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この浴槽を欲情で満たす牡丹雪
ひとひら、
口づけるたび、悲しみの温度が肌を焼く
ひとひら、
白い手に抱かれるまま、別れの雪を肌に降らす
この雪は溶けるため
この白は忘れるため
あなた ....
向かい風、吹雪の下校道。
風速10メートルと零下10度の結婚で生まれた雪のカミソリに
顔を傷つけられないように、後ろ向きで歩く。
「大丈夫だから。」って言って
かばうように前を歩いてくれる友達 ....
━数億年、
寄せては返し繰り返し
水、空気、光を、
混ぜる、取り込む、濾過する
そうして造られた海は、人の創造を遥かに越えて
例えば、ありふれた海岸線の湾曲にさえも
....
書き出しの言葉は、思いつかないから前略。
今年の東京は春が来るのが早いよ。
本当の冬は来ないままだから、故郷の二月、思い出してたところ。
−20℃、ダイヤモンドダストを肺に吸い込む日、 ....
その風の名前は知らないけれど
黄色い砂を連れてやって来るその風の後には春が訪れることなら知っている
そこが何処に在るのかは知らないけれど
3月の空の青を背に、辺り一面に咲く菜の花の黄色なら知っ ....
ミモザの下でキミを待つ、キミを待つ。
雨は銀灰
傘を打つ音、なる、なる、なる。
ちりちり りりり 燃える線香花火。
さわさわ さわわ ざわめく拍手。
ぽんぽろ ぽろろん ....
ねぇ、かあさん。わたしの初めての言葉って何?
「赤ちゃんのときの?
ぎゅって握った手を差し出して『うまー』って言ってにこにこって
笑うから、母さん、本当にうれしかった。」
うま?な ....
凍てついた太陽の下で僕は笑えずに
澱んだ空の隅っこに温もりの床を探す
それは冬のこと
日向に微睡み
夢見心地に酔いながらねえ…
ずっと、そっと
人知れず
浮かんだままで居れたらいいのにね
(僕 ....
ゆっくりゆっくり
暮れなずんでいく
太陽が
月に
主役を譲ろうか
考えている
街は戸惑って
モノトーンになって
こんな夕暮れは
誰かといても
淋しくて
深い森のなか
長い長い
散歩をした
ただ
道を辿るだけで
あのひとに
そんな秘密があるなんて
知らなかった
深い深い秘密が
あのひとは
今日も笑顔だろう
....
一針一針
縫い込んでいこうよ
こんなふうに
キルティング・ツリー
わたしたちも
これからを
二人乗りして
どっかいこうよ
秋風を切って
田舎の散歩道を
きっとそのまま
違う世界に行けるかもしれないね
バナナは好き
甘くて柔らかくて
でも
人前で食べるのは嫌い
なんだか
猿になった気がするから
丸い月が
見下ろすこの街を
わたしは
愛する
あのひとの
生まれ育った街だから
ほかのひとはだめ
でも
待ってるひとは
なかなか来ないの
星も月も光る夜
窓辺に置くティーカップ
ダージリンの海に浮かぶ君
香りに誘われて揺らぐ光
満たされている心
君が眠りにつくまで
小夜すがら見守っているよ
遠くで聞こえる
波と夜想曲
昏い昏い
夜があけようとしている
黄金色の朝は
いつも下からやってきて
夜は上に追い払われる
おはようって
最初にいいたいのは
やっぱりあのひと
でも
会えないから
....
天窓から見える
山はまだ緑
まだ
でも
そのうち
紅葉になって
きっと
美しいだろう
血のような赤や
華やかな黄色に
もしかしたら
雪山さえ
見る事が
できるかもしれない
四季は
わたしを置き ....
あおいそらと
しろいくもと
とうめいなひかりが
わたしのあたまの
はるかうえで
たのしそうに
おどっていた
すん、と
せすじをのばしていない
そらとくもとひかりは
ほんとうに
たのしそうで
....
どんよりと どんよりと曇ってきました
雨を降らせたくとも降らせず じっと耐える雲
空は重く重くなっていきます
このまま滴を落とすことなく 暗い空が続いたら
喉が渇いてしまいますね
欠けた月の前を
白い
大きな鳥が
西へ
通り過ぎてゆく
どこへ行くの?
お前は
急いで
呼んでいるの
みんな
帰る場所があるの、ね
西は
羽根を ....
父とケンカしてから
もう 2ヶ月近く 口をきいていない
2ヶ月前は母に
「今年の"父の日"と"父の誕生日"は なんもせーへんからな!」
と言っていたのに
あるケーキ店のホームページで
たまたま見 ....
哀しみが 満開
散り際は 桜の潔さで
いまだ冬の
凍える朝にも
こぼれる陽光の一筋に
穏やかなる日和を思い
目を細める
匂い召しませ
息つく春を
「にゃーにゃー」
「にゃにゃ?」
ご主人さまが
猫語を真似て
話しかけてくるけれど
何を言ってるのか
さっぱり
わかんないニャン
ここはひとつ
狸寝入り
じゃなかった
猫寝入り?
終わりを告げる声は無く
始まりを告げる声も無い
泣くのは
人だけではないだろうに
それでも再び
巡りくると疑わず
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