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傾いて
その周囲に小さな
豊穣を張り巡らせながら
季節の同調を軽んじてゆく
絵の中の成果
熟れすぎたくだもの
(あるいは くだくもの)
裂かれるために実る
歯のいのちの前でおびえるもの ....
あさがくる。
わたしはかがんだ姿勢で、静かに息をのむ。

空からおとされた、その夢から覚めきらず、
湖の底から、
裂けた形をした空を見上げる。
藻にからまり、
わたしは力なく、湖面をあお ....
「狐つき」

こん と ないてはなりませぬ
こえをあげては なりませぬ
とられたくない だいじなものは
かくしておかねば なりませぬ

くらいよみちは こわいけど
ふきさすかぜは つら ....
砂の上に
時をばらまいた
風が吹いて
時間が流される

帰らざる時の終わりに
横たわる
あなた

打ち寄せる波間は
遠き日の思いを映す

思いが心を焦がす前に
光よ
わた ....
いってらっしゃい 
おかえりなさい 
ごはん できているわ 
おいしそうだね いただきます
そうだわ にちようび どこへいく
えいがをみて さんぽして
いっしょに ゆうはんのかいものにいこ ....
凍りつく落日が、煌々と浮き上がる、
退廃の翼が燃えている丘陵地帯を
毅然としたまなざしが、顔を引き攣らせて、
走り抜けてゆく。
夜ごと、記憶の手帳に書き加え続けた
凛々しい言葉は、荒れ狂う午 ....
「樹を」
折れてゆく私の直線をめぐって溶け出す樹々、の泳ぐべき海の直線。泳ぐのは海、ひらくのは海。樹の斜線は海を分解して新しい樹々の斜線を生産する。いくつもの遠さに囲まれながら樹はかわくのをやめない ....
間違いを犯さずに
生きていようとつとめてきた
  少なくとも
    大きな間違いだけは

生後 という
言葉がある
生まれた 後
という意味だが
つまりはこの世に参入してからの
 ....
花とミクロ

糸的に蛇の祝福を
閉じた空間で受け取る
アザラシの膨らむエロティカを覆う空白の空で
人の型どりを抜きたがる唯

ミスアメリカの笑顔のみで
無理矢理快楽を捉えようと試みる知 ....
 私には自分が岩であった頃の記憶がない。だが、確かに私はかつて岩であったのだ。恐らく私は、人の欲望に汚染されることのない高山の頂上付近で、時折空から降ってくる虚無の波を一身に集めていたと思うのだ。ある .... ひとつひとつ、はげしい輪廻のあとに、夜は摘み取られてゆく。現世の庭にしどけなく積み重ねられた夜の鏡像は、大地の核に至るまで、ことごとく破壊されている。光は輝くことをやめた。色彩はひろがることをやめた。 .... みずうみに滑る風が微細な音を鳴らして、
朝は呼吸している。
絶え間ないひかりを厳かに招き入れて、
夜のしじまを洗い流す。
目覚める鳥の声の訪れと共にあらわれる、朝霧の眩さ。
真っ赤に湖面 ....
孤独な日には時雨る
空気が重い
わたしは一日中寝た
黒人が
国道脇を歩いていく
何人も
わたしは絶望しない
楽天でもありえない

遠き友より手紙きたりて
わたしは
寂しい夢を追い ....
 月が盲目であることを知るのに私は二十年の歳月を要した。私にとって、月はあらゆる意味で眼であった。月から伸びる湿った神経束は世界の絶望へと接続していて、世界の絶望は、半ば狂いながら老犬の飢えと私の衰弱 .... 非世界から吐き出された器としての私性
一滴の光でさえも顔料にして
熟したひだの内側へと塗り込んでゆく
ゆらめく環としての仮性植物
突起した肉からしたたる千草色の液
私は世界のあらゆる空に押し ....
いつのまに
我が胸に吹き込んできた
風の{ルビ女=ひと}よ

君が踏みつけられた花を見て
傘をさしたまま立ち尽くし
ひび割れた心のすき間をほの青く光らせ
雨音に{ルビ滲=にじ}む心を痛め ....
銀色の刺に、凍える、空気は、
青い空の下で、
白い、息をつき、声がもれる、
頬の骨に、拳が石のようにあたる。

わたしは、
バラ線を後ろに、殴られる。
放り出された、ランドセルの黒い光。 ....
第一章 権利

 君をみたす酸素分子はさだめられた方角を見失うとき、霧となる。池のおもてで朝日が砕かれてゆくのを、君は燃える指でなぞる。どこまでが記憶なのだろうかと、問うこともしない。背後にあいた ....
手首の上をながれてゆく触覚を足の裏に溜める。肌からにじみでる殺意が皮脂に溶け込んでしまうのは、私の内なる単子が水を吸った海綿だからだ。水色の球面を幾度となくめぐり、針をうしなった摩擦力。角の取れた立方 .... 雨に濡れるのを忘れた人が、信号の前で返り血を浴びている。どんよりと、ただどんよりと生きていけ。おまえの夜の病はいまだ進行中だ。魚群探知機に映る影の人びと。探そうとしてもけっして探し当てられない影の呼吸 .... 時間は円をめぐる歩行者のようで、はてのない夢境にて死を装い続ける。驟雨にぬれた林の小道で、あざやかな多面体をステッキで描く。数々の速度がきざまれた都市の舗石の上で、マッチの火をともす。視界をおおい始め .... うたびとの記憶は木の葉のように、それぞれの滑面を散らしながらはすに重なりあってはひめやかに燃えていくのです。残り火は隔たりをときはなって、思い思いの灰を降らせながら真空にうずもれてゆきます。灰は年老い .... 水平線から屹立する歪んだ石棺の中で、僕は世界を描いている。つねに覚醒する神々の息吹に合わせて、僕は一日を造形する。鳥たちは朝と昨日とを見つけ、太陽は残酷に衣装を剥ぎ取る。選ばれているのだ。だが、奪われ .... 開かれた朝の冷淡な舌の上に 
夜闇が傾く
燐を見たカササギの子は 
深く苦い光の中に 痙攣する
audivisti?
無を語るものたちの 産声を
audivisti?
腑を落とされ 抱擁 ....
1.口(先端)

隙だらけな口先が尖っていて、三日月だった。どうやらそれは動いている。晴れた夜も、駅の看板は傘をさして咳き込んでいた。メッセージが肩を軋ませあう街で、きみの尖ったり嘯いたりするだけ ....
  

  薔薇
    ガラス
       ライナーマリア・リルケ
  薔薇の芽に刺されて死んでいった 破傷風の血
       詩人はなぜうかつだったのか
       {ルビ薔薇 ....
 

  赤い傘差して今日も雨
  カタツムリは縮こまって
  濡れている
  陸上競技場のアンツーカーはけぶり
  女子大生は傘を差して自転車に乗ってやってくる
  雨の日は少し喉が軽 ....
 


  窓をあけると朝だった
  もう3時から起きているというのに
  分からなかった
  朝はカマキリが月に噛みつく時だ
  秘密の儀式はぼくしか知らない
  ぼくはようやく
 ....
夕べのにおい
外灯のにおい
壁の裏側に眠る怪物
屋根の向こうにそびえる火を追い
刈り込まれた生け垣の葉をとばす



一筆書きの街から街へ
人のような虹が駆けてゆく
うろ ....
  


  モーニング
  レズビアンは美しいか
  旭があたる
  アウトデッキで
  珈琲を飲んでいる
  リーモーガン
  JAZZをきかなくなってから
  久しい
   ....
もりおかだいちさんの自由詩おすすめリスト(96)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
死物- 岡部淳太 ...自由詩10+*06-6-1
朝がくる- 光冨郁也自由詩15*06-5-28
狐月夜の物語_(三つの狐つきのうた)- 降旗 り ...自由詩17*06-5-27
砂流歌- アマル・ ...自由詩1606-5-17
しゃらびぃ- 降旗 り ...自由詩11*06-5-13
仮面の舞踏- 前田ふむ ...自由詩15*06-5-7
啓示- 葉leaf自由詩19*06-4-28
生後- 岡部淳太 ...自由詩10+*06-4-17
花とミクロ- 瓜田タカ ...自由詩306-4-9
- 葉leaf自由詩10*06-3-28
内在- 葉leaf自由詩13*06-2-28
四つのベンチ__デッサン- 前田ふむ ...自由詩6*06-2-5
遠い手紙- 石川和広自由詩5*06-1-31
- 葉leaf自由詩13*06-1-29
- 葉leaf自由詩7*06-1-28
夕暮れに咲く花- 服部 剛自由詩11*05-12-30
バラ線- 光冨郁也自由詩10*05-9-17
法学- 葉leaf自由詩19*05-7-28
儀式- 葉leaf自由詩6*05-6-28
蒸し焼きの雨- 岡部淳太 ...自由詩37*05-6-18
機械- 葉leaf自由詩5*05-5-26
- 葉leaf自由詩13*05-4-27
来迎- 葉leaf自由詩4*05-4-23
- 葉leaf自由詩5*05-4-23
裂け目から- nm6自由詩12*04-11-25
エクリチュール- 天野茂典自由詩304-11-13
験潮儀- 天野茂典自由詩404-10-26
宇宙から始まる朝- 天野茂典自由詩104-10-24
街路光- 木立 悟自由詩804-10-5
宇宙- 天野茂典自由詩504-10-2

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