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ふたりがまだ二ひきのりゅうだったとき
世界は平らで 雨がふっていた
眠るように飛びながら
からだはちょうど からだの重さだった

いまになって思いだすと
まぶたでは雨降りなのに
 ....
夫はわたしの手足を縛る、とても適切なやり方をしっている。どうしてだかはわからない。そういえば、最初からそうだった。どうしてだろう。他人なのに。

土曜日だというのに、部活動でもあるのだろうか、制服 ....
おとといの晩、列車をのりついで、姉がこちらへ来た。
電話が来たのが六時半で、その四時間あまりあとに明石のコンビニエンスストアで発見したとき、姉はおそらくいそがしく泣いたり、笑ったり、落ち込んだり ....
大阪市のあたらしい市長がニコニコ笑っているテレビ、独裁者が死んだ、知らない言葉、知らない人々。ずっともう昔に、キリストは死んだらしい、日本の政治は永田町でなにやら絡まっています、名刺交換、ミサイル .... 一秒に一京回の計算をするコンピューター。


夫は寝ている。多くの硬い毛に覆われた体。(それはそのままわたしの安心の形をしている。)それから、ぐったりと縮こまった性器。わたしにも早くペニスが ....
「ちりぬるを」 いろはにほへと 、でも君は死なないだろう それが君だろう 痛い痛い雨がやんだら堅い床踏みつける指すこし緑の

眠る人の横で研いでるさみしい女の匂いや色や言葉や

夜はまだ明るすぎるし広すぎる体が重くて朝を見れない

優しさのはりつく頬を撫でた ....
開け放し砂漠のようなせまい部屋 砂糖の雰囲気を探してる

二人して抱き合うふりして寄り添って あつめたものはばらばらの穴
みじかく、強めの雨がふる。もうやんだかなと思えばまた降り出し、まだ降っているかなとおもえばもうやんでいる。そんな調子で。

ぼうっとして、すこしずつ痩せたり、太ったり、食べたりしている。
子 ....
果物はみな少なからず官能的だと思うのだけれど、桃なんてその最たるものだ。たたずまいや、匂いや、舌触りや、もちろん味も。
桃の皮を剥くのって、肌を剥くのとも似ている。薄皮を剥がす感じ。熟れた桃の、 ....
這うように日々をゆく目の多きこと嘆きながら同じ目をして うるさいお前らそんなに喋るな、喋るなっていうか喋ってもいいけどそんなにうるさくするな。なんでそんなにうるさいの?なんでそんなに無知なの?声が大きいし言葉が間違ってる。
昨日私のパソコンはRの文字 ....
何かが失われようとしている。いつも、常に。移行する状態のなかで。いくつかの物事が同時進行的に失われていく。

落下した車両の撤去も済まぬうちに鉄道は再開する。ニュースは技術の盗作を騒ぎ立てる。 ....
扉を開けると夏が直角に立っている午前。

明石を経ち、埼玉を経て岩手へ、の途中で気仙沼に寄り、盛岡を折り返し仙台を通りまた埼玉へ帰って来た。明日また明石へ帰る。新幹線で。夫と。行きよりも増えた荷物 ....
自分とはぜんぜん似ていないものを あつめて暮らす 花とか夢とか 魚焼き網と食器桶をハイターに漬けて、便器とあらゆる排水溝にそれ用の洗剤を流し込む間に、うちじゅうの床を拭く。鏡とテレビとパソコンの埃を柔らかい乾いた布で磨いたあとで、便器とあらゆる排水溝とハイター .... カレーにかびが
ういていたので
かきまわして食べた

わたしは
いったい
どのくらいのかびで
出来ているのだろう
靴はかるくて
空は青色
人もまばらな
枯れた海辺で

飴玉がわりの太陽を
半分こして舐めながら
横切る不幸を指差して

かなしい色を
指にともして
柔らかい絵を
ふたりで描 ....
根腐れの根だけ残して摘み取られ 花だけを見て「咲く」を愛でられ  梅雨の只中だ。来る日も雨。こちらは雨も強い。どこにいても空気が重ったるく水分を含んでいる。

 昨日、婚姻届を提出してきた。受理日は今日になると言われた。警備室での提出。警備員のおじさんが二 ....
ドアーが開いたときにあなたはそこに立っていたのですか.わたしは気がつきませんでした、ドアーはいつ開いたのですか.ドアーが開いたときにはまだあなたはそこに立っていなかったというのですか.ドアーは誰によっ .... 写真を撮らなくなって一年ほど経った。しかし少しまた絵を描くようになって、カメラを使っているときにはほとんど絵を描いていなかった、文章だけはいつのときも書いている。
物事をおこなう上で(ここでは創 ....
昼間に、いくつか電話をかけた。仕事のための電話と、連絡、それから遠くにいる友人と、誕生日を迎えた男の子に。
恋人からは、いちにちに何度か電話がかかってくる。きちんとご飯を食べている?とか、洗濯物 ....
あしたの準備、というものをしないで寝る子どもだった。宿題も、時間割も、着る服もほとんど準備しないで寝てしまった。かといって、早起きするわけでもなく、だから毎朝、わたしは兵士のようにごたごたと用意す .... ゆるやかな住宅地、カーブに沿って咲いているひなげしの頭をひとつずつ摘みながら目の前を通り過ぎる乳母車を押した女に俺は尋ねる「俺は誰だ」ひなげしまみれの女は重たいまぶたをぴくぴくさせながら言う「知らない .... 口のなかの、右側の、親知らずを抜いたところが腫れている。そこはたびたびそのように腫れるのだけど、それは、「ばいきんが入った」せいだと、ずっと思っている。むかし長年歯列矯正をしていたころにも、そのよ .... 将来の展望というものが、希薄だなと思う。それは他人と話していて、感じる。
思い出というものも、同じようにうすぼんやりしている。未来のことも、過去のことも、ぼんやりとしていて、遠い。
二年後とか ....
榊 慧さんのはるなさんおすすめリスト(27)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
りゅうだったとき- はるな自由詩316-6-24
やすらかなこと- はるな散文(批評 ...212-4-15
おとといのこと- はるな散文(批評 ...512-1-10
初雪- はるな散文(批評 ...4+11-12-20
コンピューター、及びコーヒー、そしてタオルハンカチ- はるな散文(批評 ...711-11-15
ちりぬるを- はるな短歌311-9-23
夜はまだ- はるな短歌211-9-20
ばらばらの穴- はるな短歌311-9-18
おびえること- はるな散文(批評 ...411-8-25
桃のこと- はるな散文(批評 ...711-8-2
這うように- はるな短歌111-7-30
うるさい- はるな散文(批評 ...311-7-29
何かが失われようとしている- はるな散文(批評 ...111-7-26
前日のこと- はるな散文(批評 ...411-7-19
生活- はるな短歌611-7-10
捨てるのこと- はるな散文(批評 ...511-7-5
かび- はるな自由詩411-6-29
空は青色- はるな自由詩411-6-28
根腐- はるな短歌211-6-21
靴のこと- はるな散文(批評 ...411-6-16
飛ぶ鳥,落ちる鳥(鋭角と季節のはじめ、台風の間)- はるな自由詩511-5-30
作るに関する覚書と考察- はるな散文(批評 ...611-5-9
電話のこと- はるな散文(批評 ...311-4-25
準備のこと- はるな散文(批評 ...411-4-20
ひなげし- はるな自由詩211-4-17
菜の花のこと- はるな散文(批評 ...1*11-4-15
世界のこと- はるな散文(批評 ...211-2-3

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