朱夏
望月 ゆき
伸ばした腕の先の
手のひらの先の
中指の先っちょが
触れるか触れないか、
のところまで
夏が。
列車を待つ顔たち
照らす陽射しの角度を
知ってか知らずか
右へ傾く
くる夏
線香花火の終わる瞬間
誰を想い
なにを願うのだろう
世界のどこかで
かわらず
砲弾が飛び交っているであろう
その時
庭の片隅には
もぎ忘れられて
今にもぱちん、と弾けそうな
プチトマトが。
自由詩
朱夏
Copyright
望月 ゆき
2004-06-18 00:45:30
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