外で誰かが ドアをドンドン叩いている
そのあとにありえない音がする
最近同じ二階で引っ越していった中国人がいたのを思い出す
この前アパートの消火器の箱を開けたら包丁が入っていたのでうちで ....
「はい、次のひとー」
「こんにちわ」
「はい、今日はどうしましたか?」
「どうも最近ヒメギミみたいなんですが」
「ああ、あなたくらいの年齢だとね、よくありますね、ほんと」
「そうなん ....
泣いているこどもは
湯気が立っていて
かわいい匂いがする

抱き締めて
頭に鼻をくっつけて
くんくん嗅ぐよ

産まれたてのときは
わたしの内臓の匂いがした

今も少し
する
 ....
今夜は 
無性に 胸のあたりが苦しいので
闇の中
家の裏山に ドラえもんを探しに行く

おそらく
好物のどら焼きをえさに 
すずめを捕るような仕掛けで
竹篭を逆さにしておけばよい よう ....
世界で2番目に人波が速い街で
レースゲームみたく追い抜かれ 追い抜かれ 追い越して
シューティングゲームみたく避けて かわして ぶつかって
世界で2番目に難しい日々の第1ステージを何年も挑戦し続 ....
青空に戦闘機が飛び交うようになってしばらく
故郷をなくした
自分ん家はもちろん
ピンポンダッシュしてまわった近所の家も
鬼ごっこをした公園も
灰の舞う黒い大地に変わってた

国民の激励と ....
(おとなりのワンちゃんは犬次郎といって
 生れたときから
 ネコとばかり暮らしてきたので
 自分がネコだとかたく信じています
 イヌがやって来ようものなら別の動物ということで
 ワンワン ....
うっかり逆方向の快速列車に乗ってしまったり
足の小指をイヤというほどタンスの角にぶつけたり
外出直前どこを探しても財布がみつからない
そんな時
母の背中を思い出す

ぼくと弟がびりびり ....
だれる
うなだれる

母は自分でもうペットボトルの蓋も開けられないのに
私の掃除の仕方に文句を言う

若い時に肺結核で肺の一部を切除したから
母は水に入れない
息苦しくて

子 ....
太陽が熱いとカミュの異邦人読んでニヤつくもうひとりの僕


古本屋カフカの森に迷い込みレジのあなたを見れば毒虫


アンデルセンマッチを擦って飛び移る絵本に踊る炎の人魚


スウィフ ....
ペン一本で食べていくなんて
まるで夢のような話だけど
これが二本になると
きわめて現実的な話になる
とはいうものの
アメリカ人の私にはちょっとつらい
デスネ
ぼくがひとり
窓を閉めている

ぼくがふたり
雑木林をあるいている


ぼくがひとり
床を掃いている

ぼくがふたり
ゴミ箱をあさっている


ぼくがひとり
湖畔 ....
読みかけの詩集を逆さまにすると
文字の列たちは
不ぞろいのビルディングになりました
そして
下のほうにあった余白は
広い空に
しばらくその様子に見とれていましたが
何かが足りない気が ....
最後の人が飛び降りたまま
裏返ったブランコの鎖が歪に静止している
翌日になれば元に戻される、それだけのこと
わたしは、もうずっと公園にいない
だから知らない


ブランコ ....
化石になった受話器から
感傷が漂って来る

あの日から忍び寄るいつもの夏を
おぼろげに感じかけた矢先だというのに
僕は夏を失ったのだ
あの日からという夏を


あの日
やがて歴史に ....
「ママ、起きてよ!夜だよ!」
こどもたちの声がウルサイので、わたしはやっと目を覚ました。
こどもって、なんでこんなに毎晩早起きなんだろう。
そうか、夜か・・・。
そろそろ起きなくちゃな。
「 ....
ゼロバンメにすきといったら
ほれられた。

そのうち白けて
にげられた。

なんもない訳じゃないんだよってば。

それがなきゃ
いちばんだってないんだよってば。

わかんない奴だ ....
昨晩 幽霊の子が部屋に来て
コンピュータの前に座り
しばらく居座っているウイルスと
何やら会話をしていた
書きとめようとしたが
いつのまにか眠ってしまった


目が覚めると
 ....
おれは海を釣ろうとする
海からおれを釣ろうとする

あなたは海を産もうとする
ひとの不思議を産もうとする

ぐるり
この星が太陽をひとまわりして
海辺の町に
また
桜が咲いた

 ....
飛行場だった廃墟に忍び込むと
僕は思わず
飛行機になってしまう
両手を広げ
雑草の生い茂った滑走路を
全力疾走
夜風は冷たくて気持ちがいいな
思わず顔が微笑んでしまう
いつの間にか「キ ....
にゃんでか知らにゃいけど
「にゃににゅにぇにょ」
が言えにゃくて、全部
「にゃににゅにぇにょ」
ににゃる
日常生活に支障はにゃいもにょにょ
こにょままでは
僕が僕でなくなってしまう
 ....
一本
二本
三本

指が沈んでる

あなたに触れようとしたら
全部
落ちてしまった

水槽で泳ぐ
さみしそうな指に
ゆらゆらと
水草がからみつく

しょうがないので
エ ....
(1)

僕は眩暈をおこし倒れゆく途中、眩暈の原因はこの部屋の絨毯の模様がどうにも見慣れない形に変わってしまったからだということに気づき、しばらく斜めになったまま考察を続けた。



(2 ....
望遠鏡で
月を覗いたら

傷が付いていた


のは

望遠鏡の方で


月は今でも

美しく欠けていて
もぐらが穴を掘るわけは
ほんとは空が見たいから

トンボが空を飛ぶわけは
海を泳いでいたいから

夕日が海に沈むのは
赤く染まる波々の
向こうにおうちがあるからで

とうさん帰 ....

目の見えない私には
百科事典は
何の指針にもならない

漬物がよく漬かる重さだから
重宝しているんだ

それだけだよ




これはぼくのばいぶるなんだわからないことは ....
 シルクハットの手品師は
 自分の姿を消しました
 種も仕掛けもなかったので
 もう元には戻らないのでした
 相棒の鳩は
 空を飛んでいます
 
  


 
好き?
と彼女に聞かれたので

好き
と彼女に言う代わりに
100行の詩を書きました
それはそれは思いを込めて書きました

100行じっくり読んだ彼女が言いました




で ....
マウンド上で大きく振りかぶった
金田正一の投げたストレートを
牛若丸といわれた吉田義男が
小気味よく弾き返すと
白球は強いゴロになって
三遊間を抜けようとする

あらかじめ心持ち三塁より ....
ボウアは めっくりぽえるのが 好き好き
だからいつも かぷりちゃう
いつも どこに あたびが
ワルツ ワルツ まむつよ
それ なあに?
「おかさん の おっぱい めるめろ!」


 ....
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