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ブリューゲルがすき
野間宏が「暗い絵」と表現した世界
描きこんだ風景を解釈する自由
それっていいかも
振り返りもせずに愛は逝く
小さな誤解を積み重ねて塔のうえに登る
そこから遠望する世界を胸に抱いて
おびただしいビジョンを想い描いて
立ち止まりもせずに愛は逝く
高邁な殻を脱ぎ捨てて脱皮す ....
わたしは海の月
波間を漂うお月様の影です
仲間があなた達を刺すこともありますが
JAWSほどの脅威でもないので許してやってください
ときどきあなたがたの住む都市という
人工世界を ....
配達中にラジオで聴いた
でんでんむしを歌うあいだしょうこ
WIINKのあの娘だとおもった
つのだせやりだせあたまだせ
でんでんむしが言うには
そんなのわかってる
あんたこそ元気 ....
くたびれた我が身に
赤い旗がいくつも立つ
宣告は容赦なくて不要物に
なる日もとおくはない
息子達のために生きているつもりでも
やつらからはなんの音信もなくて
CSN&Y
ぼくたち ....
渋谷文化村ミュージアムをくだって
H&Mを左に見ながら
道玄坂下へ至るあたり
雑多な国籍の若者や
清掃するおじさんや僕のような納品車
いつものスリムな店長は
つけまばっちりのかわい ....
雨上がりのそら
草原に敷かれた鉄路
長大な貨車を曳く機関車が
ゆっくりと風景をよこぎってゆく
産業革命をささえた心臓が
風景のなかで鼓動している
そんないまではめったに在り得ないシ ....
僕にみずみずしいコップ一杯の朝をくれないか
活力に満ちた生みたての卵のような生命を
天のフックから吊るされたマリオネットのように
きょういちにちを微笑んで過ごしたいから
いつか妖精と化すまえに
あどけないふりをしてくれないか
ひとけのない昼下がりに
しどけない昨日の夢を見たいのだから
広辞苑にも大辞林にも誰の日記にも描かれていない
ひそかな言葉で約束をし ....
遥か雑踏を離れて
孤では在りえない存在を確認する
収拾のつかない順序をゆっくりと整理する
いきることは水底をしらない漣
序連で奏でられていた通奏低音は
変化しまどろみ羽化すべき朝を
....
半音下がった5月に
飛行機雲とポケットの中のちょっとしけた煙草
わかったつもりの自分に言い聞かせてまた
あらたなる接触をこころみる深さをはかる浅瀬で
風のなかにきざまれているもの
そ ....
てのひらからこぼれるままに
ことばを拾う
忘れていた物の色やかたち
あてはまる隙間のない断片をかかえて歩く
なつかしい風景に返すためにあたためる
星々をめぐる
それは散在する島々のよう ....
様々な波長のことばに耳を傾ける
舞い散る花びらのように光をもとめて
あるいは影に紛れてかたちを失ってゆくものたちよ
羽化して浮揚する繊細な翅を持つ蜉蝣のように
永い水底の想いををうたにして ....
空から雫が降ってくる
そんな日がすきだ
同じものがからだのなかにある
こわれた玩具の痛みをしらない街に棲む
風に翻って反転する記憶の陰翳を編む
この電話も壊れてるんだ
だから意味を ....
メインストリートからちょっと外れた裏通り
やや湿っぽい陰翳をおびた空気
そこに潜んで居るだろう様々なものを感じながら歩く
舗道の石畳の下に埋蔵された都市の歴史
踏みしめて行った無数 ....
休みの日
うだうだ家にいる
仕事では夜の首都圏を走る
赤羽 池袋 新宿 渋谷 神田 三田 五反田
駒沢 荻窪 吉祥寺 青梅
池袋や新宿歌舞伎町には
所在なげなあるいは
あきらかに ....
名前のないものにかこまれて生きている
見たもの感じたこと
言い表せないもどかしさ
伝えようとするものには
名前がないし
きみの良いところも
うまく表現できない馬鹿者だが
そういっ ....
生きづらいな
なんて時々生意気にもおもう
ただそれは誰かが対処できていることに
自分なりの対処法をもたないだけだろう
経験値はできれば幅広く多く積みたいものだ
子供達以上にドラクエに ....
夜を走るそれが僕の仕事
蝙蝠のように明るいうちは
逆さにぶらさがって微睡み冷たい夜を待つ
銀色のフルートを隠し持って
それがいちばん素敵に響く時刻をじっと待つ
心奪う旋律は忘れかけた ....
ときどきは野道をはずれたわわに実った
葡萄のみずみずしさのなかをあるく
清流はただひとすじに丘をくだり
やがてはしずかな湾へとたどりつく
空から舞い降りて来る静謐をひろいあつめ
ジグ ....
埃っぽい一日が暮れかける
ゆくあてもない想いが影といっしょに夕闇に溶けて行く
ちっぽけな哀しみを手のひらで転がして
ため息にも似たつぶやきを繰り返す
幼い頃母に背を押されるようにして嫌 ....
僕たちはすれ違う小彗星のように
尾をひきながら歌って生きてゆくのだ
そのときに交感した想いだけが
やさしいえねるぎーとなってさらに
宇宙の深奥へと誘われる生命なのだから
まだ魚だった ....
アイスランドの国民的グループを聴いている
宗教音楽にも似た轟音にも似た雨の雫のような
ときおり雷鳴のように存在を粉砕しにやってくる
ミュージシャンたち
原型はうしなわれても様式は変化し ....
辺境とは文明のセンターではないところ
ひじょうに身勝手な定義とおもう
一律の価値観でかたられるが
離島にもひとは生きている
あるいはかれらには
シンプルで必要なもの以外もたない自由が ....
大雨洪水注意報
彼女に涙を流させてはいけない
そのあとですごく経費がかかるから
落雷警報
電気ショックで何かが復旧するとは想わない方がいい
普通のひとは死ぬ
落石注意
気がついた ....
真夏のまんなか
乾いた道のさきに
誰かが描いた蜃気楼
午後9時の
Summer in the city
大気圏の対流に耳を澄ます
アウトをとれない甲子園
酸素が足りない金魚鉢
....
すぐ寝る生き物は僕だが
なかなか寝かせない生き物は君だ
指での数え方って国によって違うんだ
だから彼女の本当の歳を教えてよ
気ずくことばかりでは疲れてしまうので
きずかないことを想う ....
けつまずいて転ぶ
ああいつもの夕暮れなのにね
見えないものに語る言葉
忘れてしまった暑い日です
行き着く先のわからない
遠泳に参加する僕は第三泳者です
通り雨地球をまわしてとお ....
きみの手を想う
華奢でちょっと小さめだった
骨折して松山の病院へいっしょに行ったときも
きみの身体の一部が壊れたことに
かなしみを覚えていた
きみの替わりに朝
新聞配達をやった
....
土産店で買った小鳥のおもちゃは
出来は良くないものの軽快に飛びそうに思えました
不器用ではありますが羽ばたいたのです
ただ天をさしてではなく
いまは誰かが踏んづけたのかもしれませんが
....
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