春をうたう 愛をうたう
あ。

きみに逢えた日に
桜が咲きました


花壇にはたくさんの花
わたしは名前を知らないけれど
きみと同じくらいかわいかったことを忘れません


かわいい花と空と季節ときみを
気付かぬうちに目で追っていたのです


唇に恋文が届きました
それはとても
あたたかくて優しくて
思わず笑ってしまいました
笑いながらきみを見ると
同じくらいに顔をくしゃくしゃにしていて
それで何だかつられてしまって
お互い目を合わせて笑いました


昼と夜の間
淡い色の時間を愛しています
わたしたちにくっきりした色は似合わない
あくまでもぼやけた輪郭でいたいのです


この春最初の桜は
きみと一緒でした
花びらにくちづけして
その頬に指先で触れました


わたしたちは
あまりにも儚い花でした




自由詩 春をうたう 愛をうたう Copyright あ。 2009-03-25 19:17:20
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