星を盗む人
歌川 至誠

夢と夜にはさまれて
わたしは窓辺に眼をあげる

星を盗みたいと思った
屋根裏部屋が暗いので
星をひとつ盗んで
枕元の光にしたかった

星を盗みたいと思った
女の指先が寂しいので
星をひとつ盗んで
輝く指輪にしたかった

星は遠いから美しいといえるのだろうか
燃える星をひとつ鳥籠に捕まえたら
ごつごつとあばれて
きっと近づけない

そっと空をつかんで
星を握ったふりをする
遠いわたしの星
やはりきみを美しいと思う
夢を見る人に
夢を見せる星よ
とどかないその星は
最後にまばたきをする

会えてよかった

遠いわたしの星


自由詩 星を盗む人 Copyright 歌川 至誠 2009-05-30 09:17:27
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