みえこが                                   
おなかの赤ちゃんに話しかけ                     
仮の名を呼んでいる               ....
男の子だったら
悠人という名がいい
ゆうと 悠然と人生をわたるひと
みえこも大賛成
女の子だったら
悠帆にしよう
ゆうほ 悠々と海をいく帆船
あるいはUFO 未確認飛行物体
みえこは猛 ....
その本を手に取るたびに
同じページばかり開いていたから
今では机に置くだけで
パラパラと そこへたどり着く

私の心の傾きが
そのまま しおりになっている
眠くて仕方が無いと母は言う
こんなに眠くて仕方が無いのは
悪いことが起きるから
それとも脳梗塞なのかしらん
雑煮の鍋を温めながら
迷信深い島の年寄りの顔になる

庭には
他の樹木とは、 ....
花屋の裏のゴミ捨て場
まだ明け切らぬ朝のうち
しおれた花が捨てられる
汚い花も捨てられる

 バカな詩人が花屋の前で
 どの花もきれいと歌っている

花屋の主人は仕事熱心
お客を失望 ....
年明けて水の凍らぬ土地にゐて空を見上ぐる空は凍れり

さやうならと云ふ言葉のみ美しく響く気がする睦月中旬

迫り来る地獄の闇に名を付けよ死ね死ね団とかショッカーだとか

遠ざかる銀河遠のく ....
信号機に紫色とか茶色とかがあればいいのに
進め、注意しろ、止まれ、だけじゃなくて
迷っていいぞ、後退も時にはありだぞ、って
誰だって言ってほしいもん
言ってほしいもん
朝の土手のチンピラの遠吠えから(採録)

  *

 ちょっとだけ
 オレのはなしをきいてくれ
 土手をあるいていたら
 ひとりばあさんがいたんだ
 ばあさん
 さむいのに
 はん ....
踏んだ


二度、踏んだ




違う


全然、違う


今、キリギリスの話は全然していない
見知らぬ都会の夜
人ごみをかき分け
「すみません、手相の勉強をしてる者ですが」
の声を会釈でよけ
{ルビ潜=もぐ}りこんだカフェでコーヒーを1杯

( 日中の{ルビ時間=とき}は遠き夢な ....
ありがとう
うまかった

ありがとう
まずかった

いつも
いつも
飢えていて

ありがとう
食べてきた

皿盛りの肉
絞った蜜
犬の舌焦げ

ありがとう

母の ....
いまはもうない家の
いまはもうない裏の畑で
空いっぱいに舞っていた
アキアカネ。

物干し竿に 洗濯物に
それをとりこもうとしてる母の髪に
それを見ている私の肩に
アキアカネ。

 ....
君がいつまでも気にして
うつむいているので

木の精だよ
気にするな

なんて言うわけないのだが
君にはそう聴こえたようで

わしは百歳じゃ

と低い声で
木の精の物真似をする ....
不治の病にかかった

「愛している」と言おうとすると
「うすらトンカチ」と言ってしまうらしい

もう
うすらトンカチと言える君は
そばに居ない

ああ、うすらトンカチが
死語でよか ....
牛乳を買ってきたつもりだったのに
袋に入っていたのは
それはそれは立派な
乳牛だった

妻は、こんなものどうするつもり、と怒りまくり
娘は、牛さんが来た、と大喜びをした

毎朝、新 ....
くちびるに海苔がついているから
愛してる
って言葉も
何だかシャケっぽい
芝生にはたくさんのシートがひかれて
僕らのピクニックは
その一番隅っこ
風で泳いでいかないように
いろいろ ....
男:ねえ、

女:月?
ライオンは
その牙とたてがみで
王者の風格と讃えられ

カモシカを食べた後に
カモシカに憧れて涙した
ゆいごんじょうをかけという
まいにちまいにちゆいごんじょうをかけという
ふるほんやにいっていっさつひゃくえんのぶんこぼんをかえという
まいにちまいにちかえという
びょういんへいけという
でき ....
夕方と夜の境目
湖畔の輪郭が紫色に曖昧になったころ
湖に身を乗り出し水平に手を伸ばすと
足元に流れ寄る無数の細かな波が
浮力となって
まるで
湖の上を滑らかに飛んでいるかのような気分になる ....
膨らんでしまった
地球の半分の大きさになった

わき腹に インドネシアがささるし
南アフリカからドイツまで腕をのばすと
陽が射さないと 苦情がくる

こんなに大きくなったのに
考えるの ....
いろんなものがぶら下がっていたので
ついつい拾ってきてしまった
天井から吊るすと
いろんなものがいろんな色に光り
窓を開ければ夏の風に吹かれて
いろんな音をたてる

シャリン、チャリ ....
楢山孝介さんのおすすめリスト(293)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
空耳- よねたみ ...自由詩1804-1-22
男の子だったら- よねたみ ...自由詩704-1-22
しおり- 石畑由紀 ...自由詩2704-1-22
眠くて仕方が無いと母は言う- Six自由詩904-1-21
捨てられた花- 紀ノ川つ ...未詩・独白104-1-15
この空の青- 佐々宝砂短歌304-1-14
紫信号- KEIK ...自由詩203-12-27
朝の土手のチンピラの遠吠えから- バンブー ...自由詩503-12-3
キリギリス- Monk自由詩803-11-24
しまパンえれじい- 服部 剛自由詩5*03-11-22
食べてきたものたちへ- k o u j i * ...自由詩29*03-11-15
アキアカネ(百蟲譜1)- 佐々宝砂自由詩603-11-13
木の精- ミサイル ...自由詩1003-11-10
うすらトンカチと言えずに- ミサイル ...自由詩603-11-6
一杯の牛乳のために- たもつ自由詩1903-11-2
ピクニック- たもつ自由詩603-10-27
月夜の電話- ミサイル ...自由詩303-10-21
ライオンの視線の先にあるハサミ- ミサイル ...自由詩1303-10-19
井上光晴小説教室- 狸亭自由詩403-9-25
フライング- 岡村明子自由詩903-9-17
大陸- 山内緋呂 ...自由詩1103-9-11
夏の音- たもつ自由詩503-8-1

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