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雨が降る中
山下さんが一人で
電車ごっこをしていた
手を挙げると
駅でお乗りください
と言って猛スピードで
走り抜けていく
山下さん、昨日ね
お母さんと話したよ
もう会えない ....
草の根と息吹と
あなた、忘れていったね
飛行船の落とし物みたいに

剝がしたり叩いたり
転んだりしながら過ごした毎日を
何と呼べば良かったのだろう
丁寧だったり雑だったり
胡麻 ....
君の隣に僕がいて
僕の隣に君がいる
いつまでも一緒にいようね
なんて、若かったな
どちらが先に逝くのかは
わからないけれど
僕との生活が幸せだったなら
新しい人が隣に座っても
 ....
新しいのね、と
あなたは言った
掌に産まれたての光
瞬きの瞬間にしか
見ることのできない景色
ぼくは雪だと思ったのに
裏返って消えた
ここにあること、と
ここにいること
新し ....
海を小舟で渡る
あなたが自転車で
ゆっくりと追い越していく
どこに行くのかと声をかけると
海に行くのだと言う
ここが海だと告げるけれど
それでも海に行くのだと言う
わたしも急に海が見 ....
かいわれ大根
小さいけれど
わたしの収穫
何もないことが
朝だと知った

寄り添う、だなんて
なんだか軽い言葉
そんなものにも
救われたかった

窓を開けると
蝉しぐれ ....
食べてすぐ横になると
牛になって
川まで来ていた
晴れたら洗濯をして
布団を干そうと思っていたけれど
雨も降り出して
残っているものもない
これからの人生どうなるのだろう
いや牛だ ....
声を触っているうちに
忽然とある日ひとだった
言葉は貧弱だけれど
壊れることのない強さと温かみがあった
恋をしていたのだと思う、生きるということに
固形の身体と
呼吸はいつしか覚え ....
 
 
とり急ぎ、という言葉を初めて聞いたとき
鳥も急ぐのだと思った
正確に言うと
へえ、鳥も急ぐんだ、と思った
それはユウコの初めての言葉だった
今思えばあの頃
鳥は皆、急いでいたよ ....
午後が落ちている
歩くのに疲れて
坂道を歩く
人だと思う

エンジンの音
やまない雨の音
降り積もる
昔みたいに

曜日のない暦
夏の数日
確かに生きた
覚えたての呼吸で
 ....
 
 
木立ちを抜けていくのが
私たちの木立ち
だからすっかり抜けてしまうと
教室がある
先生は、と先生が言うと
先生は、と復唱する私たち
やがて始業のチャイムが鳴り
つまりそれは
 ....
書き損じた天気図の余白に
僕らは昨夜見た偽物の夢を書き続ける
筆圧があまりに強いものだから
明日見る予定の夢まで記してしまう

つけ放したラジオから聞こえる
ネジが酸化していく音
そ ....
僕に関係の無い人が笑っている
僕に関係の無い人が泣いている
僕に関係の無い人が風に揺れている
僕も少し風に揺れながら口を開けて
あの日のことを思い出そうとしている
あの日、が何のことなの ....
犬も歩けば棒に当たるというけれど
今朝から当たるべき棒が見つからないし
君が大切にしていた犬は
もうとっくにこの世にはいない
手を握り
お互いに年を取ったね、と笑う
話したいことは ....
 
 
バスに乗って目を瞑ると
私の中を通過していく
一台のバスがある
開いた窓から
誰かが手を振っている

懐かしい気がして
手を振りかえすと
バスは小さな魚になり
泳いで行っ ....
 

一面のハーモニカ畑で
郵便ポストが
風に揺れている

記憶を失った大砲の欠片は
小川の水底に涼しく沈み
命は
とても容易い

お互い皺が増えたね
僕らは最近特に
そのよ ....
 
 
高い高いをされてる時が
一番高い時だった
何よりも誇らしい時だった
もう僕を持ち上げられない父が
故郷に帰る段取りを心配している
ぶつぶつとうわ言のように
出鱈目な記憶を繋ぎ合 ....
 
 
ひし形の歪んだ街に産まれて
時々、綿菓子の匂いを嗅いで育った

弱視だった母は
右手の生命線をなぞっている間に
左耳から発車する列車に
乗り遅れてしまった

毎日、どこかで ....
 
 
空豆の裏に願い事を書いた
きれいな毛並みを
もう少し撫でていたかったけれど
狭くなってきたので
帰るしかなかった
途中、遠回りして
クラゲ工場を見学した
 
 
 
 
身体と言葉の境界に沿って
路面電車が夜を走る
ミルクをつなぐ、世界はまだ
つぶやきをやめない

みんな季節
みんな瞬間
みんな波、その動き
みんないつか
割れていきたい
 ....
 
 
カマキリ会社のカマキリ社長は
用件が済むと電話を切る
鎌で電話のコードを切る
以下、カマキリ専務、カマキリ部長、
カマキリ課長、カマキリ平社員
みんな電話のコードを切る
だから ....
青く、白く沈む、夜
そしてそれに属するものたち
 
今日は鶴を折った
 
どうして妻に、そんな
嘘をついてしまったのだろう
  
 
 
 
洗濯物を畳む
隣では母が洗濯機を畳んでいる
自分で洗濯物も畳めないほど
すっかり老いてしまった

母は工具等を手にしながら
ここはどうするの
と時々聞いてくる
面倒くさくて ....
 
 
デオキシリボ核酸
でおきしりぼかくさん
でおきしりぼすけさん

格さん(渥美格之進)
 横内正
助さん(佐々木助三郎)
 里見浩太朗

正しくは
助さん(佐々木助三郎 ....
 
 
ワイシャツにアイロンをかけているうちに
見知らぬところまで来てしまった
さっきまでいっしょにいた妻や娘の姿も見えない
どこか淋しい感じのするグラウンドで
赤勝て
白勝て
子ども ....
 
人形の折れた手首を持ったまま母の帰りを一人待ってた
 
 
説明しようとして絶命してしまった僕のレジュメが空へと
 
 
深夜、ヒツジが僕を数えている、可愛そうにまだ眠れないのだ
 ....
 
 
もっと簡単にあなたを愛したい
複雑な手続きなど経ることなく
もっと簡単に
もっと簡略に

僕は僕の皮膚を越えて
外に出て行くことはできない
僕から出て行くのは言葉
それは様 ....
 
 
夜半から降り始めた砂が
やがて積もり
部屋は砂漠になる
はるか遠くの方からやって来た
一頭のラクダが
もうひとつのはるか遠くへと
渡っていく
わたしは椅子に腰掛け
挨拶を忘 ....
 
 
○父

窓から庭のブランコを
眺めることが多くなった
あれにはもう一生分乗った
と言って
時々体を揺らす
背中が
押されるところではなく
支えられるところとなってから久し ....
 
魚のために
椅子をつくる
いつか
座れる日のために
 
背もたれのあたりを通過する
ふと、足りないものと
足りすぎているものとが
少しずつある

雨に濡れた生家が
生乾きの ....
唐草フウさんのたもつさんおすすめリスト(99)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
惜別- たもつ自由詩424-12-9
知らんぷり- たもつ自由詩11*24-12-1
遺書- たもつ自由詩624-9-14
瞬き- たもつ自由詩424-9-8
乗り換え- たもつ自由詩424-8-22
蝉しぐれ- たもつ自由詩624-7-29
波紋- たもつ自由詩8*24-2-28
- たもつ自由詩5*23-3-24
生活- たもつ自由詩9*20-3-20
引き出し- たもつ自由詩1120-3-10
教室- たもつ自由詩920-1-21
余白- たもつ自由詩1219-11-7
さよなら- たもつ自由詩2418-6-8
初雪- たもつ自由詩917-1-30
見舞い- たもつ自由詩2015-7-15
洗濯- たもつ自由詩315-6-13
高い高い- たもつ自由詩1213-2-25
誕生日- たもつ自由詩2312-12-28
age28- たもつ自由詩612-3-21
罫線- たもつ自由詩911-11-27
カマキリ会社の皆さん- たもつ自由詩1011-9-12
沈む、夜- たもつ自由詩311-7-15
ずっと、畳む- たもつ自由詩8*11-6-5
デオキシリボ核酸- たもつ自由詩210-11-20
温度- たもつ自由詩1110-5-23
おままごと- たもつ短歌1710-3-26
もっと簡単に愛を- たもつ自由詩2110-2-3
記憶- たもつ自由詩1610-1-4
家族- たもつ自由詩4909-7-3
ゆれる- たもつ自由詩1008-7-15

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