すべてのおすすめ
タクが失踪した
親にも知らせず彼女ものこしたまま行方不明
刑務所から出て保護監察下ながらM工業で働いていた
将来独立するという意欲もこめて作った名刺ももらったのだが
僕が名義を貸して彼 ....
ただしい孤独は
凛として涼やかな音色であった
愛しい憂鬱は
窓辺に花をさして髪を梳かす
美しい季節は
褒めそやされて散る花びら達で
そこそこ保たれるものだ
どうしようもない時 ....
誰もシラナイ理由が無い
わずかな隙間を生きているような気がするんだけど
近代現代近未来
産業ロボットはやがてラインを離れて
どこへ行くの
母を殺し父も殺して最果ての
流刑の地さえも ....
僕の文法のSは君と僕
Vは生きることだ
訳もわからずOをもとめてさまよう
たまさか生まれる言葉でCを綴る
規則正しいものに反感を持ち
疑うことの正当性をつかもうとして
いつのまにか自分 ....
醗酵することは発行されたものをもたないこと
あるいは発光する冷たい微熱をかかえた昆虫の夜を生きること
あるいは薄幸な女の身の上話にあいづちをうつ場末の安酒場の空気
欲望は醗酵し発熱し自分の足 ....
億年の
静かな回廊に光が満ちる
瞬間を孕んだ風が吹き渡る緑野
なにか山巓を降りてくるものを待つ
待つあいだにも自分の意志とか
わからないものに軽く触っている
風化した海図では
....
猫でした
まちがいなくねこだったと思うのですが
定かではありません
幸せだったかもしれませんし
そうじゃあなかったかもしれません
宿無しだったのはたしかです
いまでもたいして変わり ....
生産工場などで適用されてきた
トヨタ生産方式を
日々の生活に適用したらどうなるのか
ジャストインタイムで
買いだめなどはなるべくせず
必要なものを現在の必要に応じて調達する
無在庫主義 ....
横浜の姉に電話する。
料理や家事のことでわからないことがあると
姉にきいてみるのだが。
姉もだんだん逝った母に似て
話が長くなってきつつあるようだ。
煮ると焼くしかない僕のレパートリ ....
凹んだままもどらないこころを
あえて膨らまして生きている弾力をおもう
生きることに引きずり回され
足下がみえないまま歩をすすめて行かねばならない
立ち止まるわけにはゆかないのだ
それが残 ....
夕闇が嫌いな人たちは
原子力でそれを追い払う
宇宙から見る日本列島は
真夜中でもくっきりと浮かんで見える
世界中で一番明るい列島
誰がそれを見つめるのか
数十人のアストロノウツ ....
誰もが夕暮れには傾いて見える
家へ酒場へあるいは虚空へと
夕暮れに姿勢がいいのは
電信柱と案山子だけなのかもしれない
僕はきみに傾いてゆきたい
いつかきみの傾きとぶつかるまで
いまは幾度めの春なのだろう
遠い昔のような
つい昨日のような
子供たちもそれぞれに
この世界のどこかへ
紛れていった
いまも日々の食をもとめて
彷徨う身にも春はやさしい
な ....
かなしみをください
あなたの傷口のように深い夜に
ことばをください
書き忘れた遺書のように
端正に綴ってみたいのです
桜が眼に沁みてなぜかせつなく
なにかを教えてくれるのですから
....
花束を君に贈ったのは夏が終わる頃だった
小首を傾げて微笑んだ君との時間をを僕の心の壁にかけてあるんだ
何を約束したのか忘れてしまったが
秋の訪れとともにそれは緩く解けて雲に流れていった
....
言葉の繊維で細い白く光る糸を紡いでゆく
ゆっくりと一日かけて語彙と語感とを撚り合わせて
染色を施して様々な色の糸に仕上げてゆく
それはやがて布地に織り上げられ
誰かの肌を覆い隠してその人自身の ....
押しても引いても現実は容易には動かない
しかし個々の事象は絶え間なく瞬時の変化をとげてゆく
成長とは産声をあげた瞬間からの死へのあゆみ
明日はわからない
でも希望はそのやわらかな隙間に生ま ....
故あってかどうかわかりませんが
猫に生まれまして
たいへん恐縮している次第でございまして
私が人間なら大変かなあともおもうこと
多々ありすぎて
申し上げることも躊躇いたしますが
あえて ....
春の柔らかな外套はいらない
寒風をしっかり遮る重いコートが欲しい
凍てついた大地を確実に踏みしめる足と
流れる雲をよみとる眼差しを
桟橋に繋留するための無骨な舫い綱あるいは
海底ふか ....
猫のヒゲふるわせてとおるやんちゃな風の春
春の音木の芽の薫り日向に干したせんべい蒲団
いいことがあったのよと三度目の電話僕にはないけど
分解された春をまた組み上げるそんな季節のちから ....
家の前の道路を右にずんずん進んでゆくと
やがて海に辿り着く
幼い僕にとって海は未知の世界の
不安や驚異の象徴
大きな不思議な地球の水たまりだった
僕の中学の夏休みは海の生活だった
....
不完全な春に花を盗もうと今から用意している
星が堕ちても拾わないで誰のものでもないのだから
約束って悲しい響き裏切りを孕んでいるから
一足飛びに人生を俯瞰してでも今が好きなんだごめん ....
あの草原のうえに浮かんだ雲はいまもかわらない
風はやわらかな吐息とともに春をはこんでくる
春待ち鳥は歌声を整えてこぼれる季節にそなえる
翻弄されながらもまた花びらとなって流れてゆく
ひとの ....
新しい言葉を綴ることは
新しい土地を開墾するように
そこへ種を蒔くように描いてゆくこと
自由を描くことは難しい
だれも自由の光をみたことがないから
それでも描こうとする
愛を定義す ....
そらを飛んだ夢を見た
僕は足のない回転木馬
南京錠を閉め忘れたまま
春の沙漠を放浪している
木の芽の匂い持ち歩くための
ポケットのある素敵な上着
おたまじゃくしを捕まえたら
....
時はいつも人を吹きすぎてゆく
ちいさな想いや願いを散り散りにして
もうあの時のうたは
二度とはうたえない
いちまいの絵のように
すでに過去のギャラリーに
展示されているのだから
....
光の子供たちが浮遊する緑野に
きっとこころの種もあるのでしょう
跳ねてはしゃいだり転げたり
悪さをして群れている子供たちに混じって
金色の繊毛におおわれてふわりと浮かんでいたり
葉に ....
ことしもあたらしいかなしみがやってくる
それでいいのだと思う
ことしも友が去ってゆく
それはしょうがないこと
遠慮なく時は過ぎひともかわる
すべてをうけいれてはいられない
僕の ....
ある日ぼくのもとに封書がとどいた
送り主をみると
その日暮らしの友舍
たしかにその日暮らしはしているが
友を募るほど盛大ではないし
あけてみると請求書だ
項目として
笑った時 ....
仕事柄
保育園や老人介護施設を訪れる
人生の入り口と出口
もちろん私は後者にちかいあたりを走っているのだろう
少々息を切らしながらも
保育園児に捕まるとなんどでも同じ質問をしてくるの ....
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