すべてのおすすめ
君の外周をぬける
君という
確信が欲しくて
虎がバターに
ブログがツイッターに
急げば急ぐほど
混然として
君の外周をぬける
なんて遠回り
うなじから耳元
腸骨から正中線
....
床に落ちたカンバスの上を電線の影が、行ったり来
たり。君はえんじ色のシートにひざを立てて、窓の景
色に見入っている。昼のさなか、大阪から京都へ向か
う各駅停車だから、人の影はまばら。遠慮 ....
文明の熱狂の皮の下で、いつでも戦争がにたりと舌
を出して笑っている。
*
たまの休みになると田畠さんは町を散歩するのが常
だ。そうしていつからか彼のお供を ....
私は想う
あなたと出会う
その事実を
あなたの意味を
これから
私は失っていく
例えば友を
痛みを
そのとき
私が還れるために
北極点のすがしさで
あなたが
たとえ ....
僕は
夕焼けになった
君を照らそう
君の頬を
遠くで
生きる君のこと
僕は
君を照らすことで
君の虹の
ほんの少しの
スペクト
そこにまぎれていこう
君の奏でる
....
孤独でない人間なんていない。
その事実だけが、私を安堵させる。
職場の上司が、手品を始めた。カード手品ってやつだ。時々、その成果を披露してもらう。だいたいは金曜日の飲み会である。飲み会自体が手 ....
窓を開けて欲しい、と男は言った
壁しかない部屋だった
窓を開けた、とわたしは嘘をついた
男は両手を広げると
嘘の窓から青空へと飛び去った
ひとり残され
部屋を丁寧に折りたたみ
....
みずすましが
水を滑る
虫の比重は
水より軽い
あなたの舌が
私を滑る
あなたの声は
水より軽い
あなたの中に
潜ろうとする
私の比重は
水より どちら
あなたの浅 ....
傘のない世界で
きみに傘の話をしている
小さなバス停に並ぶ他の人たちも
そぼ降る雨に濡れて
皆寒そうにしている
ぼくは傘の話をする
その機能を
その形状を
その色や柄の ....
Helpという記号
Usという記号
私たちは言葉をまとい
言葉の中で
死ぬ
Stayという記号
Hereという記号
想いは
言葉に置換され
不正確なまま
空へと
放 ....
祈る、という作業を
私は避けている
たとえば
あなたの幸せを
祈る
そのとき
私は無力で
ただの石ころ
捨てられたガム
「君を想うと
やわらかな 気持ちになれるんだ」 ....
ねえ。ちょっと思ったんだけど。聞いて聞いて。
世界は2種類の人種に分けられるんじゃないかなって思うんだ。意図災害に遭った人たちと自然災害にあった人たち。
自然災害。洪水とか噴火とか、そういった ....
夜は私に嘘をつかない
たとえば
さみしさはさみしさに
想い出は過去へ
人恋しさに
幾度もさけぶ
誰も
私を救わない
ふりをして
ことばを這わす
今日も
何かになりすま ....
半分
どんなおじさんにでも
その時だけ恋をしてしまう女の子がいる
父の日にプレゼントを贈り続ける女の子がいる
おじさんとセックスしてお金を貰う女の子がいる
半分お金で半分趣味らしい
....
ごらん
朝が来るよ
眠れない 君にも
遠い 何処かの
青い草原
山の端が
やがて
ぼんやり浮かびくる
夜が
隠してただけさ
きのう
うまくいかなかったこと
もう一度
....
・
夕飯のあと
残した刺身を生姜醤油に漬けて冷蔵庫へしまう
こうしておいて翌日に
焼いて食べると美味しいというのは
母に教わったことだ
そういえば結婚して引っ越す当日に
母がお餞別と言っ ....
海が
最後の一滴が
空を映した自在の青が
私は
今
消えるのをみた
ささくれた
広い砂漠だ
私は
確かに思う
そうか
私の心は
こんなにも
砂漠だったのだ
それを
満 ....
グラスの中で
水平を保つ
still water
水平であるということは
しかし
地球の曲線の一部でもある
その先の
水平線に沈みこむ間際
昨日と今日の隔たりが
グラスの中で出会いそ ....
○父
窓から庭のブランコを
眺めることが多くなった
あれにはもう一生分乗った
と言って
時々体を揺らす
背中が
押されるところではなく
支えられるところとなってから久し ....
並んで座っている父が
僕にもたれてくる
落っこっちゃう、と言って
体を預けてくる
床から目まで
わずか数十センチの高さが
怖くて仕方ないのだ
ねえ、お父さん
お母さんや僕の ....
ついに人だけになって
飛んでいる
はたしてそれを
飛行機と呼べるだろうか
翼も動力も
無線さえ持たずに
たどり着く先を失って
空飛ぶそれを
人と呼べるだろうか
私 ....
夢と夜にはさまれて
わたしは窓辺に眼をあげる
星を盗みたいと思った
屋根裏部屋が暗いので
星をひとつ盗んで
枕元の光にしたかった
星を盗みたいと思った
女の指先が寂しいので
星 ....
電車はもう乗り終えた
飴の袋もからっぽ
歩き出す
足元の道はごつごつしている
日の光は花や木にばかり当たっている
ような気がする
水が飲みたい
と思った矢先に
湧き水の立て札
山深く ....
空を飛ぶミサイルに。どんな意味があるんだろう。
大股で、私たちの空を、横切る。
たとえば。
眠っているあなたの頭の上を、だれかがのっしと横切るのなら。
蹂躙する。受け入れることを強いられる ....
妻の笑い声で目が覚めた
夢の中でも笑いたかったのか
夢の中でしか笑えなかったのか
出会った頃のように
無邪気な声だった
揺すっても起きる気配もなく
いずれにせよ
生まれ育った故郷か ....
あるべきところへ
おさまって
けれど
はみだしたところに
やさしさがある
ほんとうの
うちのつまにも
はみだしたところが
きっとある
ほんとうのやさしさが
うそばかりの ....
しあわせだけでは足りなくて
ふしあわせなら
もっと足りない
ものたちが
ホームから
改札口へ流れ込み
潮の匂いだけのこして
ぼくときみは立ち尽くしていた
立 ....
プリンは大変うまいが
もっとうまくしたいと思い
鰹の出汁を加えてみたところ
それは茶碗蒸しであると方々から叱られ
私は心に深い傷を負った
不意に、もうひとり帰ってくる気がする
母は家にいて
私も家にいて
弟が帰ってきて
もうひとり弟が帰ってきて
それから父親が帰ってきて
机に張り付いて私は耳を澄ま ....
私に手を掛ける三分前
あなたの世界は破裂したのだろうか
どろどろとした緑を排出しながら
あなたの世界は破裂したのだろうか
私とくちづけを交わす三分前
あなたの世 ....
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