕に何かを{ルビ云=い}っている。 

 ....
 今夜は、僕が特に親しみを感じる詩の友が集う忘れ得ぬ日なので、僕が最も大切な{ルビ女=ひと}と出逢った{ルビ縁=えにし}の糸を{ルビ遡=さかのぼ}ってゆくことで、人と人の・・僕と彼女の出逢いの不思議を .... いつやって来るかも知らぬ 
嵐を恐れたところで、始まらない。 

夫婦というものは 
四つの瞳でみつめたものを 
二つの口で語りあい 
四つの手を重ねて 
一つの心で、祈るのです 

 ....
いつも銅像の姿で座っていた 
認知症の婆ちゃんは、ある日 
死んでしまった爺ちゃんを探して 
杖を放り出し、雨にずぶ濡れながら 
駅までの一本道を、ずんずん歩いた。 

最近、壁の前に立ち ....
あの塔の頂に立って 
私は何を、視るだろう。 

遠方の高見から眺めれば 
近過ぎると醜い人の世も 
小さい蟻の人々も 
昨日喧嘩した家族の憎い顔さえ 
愛しく思え 

見渡す街の霞 ....
老人ホームのお婆ちゃん達の前に 
エプロン姿の僕は立ち 
「花嫁修業です!」と言いながら 
台の上にボールを乗せて 
今日のおやつのお好み焼きの生地を 
でっかい泡立て器を握り 
ぐるぐる ....
不格好に欠けた{ルビ湯呑=ゆのみ}が 
窓から光をそそがれて 
嬉しそうに 
{ルビ煌=きら}めく{ルビ水面=みなも}を、揺らしている 
かつてランボオという名であった 
その喫茶店は、真昼も 
赤煉瓦の壁に、洋燈を吊るし 
仄かな灯を、ともしている 

在りし日の作家が 
夭折した友と懐かしい時を過ごした店の前で 
あ ....
一輪の花を愛でるのは、いいことだ。 
五月の風に身を揺らし 
花はハミング、するだろう。 

一輪の花に寄りかかりすぎては、いけない。 
細い緑の茎が儚くも 
折れてしまうことの、ないよ ....
今日のことを、話そう。 
大事なひとに、毎日メールするように。 

  * 

「先ほど、目が覚めました。 
 カーテンの隙間から 
 雨上がりの春の陽射しが 
 小さい{ルビ日向 ....
お風呂上がりで椅子に座る 
目の見えないハルさんが 
ドライヤーで髪を乾かす僕に、言いました。 

「新しい靴もねぇ、 
 毎日々々撫でてやったら 
 だんだん馴染んで来るんだよ・・・」  ....
自宅の階段で転び 
{ルビ痣=あざ}で膨れた顔になり 
10日ぶりにデイサービスに来た 
杖をつく、お婆さん 

手のひらの神経が痛み 
昨日の深夜に目が覚めて 
寝不足のままデイサービ ....
長い間一人で頭を抱え込み 
開けなかった扉を 
無心で抉じ開け 
小さい一歩を、踏み出したら 

日々一緒に働く仲間達や 
苦手だった上司まで 
不思議なほどに歓んで 
幾人も僕に、声 ....
この世という巨きな檻で 
誰もがひとつの「非常口」を探している 
それぞれの足首に鎖でつながれた 
鉛の玉を、引き摺りながら 

背後から迫る炎の手の、一歩先を 
脇目も振らずまっしぐらに ....
忙しい日々のレールを脱線するように 
不意に訪れた長い休暇 
病室のベッドに横たわる僕は 
窓外に立つ 
独りの樹の葉群を躍らせる 
風、を視ていた。 

( きらきらと、協奏曲の奏でる ....
雀等が、音符になって、弾んでる。 
米の蒔かれた、日向の国で。 

    
一日のつとめを終えた 
きゅうすと、湯呑みがふたつ 
流しの隅の入れ物に 
ひっそりと、身を横たえている。 

時計の針は〇時を廻り 
初老の夫婦はあどけない寝顔で 
薄っすら口を開けな ....
湯呑みというのは 
自らの役を心得て 
いつ出番が来てもいいように 
迷いの無い姿で 
すっとそこに、立っている。  
夜行列車を降りた旅先の富山で 
朝から無人のグランドに行き 
雪化粧した立山連峰に目を細めながら 
お兄さんと、キャッチボールをした。 

玄関を開いて部屋に入ると 
春に生まれたばかりの ....
婆ちゃんが三途の川を渡ってから 
いつのまにやら9ヶ月 

日曜の朝早く目覚めた僕は 
思いついたように動き出し  
あまりの遺品の多さに 
ほったらかしていた
戸棚の奥から 
次から ....
頭上には 
世界の全てを覆ってしまう 
曇り空 

足元には 
この世に産声をあげた日の
ひかりの種 

あぁ生きるとは 
{ルビ嘗=かつ}て地上で
夜の{ルビ灯=あかり}の下に揺 ....
終電のすいてる車内の空席に 
リュックサックを放り投げ 
{ルビ転寝=うたたね}をする僕に 

(ちょっと・・・邪魔)と言い 
わざわざリュックをどけて座り 
{ルビ草臥=くたび}れスーツ ....
一体どんな違いがあるのだろう? 
夏日の照りつけるアスファルトの上 
ゆらゆらと 
{ルビ陽炎=かげろう}になって今日の食物を探す 
あの家のない人と 

駅の構内に日がな坐り 
10円 ....
 少し前迄、初老の両親とこの店で食事をしていた。メニューを見る時に、視力の落ちた目を顰(しか)める父と母の前に座り、相変わらずふらふらと生きている自分を申し訳なく思う気持を抑えながら、何気ない会話 .... 2本のギターが 
壁に寄りかかり 
ひとつは背後に隠れ
倒れぬように、支えている 

もうひとつは 
傾きながら、立っている 
自分の力であるかのように 
背後の支えに、気づかずに 
 ....
決して口にはしなくとも 
(愛を生きる)と呟いて 
今日という日を過ごしたら 

目に映る周囲の人々が 
いつも以上に潤わしい 
家族の空気を帯びていた 

そんな時は決まって 
棒 ....
{ルビ若布=わかめ}の{ルビ疎=まば}らに干し上がる 
六月の浜辺を振り返れば 
今迄歩いて来た僕の 
たどたどしい足跡が 
霞がかった岬の方まで 
延々と続いていた 

あの岬の幻は  ....
「コチラハ廃品回収車デス 
 御家庭デ不用ニナリマシタ 
 テレビ・エアコン・冷蔵庫等 
 壊レテイテモ、構イマセン 」 

夕暮れ時に
2階の窓から眺めると 
我家の前の川沿いの道を  ....
夏野雨さんの服部 剛さんおすすめリスト(127)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
銀杏の葉_- 服部 剛自由詩310-10-31
夕餉の後_- 服部 剛自由詩310-10-25
瞬く星_- 服部 剛自由詩210-10-25
結婚披露パーティーで読んだ手紙_- 服部 剛散文(批評 ...7*10-10-23
夫婦ノ樹_- 服部 剛自由詩410-10-16
旅の始まり_- 服部 剛自由詩610-9-28
夕暮れの塔_- 服部 剛自由詩810-9-25
おやつの時間_- 服部 剛自由詩410-9-5
欠けた湯呑_- 服部 剛自由詩310-7-23
真昼の洋燈_- 服部 剛自由詩510-6-24
木陰の花_- 服部 剛自由詩310-5-12
今日の出来事_- 服部 剛自由詩610-5-11
靴と嫁_- 服部 剛自由詩610-4-28
今日という日の、カルカッタ。_- 服部 剛自由詩1+10-4-28
男の背中_- 服部 剛自由詩210-4-9
非常口_- 服部 剛自由詩610-3-24
海の音楽_- 服部 剛自由詩910-3-7
日向の国_- 服部 剛自由詩510-3-1
結婚記念日_- 服部 剛自由詩410-2-14
湯呑み_- 服部 剛自由詩4*10-2-14
青い鳥_- 服部 剛自由詩309-11-16
祖母の家出_- 服部 剛自由詩609-10-25
詩人の樹_- 服部 剛自由詩509-10-24
月夜の口笛_- 服部 剛自由詩509-10-13
ただようひと_- 服部 剛自由詩509-7-26
独白日記_〜今日の直筆ノートより〜- 服部 剛散文(批評 ...409-7-15
ギター_- 服部 剛自由詩409-7-11
露のひかり_- 服部 剛自由詩2*09-7-9
明日の海_- 服部 剛自由詩909-7-3
デクノボウの詩_- 服部 剛自由詩609-5-31

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する