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ふたつ先の しずかな私鉄の駅でおりて
ふたりは歩いた チャボとスミレ
おだやかな秋の風がふいていた
さほど高くない丘を見上げるように
さほど広くない その公園はあって
まばらな紅葉が ....
雨よ私の足あとを消せ
あなたのドアをノックして
小さく迎えるすき間から
私は体を忍ばせる
あなたはこんなところで
ビデオテープ
テニスシューズ
見てはいけない写真
コーヒーメー ....
お父さんにじゅうりんされて
きもちいいとおもったことが
いちどでもあるこどもたちが
おとなになって かいた詩が
ポエムから追放されて
どこにも国がない
戦車をのりもののようにのりこ ....
ポッカリからりと晴れた日に
ぼくらは浜辺に横たわり
あなたはぼくの胸に聴診器をあてて
―ふむ 聞こえませんね
などと呟いて
いきなり後ろ手に持っていたハンマーを
胸に目掛けて振 ....
通り道に たおれていたら
ぞろぞろ やってくる
異形のものたちに
ふみつけられて すこし
げんきに なるのである
家屋は言葉のように
優しく朽ち果てていた
時間があればそこかしこで
両親は笑顔を絶やさなかった
幸せな玄関ホール
その壁には今でも
兄と私の指紋が残されていて
静かに機械の匂いが ....
幹さんの詩のファンです、もしよかったらわたしの詩をみてください
という
要約すると、というようなメールがきたので
連絡をとって新宿で会うことになった
こういうメールがたまに来るようになったがた ....
誰かわたしを飼ってください
朝 かろうじて
そう わたしの耳がささやいたとき
ひとが姿を現しはじめた
かつて わたしがどんぞこで
まだ 形をとりもどしていない頃だった
....
彼の眼は遠くの風景を見る
地平に沈む夕陽の色
冬に砕ける灰色の海
湿地を覆う冷たい霧
彼の耳は遠くの音を聞く
森に降る激しい雨
向こう岸の教会の鐘
鉄橋を越える貨車の響き
....
あなたが愛と呼ぶものの
正体がわからない
愛がなくても
たぶん
抱きあったりできる
でも
抱きあったりできない
場合もある
だからといって
愛していたり
することだってある
....
おびえるなよ
という声が
おびえていた
私の体の 外で
外では
仕方がないから
精液の白さに免じて
ゆるした
あの日を境に
世界は明らかに下り坂に入ったんだ
たとえばさ
えらい人が逮捕される時ってあるでしょう?
あれね
時代劇の捕り物みたいに、突然いっせいに取り囲むってことは
実は ....
おれの神さまは
無慈悲で かわいいやつだぜ
傷口から したたる詩を
無邪気に よろこんで
唾 吐きかけやがるんだ
ココアを買いに行った。
振り返ったら
テーブルに 彼が座ってた。
ぼーっとどこかを見て
考え事してるひとりの彼は
普通の男の人だった。
たまたま休みだから
外に食べに寄っただけの
お客 ....
五年前に自殺サイトの掲示板やチャットルームばかり見ていたぼくは
ぼくの瞳がそれを僕の世界にうつしたように
いまわたしは空気ばかりみつめる。
「PARTY」
真夏のALTA ....
ふと声をかけてみた
その外国人は
「ロマンスカー?」
と言って
少し笑った
新宿駅西口で
そうなんですよ日本には
ロマンスカーがあるんです
ロマンスカーはみんなを乗せて
ロマンス ....
”管制塔
管制塔
わたし、もう大人です”
インカムをつけた父親たちの
腕組みと低調な呼吸音
誰かが返答をしなければならないが
彼らは呆然という姿勢で腰掛けたまま
....
サンディの煙草は誰にも止められない
と、誰もが思っていることを
サンディはなんとなく知っている
黒く長い髪
茶色のひとみ
その他の身体的特徴
にもかかわらず
サンディといえば
....
伝説のブリーフを
誰もいない
コインラウンドリィに
放り込み
パイプ椅子に座り
煙草に火をつけ
女性自身を広げ
ゆるい
サンダルを
鳴らし
三度鼻をかみ
ベッドがあり
下着があ ....
わたしの おうちはすごいの
ロボットがいるの
ひとつじゃないよ みっつもいるの
パパのロボットと
ママのロボットと
わたしのロボットがいるの
パパのロボットには パパがのって ....
八月、
太陽が終わりのない明るさで街を照らす八月、
影のない者は日陰をたどって歩く
わずかなあいだなら
太陽を見据えることもできるが
かれには影がない
影のない者は太陽の下を歩くことはでき ....
じめんにぶつけて
かどをおとし
いわにこすりつけて
かたちをととのえ
すなでみがいて
ひょうめんをならし
どろでこすると
やっとぴかぴかになった
さっそく
むねのおくにしまって
....
その駅のトイレには
便所童が住んでいる
とても疲れて寂しい夜
わたしは酔っ払って
その駅のトイレに寄る
3つある個室の真ん中に入ると
そのうち
両脇から
声が聞こえてくる
....
ボクは君を
幸せにしないでしょう
それと
逢いたい気持ちとは
別
小さなパラソルに
寄り添って歩く
少しだけ
雨が降って
曇った窓ガラスに
家の印をつけて
それから
母の勤めている店の印をつけて
でたらめな道でつなげる
窓が汚れるから、と
後で怒られたけれど
それがわたしの初めて描いた
世界地図でした ....
かくれんぼはきらい
とくいだから
かくれ切る
自信があるから
ひざを
抱え息をひそめ
草の
こすれる音を聞く
わたしは
どうなっちゃうんだろう
って
思いながら眠 ....
私の胸には
いくつか
ほくろがあって
それを結んで
星座にすれば
あなたは
気付いてくれるだろうか
今
ペテルギウスを過ぎました
もうすぐ
南
揺るぎな ....
焼き場の待合室
薄いお茶と干菓子
食欲なんかないけれど
暇で
口に運ぶ
隣ではあまり見覚えのない
地味なおじさんが
やはりお茶を飲んでいる
季節は夏
蝉が鳴いている
もう少しクーラ ....
{引用= ―飛ぶ そらを
びゅうびゅうと風の音を聴く}
ルルる
おお
手をひろげ
風を身いっぱいにうける、ルル
はてぞない世 ....
舐めて治す
生で食べる
裸だ
生殖のために交尾する
こどもを育てる
親の顔は知らない
生きるために殺す
悩まない
日陰で眠る
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