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くもりの朝
まくをやぶって
私らは起きあがる
このあたりじゃ今日もビルが倒され蜜が降ってくる
クリームソーダくまの夢
名前をつけてやるから
こっちへおいで
むかしの歌ばかりき ....
西日のざらざらで
描いた影の絵を
なぞる蜜の指
終わろう終わろうと
切っては捨てた
いろいろな物が
日の沈むあたりで
燃え残って鳴っている
世界と水平な心でいて
こまかい こまか ....
約束だとおもって
ちゃんと5時に来た
新南口に
だれひとりやってこない
犬もこないし
鳥もこない
なんだよ
かわいい嘘じゃん
それでわたしは考える
拾われなかった小石や
打ち寄 ....
わたしはこれから
目を覚ますから
あなたはカップを出しておいて
コーヒー豆は冷蔵庫、
ナッツ・ケーキは戸棚のうえに
泣いてるうさぎにベッドを貸して
手をつないで坂を下ろう
....
蟻の角はまだ あるのだろうか
遠吠えや 躓きや 読みかけの頁は
まだあるのだろうか
目をあけて見やる身辺に
ころころと付属する色色を
憎んだり愛したりもせず
ただそれと知って引きず ....
薔薇柄のスカートに
あおいしみがある
食いしばりすぎて奥歯が四本欠けてる
カーテンレールには教科書から切り抜いた絵を貼っている
隣人の顔はしらないけど曲の趣味はだいたいわかる
壁がう ....
薔薇がそらを向いて開き、まちの花盛りは終わろうとしている。連休の留守から戻ったら、好きだったなにわいばらの花はひとつもなくなり、花弁さえどこかへ行ってしまった。なつかしいあの清廉な白。
来て半年 ....
お誕生日はよく晴れた。いつものように洗濯機をまわして床をみがいたあと、夫がベビー・カーを押してくれたので公園まで娘と手をつないでいることができた。
午後は眼鏡を新調したあとでお鮨をたべにいった。安い ....
2月が終れば3月がくるということを、無論ずっと知ってはいたけれども、たいていこのくらいの時期になるときゅうに理解してしまう。毎年、性懲りもなくだ。2月と3月のあいだには、いくつもの恋が横たわってい ....
坂の多いところに引っこしてきて二月になる。暖かすぎる冬にもようやく雪が降った。じきにみぞれに変わって重たくぬかるむ轍をばちゃばちゃ言わせるのが楽しいらしく、膝の下あたりまで濡らして娘があるいていく ....
もういいじゃん
バッグが空
よごれてきたけど
樽も空
ついさっき出荷されたのたちが
残していった空気をぜんぶ肺に詰めて
それで忘れないってことにできたらどんなに素敵だろう
なんど ....
車輪のないバスがとまっている
低い木のしたに
たぶんそこにあなたはいる
破れかけのシートに心地よさそうにまるまって
外は
こんなになってしまったというのに
さびしい、という言葉も知 ....
朝には、
むらさき色の腕がゆめを奪いにやってくる。
走って、だれもが
逃げているとおもってた
湯気のあがるさか道、
ねばっこい草のなか、
うす暗い公園。
みんなからはぐれて、
それ ....
あまいとおもっていた
あなたの言葉は
いまでもわたしの喉をふさいでいる
目の内側から金色がおしよせて
まもなく手も足もうごかなくなる