それぞれの明日へ
千波 一也
良き友よ
お前の肩を
叩かせてくれないか
軽く 一度だけ
そして
良き友よ
おれの肩を
叩いてはくれないか
軽く 一度だけ
渾身の力を注がない分だけ
渾身の情が注がれるのさ
だから
軽く 一度だけ
何よりも重たく
一度だけ
今夜のおれは深く眠りに落ちるだろう
それは決して
酒のせいじゃない
お前の
その
優しい重みのためだ
良き友よ
今夜のお前も
深く眠りに落ちるといい
夢に惑うことなく
深く眠りに落ちるといい
やがて来る朝陽に向かって
軽く
強く
その
背と足と両腕を解き放とう
一晩の重みを脱ぎ捨てて
枕元に
一晩の重みを脱ぎ捨てて
この文書は以下の文書グループに登録されています。
【親愛なる者へ】