すべてのおすすめ
夜は
雫を運ぶ
こぼれ落ちる
白い小粒
背中から墜ちそうになった
平行ではいられない
夜は
漆黒の中に有って
そそる姿
寄り道ごっこがもうすぐ終わる
無数の冷たい針が
多 ....
1.口(先端)
隙だらけな口先が尖っていて、三日月だった。どうやらそれは動いている。晴れた夜も、駅の看板は傘をさして咳き込んでいた。メッセージが肩を軋ませあう街で、きみの尖ったり嘯いたりするだけ ....
俺には何もわからない。
水道の蛇口をひねる。おまえの体液が心地いい。
ずっとたゆたっていたい。
かるく海の匂いがするそこに、ずっといたい。
ずっといたい。
傾 ....
ずっと 遠く輝いてる 星は
もう ずうっと前に 輝いて
今 私がみてるものは 過去
光 とどいているのは 願い
いつまでも まにあわなくて
いつまでも まっていられる
ずっと ....
線は線に縁取られると形になる
あるいは輪郭と呼ばれても
わたしたちは先に生まれている
そのことはいつも
部屋の中で動かずに考えるべきであろうことを
わたしは知っている
いつもぶち当たる ....
あの人は頭にツノがありました
ある日
頭にツノがあって大変ですね
と言うと
あなたはツノがなくて大変ですね
そう答えました
あれを初恋と呼んでいいものか
今でも戸惑います
ただ、あ ....
14歳の冬
生理が1ヶ月近く
止まらなかったことがあった
わたしは学校で倒れ
保健室に運ばれた
どうしたのと先生に
やさしく聞かれても
上手く話せない
自分でもわからない
母親に病院 ....
真夜中にちっちゃいうたを湯舟でうたうと
ゆげでぜんぶなくなってしまうから
今日はうたわなかった
半分になってしまったペディキュアは
女であることを忘れさせてはくれないのに
どうしてもう半分を ....
この長い長い
一瞬が
胸から消える事を
悲しく思います。
全ての事を良く考えて、
私の一部分を手放します。
多分もう少し時間がかかるけど、
今始めたところだから、
きっとイライ ....
あれから
どれくらいの時が過ぎたのかなんて
思い出せないけれど
わたしは夜の11時頃
仕事帰りにひとりで
国道4号線沿いの
びっくりドンキーで
ハンバーグディッシュを食べていて
つい
....
はめこまれた
月 太陽
けれど 遠い所の土地だ
体でいけない場所だから
波おこして 乗るように
向かう
まわるカレンダーの
赤い丸は
ボタンになっていて
指先から舟にな ....
ブルドーザーには菜の花がよく似合う
はずだったのに
背の高い草にかこまれて
しんみりと秋の花が咲いていた
あおいカーヴをえがいてぼくたちは
しろい凧のように伸びたりちぢんだり
拡散 ....
るらら と歌いながら 少女は崖の淵に立ったのです
崖は 必要以上に大袈裟に 切り立っていて
下を 見ると白と緑と虹色の川が
三日月湖 を 残して うねうね しています
きょうも おわった かな ....
嵐のいった後はいつも
いろんなものが電線に引っかかっていて
奇妙な陰だとか
擦り切れた音だとか
さっきまで巻かれていた自由なもの
全部
西日を受けてしなだれている
多分みんなが
風 ....
行ったことないけれど海の家のかき氷ののれんを突然思い出したわけで
砂浜に置いてった夏にしか笑えないジョークを
水道の水が冷たくなりかけのころ思い出す
海になんか一度も行か ....
迷子のお知らせをします
赤い帽子をかぶった
ワンピース姿で
後期量産型の
中年男性が
迷子になっております
アナウンスはスロープを
なだらかに崩れ落ちる
伏せられたメガホン
かぶせら ....
激しい足からなる二つの牛の角を
燃えるひとすじの流れに委ねて
速度を増す赤が増していくところ
何層にもうねった漆黒の木々の幹に
水色の肺が生まれる
暗くともっ ....
泣いているこどもは
湯気が立っていて
かわいい匂いがする
抱き締めて
頭に鼻をくっつけて
くんくん嗅ぐよ
産まれたてのときは
わたしの内臓の匂いがした
今も少し
する
....
三番線に十両編成の
パフェが到着した
中から降りてくる人たちはみな
クリームまみれ
母親に手を引かれた幼い男の子が
頭にフルーツをのっけて
昨日からだよね、昨日からだよね、と
....
ウェーブしたものをつくりたいと思ったことはあるか。わたしは、ある。それはまず滑らかでなくてはならないだろう。日差し例えば、うたたねをする準備ぐらいあってもいいだろう例えば、枕ぐらいあってもいいだろう。 ....
開かれた窓が必ずしも
空ではないとゆう君が開く
歌集の背景も部屋ではないとゆう
綱渡りな瞬間が連続している
今日は一番新しい日
みんなに会いに行こうと思ったけど
道はすべて絶たれて ....
わたしが 水から上がるとき、いつも
聞き忘れていることがありまして それは喋りません が
ふ と流れていくものを 仕草、捕まえるときの
肉体の動き、地脈らしく 地層の重なり 浚渫は終わり
わた ....
冷え切った校舎の裏
ささくれ立った言い訳をした日
嘘をつくのは単なる処世術ではなく
空気と同じなんだと信じることにした
地球は今この瞬間も律儀に回っている
無数の嘘を繋ぎ止めながら
....
愁い棚引く九月はゆらりと
恋人のくちびるを
柔らかく止める
ほんのりほてった袂を
上げて私は
そのくちびるへ駈け寄るのだ
吐き出す息がすべて
九月 ....
朝靄の中
頼りない影を引いて
配達夫は世界の悲報を配るのに忙しい
昨日のキスは二人しか知らないこと
ベットに傾けようとしたとき
「今夜はいや。」と云った君の
声の湿度は僕の鼓膜しか知ら ....
あいつは俺の噂話をして
俺から片腕を切り落とされた
交差点の銀行は
何度も合併して名前を変えた
黒塗りのタクシーが客待ちして
運転手が鼻毛をむし ....
何気なく押しだした吐息に
繊毛が混じる
機械じみた寒さが
曇りガラスの窓を割る
結び目が一つだけついた
硬いロープが
乾いた土に
弓矢を放 ....
連続する雨音に
途切れがちな呼吸のリズム
頼りない影を投げ出して
傘を忘れた人が
部屋で泣いている
電線の滴が地面に落ちる瞬間
....
塗り絵に多くの
期待をしては
いけませんよ
消えそうな手で
果てるまで
そういって命を乞うた
天花粉のけむり舞う
七百十号室は
発疹の若い火照り
八朔を剥く指も
ここでは何 ....
アイスキャンディー
ある冷たい話をする
アイデンティティ
大学の一室はもう真っ暗
カーテンは黒い
書道部が逃げていく
追いかける学生はその倍
自宅待機の者はその倍
中国の人口はその倍
....
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