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路上の車の窓ガラスを
ツバメの低空飛行が横切る
それを見ないふりをして
7月はやってくる。
その間にもわたしは
あなたのことを見ている
アジサイの花びらで
四つ葉を作ってよ。
....
ここに来るまでずっと
つま先だけ
見ていた
たどりついたとき
誰かが待っていて
ほめてくれたりする
どこかはどこ
軒下に避難した朝顔も
こうべを垂れるので
昨夜から宿っていた ....
見上げると
空は昼寝をしていて
そのすきに
雲は氷になっていた
このごろは
どうにも喉がかわくんだよ、
と手を伸ばしても
風
涼しいかたまりが
つるんと通りすぎて
ぼくはま ....
伸ばした腕の先の
手のひらの先の
中指の先っちょが
触れるか触れないか、
のところまで
夏が。
列車を待つ顔たち
照らす陽射しの角度を
知ってか知らずか
右へ傾く
....
秒針がふるえて
ぼくは ただ
青くなってゆくばかりだ
深みが光を吸収し
かわりに
無数の粒子が
まとわりつく
探してた言葉は
どこにも見えず
たえなまく
泡
....
どこから夢で
どこまで夢だったのか
わからない
という 朝
さざ波がたっていたので
ただ
風をさがした
前に進むための
1オンス
やがて
なにもか ....
気がつくと きみは
魚になってしまっていたので
ずっと
きみを知っていたのに
はじめて見たような気さえした
望遠鏡をのぞくと いつも
波がよせては砕け
飛び散る
セロハ ....
呼吸したり
成長したり
引き潮を待ったりしてたら
20億年
あっという間に過ぎた
海底では
あらゆる生物が
地球を
ぐるりとくるんでいる
海はまた
それをまるごと
く ....
階段の 途中、
上から5段目あたりに
背筋をのばして座っていると
傘を忘れてしまったことなど
どうでもいい
と、いった気分だった
昨日洗ったスニーカーは
乾いただろうか
....
しゃがみこんでいたら
かたつむりが横切ったので
雨はどうして降るの?
と、問いかけてみた。
かたつむりは
にょきにょきとツノを出しただけで
何も言わずに
つるりと通り過ぎた。
目玉 ....
すきま風に押され
宙を舞い
テーブルの上
こっちが裏だ。
こっちが表だ。
裏だ。
表だ。
裏、表、裏、表、裏
と
小競り合い
すると
いらついたように
はらりと飛ぶと
....
水曜日はどうにも暇だった
すきま風になって
きみのふくらはぎを
なでなで なでなで
したり
ソーダ水の泡になって
ぷちぷち ぷちぷち と
浮かんでは はじけ
浮かんでは は ....
寝ているすきに
あの娘の目ん玉を
拝借してきてしまった
薄目をあけて眠る癖が
あまりに
かわいかったから
鼻でも 耳でも
なんでも良かったけど
薄目にやられた
枕元に置い ....
風船
つばめの急降下にも
動ずることなく
ただよう風に押されて
やがて 点
水面に映る丸い残像
滝
世の中のすべての音を盗みながら
アピールするものは
引力 ....
「ラムネ買って」
「チョコレート欲しい」
そう言ってねだる子供達に
困り果ててなお笑顔の母親たち
あのころ
欲しいモノといえば
せいぜい駄菓子屋のおばちゃんに
100 ....
押入れに顔をつっこんで
ぐるりと見回したら
天井の端っこに
小さな穴ぼこがあいていました
穴ぼこの向こうは
下から見る限りでは
ただ ただ 暗闇でしたので
なんだか怖くなったぼくは
....
100円玉で買った
にんじんスティックを手に
檻の前に立つ
シマウマは
鼻を鳴らしてこちらを見る
たてがみも立派に
シマウマさん
このにんじんをあげるから
わたしにその黒い縞を ....
さよなら国は
朝でも 夜でも
「さよなら」とあいさつします。
さよなら
さよなら
ほんとの さよなら よ
ふぅん、ぼく よくわかんないや
こまったわ
....
「ありがとう」を
上手に言えない自分が
人に何かしてもらったら
「ありがとう」とちゃんと言いなさい。
と、我が子に教える
「ごめんなさい」を
素直に口に出 ....
ピンクのレモンと
すっぱい 角砂糖 には
ただ ただ 拍手をおくるよ
そして
君に サヨナラを告げた
この 僕にも
きみがプリンが好きだと知り
ボールと泡だて器を用意した
すると 卵をきらしていることに気づき
悩んだ末に おもてに出た
ぼくは 公園に向かい
砂場にすわりこんだ
誰かが忘れていったプリ ....
虹という名の プールで
きみは 泳ぎ続ける
その指の先に
何を みているの
虹という名の プールは
きみを 自由に泳がせ
誰からも
ぼくからも
きみを 遠ざけてしまった
遠く続いている空の下で
今まさに起こっている出来事が
メディアから流れてくる
それに耳をかたむけすらするが
心までは かたむけてはいない
と、いったところだろう
おそらく 大多数の人々 ....
さよなら国は
朝でも 夜でも
「さよなら」とあいさつします。
みんな みんな
笑顔で「さよなら」をかわします。
時には おじぎまで
時には なみだまで
ボクがいる ....
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