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いのちは
大観衆に埋められた
ステージの上で
歌いたがっている
鳴り止まない拍手を浴びたくて
いのちは
気を失うほど
ビールをとことん
飲みたがっている
みんなを笑わせ
喜ばし ....
闇に川音の迷う{ルビ硲=はざま}の村
トンネルに切り取られた高架橋
しじまを蹴散らしていく道しるべ
{ルビ硲=はざま}に閉じこめられていた記憶が目を覚まし
一瞬顔をしかめるも
手招きに不安を ....
気づいたら
自分の後ろに
千の詩がこぼれていた
足跡とともに
時には運命に悲しみ
時には人に喜び
生きてきたことを
生きていることを
感謝する
まだ前に道は続いている
そう
まだ ....
・
わたしの住む町にはトンネルがある
トンネルはぽっかり口を開いて
雨の日にも晴れの日にもただ
怠惰そうに横たわっている
トンネルってなんだか産道みたいだ
トンネルを通り抜けるとい ....
07/07/27
怖いねというと
怖いと答える
わぁーい
こわい
コワイ
コワァイ
コアイ
こあい
漢字だと
小愛
小鮎のよう ....
おそうめんを食べていると
だんだん体が軽くなってゆくようだ
でも夏はあまり高く飛べない
空気がにごっているからだ
わたしはお座布団の上で正座したまま
少し浮いて
おそうめん ....
巡り来る また 夏
六十年の時
英霊と戦争で亡くなった
全ての人々へ
鎮魂の思いにとらわれ
この 暑い日々に
あなた方を 偲ぶ
神風が吹くと信じて
現人神の帰依に
恋人 ....
らしさ
それは君自身
そして自分の目標を
乗り越えられたときに
初めて生まれるもの
らしさ
それは君の過去
何度となく苦しんだ
そのつらさを味わって
培われてきたもの
らし ....
去年会社を辞めた先輩
久しぶりに会ったら
夏みかんみたいだったのが
色白美人に大変身
何があったのかな
街中で呼び止められても
しばらく誰だか判らなくて
どなた様ですか
だなん ....
風になった
あなた
が さする
星の瞬きは
永遠という
はかなさを
楽譜に残し
美しいなんて
残酷な想い出
聞くことのない
あなたの調べは ....
西へ向けて 私は海を渡った
揺れる気持ちを波のせいにして 逃げていた
生まれつきの どうしようもないこと
恨んだところで変わることもないし
なら 愛そうと 愛そうと思って
そ ....
風が立ち止まった
蚊取り線香の煙が
まっすぐに天井へと昇ってゆく
一匹のハエが
ぼくの前を通り過ぎる
振り払おうとしても
もう飛べない
風は今も立ち止まっている
夏の夜が固まってゆく
....
07/07/26
じとじとして
鬱陶しくて蒸し暑い
長すぎる梅雨が明けると
今度はまっ白な太陽が照りつけて
まだ乾かない大地からは
じくじくと水 ....
誰も知らないその庭に咲く薔薇
朝一番の雨に濡れた赤い薔薇を求めて
僕はたどり着いた 足をひきずりながら
かぐわしいその香りを嗅げば幸せになると
ただひとつの愛を得られるとずっと信じていた
....
数多のあなたから
発信されることばに
わたしは固くまぶたを閉じる
それらを愛さないために
西側の、部屋
窓に切り取られた風景のなかで
遠く稜線がたそがれてゆく
そう
書いたときには ....
何かをしたかったけれど
何もできなかったあの時の
あの空に
苛立つ自分の気持ちを投げていた
あの白い雲にもう一度
夢を持ちたかったけれど
何も描けなかったあの時の
あの空に
悲しい ....
きみがもし
にさんかたんそを
はくのなら
ぼくはそれさえ
すうとちかうよ
きみがもし
にさんかたんそを
すうのなら
ぼくはそれさえ
あいしていくよ
そしてもし
すこし ....
ウサギのダンスが始まるよ
可愛い可愛いウサギのダンス
僕は見たくないからね ちょっくら遠くに出かけるよ
帰ってきたら黒ウサギ 汚れた汚れた白ウサギ
今 朝日を額に受け
まぶたの裏には
暖かな血流を感じ
息を整え始めた
鳥の声 高く昇り
青空がイメージされる
白い雲と
背中に負った 過去が流れ出す
(悔いるべき愚行) ....
立っているだけで
汗が落ちてくる夏の
その夜
星が飛んでいた
短い夜の間だけ
羽ばたいていた
月へ向かおうとする星
大地へ降りようとする星
それぞれの運命に従って
音もなく
飛んで ....
私の心の悲しみは
あなたがいないと鳴く小鳥
私の心の悲しみは
いつまでたっても止まぬ雨
私の心の悲しみは
ひとり寂しく見る夕日
私の心の悲しみは
寄せては返す波の音
私の心の悲 ....
夏の朝
自転車に乗った白い半袖たちが
自分の背中から追い抜いてゆく
夏が起きる
背中にはラケット
自転車の前かごには大きなバック
白い半袖たちの顔は
どこか緊張している
これから白 ....
なぜあなたは
病の親の世話をして
毎朝歯を喰いしばり
家の門を出て来る部下が
体調崩し仕事を休む
辛いこころが見えぬのだ
わたしは今日も ふんふん と
あなたの腐った愚 ....
夜の夏がほのかに飛んで
闇の中に夢を描く
この世界に音は必要としない
ただわずかばかりの光だけが
飛びさえするだけで
夜の夏は十分なのだから
夜の夏が静かに飛んで
闇の中に夢を灯す
....
攻撃用メモリーをセットして開始のゴングを待つ間に汗が首筋から噴き出てくるのを意識する。手でセンサーの位置を少しずらして、改めて合図を待つ間に戦意が遠のくのを覚え、敵陣の相手の顔をもう一度睨み付けて、憎 ....
僕を支えてくれる柱
小鳥が運んできてくれた 一本の枝
あまりにも短すぎた夏 あまりにも短すぎた夜
僕らを邪魔した虫達は今
小さいけれど美しい羽 ....
朝霧の蒸発してゆく速さに
子供たちは
緑色の鼻先をあつめて
ただしい季節を嗅ぎわける
くったり眠っている
お父さんのバルブを
こっそりひらいて
空色を注入する
うん、うんとうな ....
右手にアイボリー色の傘
左手にスケッチブック
いつもの原っぱ
大きなくすのきの下に
しゃがみこむ
パレットにはお空の涙
透明な絵の具を
筆先に含ませ
描写する世界は無限色
....
夜明けとともに
目的もなくふらふらと
外を歩いてみる
そこの夏は冷たかった
葉の上の雫に触れ
その一瞬にしかない冷たさは
手のひらの中で
やがて消えてゆく
川のせせらぎの音も
....
今まで見えなかったものが
見えるようになった
自分が生きている今の世界が
迷路になっている
高い壁と細い道しかない
何も拠りどころもなく彷徨い続けると
展望台と書かれた案内板があった
そ ....
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