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机の人がいた
脚がついてた
幽体離脱の
練習の真っ最中だった
汗をかいて
それでも手を振ると
余っている方の
手を振ってくれた
(2006.6.19)
薄く陽光がさしている
植物園では植物がよく育っている
今日は花が少ない、と言って
きみはラッパズイセンを植えている
母親に手を引かれた女の子が
しきりに言葉のようなもので何か話している
話 ....
父は歩き続けた
角を曲がったところで左腕を失い
コンビニの前で右腕を失い
市営住宅の駐車場で両足を失った
やがてすべてを失い
最後は昨年まで歯科医院があった空地で
一輪の花になった
....
笑っていれば良かった
好きなものに
好きなだけ名前を書いて良かった
右手に持てないものは
左手に持って
それでも持てなければ
空に放して
それから、かえる
透きとおった卵の日のこと ....
たくさんの人が眠っている
重力に抗うこともできずに
背から腹までのわずかな高さの
影をつくって
僕らの毎日は孤独な戦いだ
星の中心へ向かおうとする力との
今日もまた爆音が響き
崩れていく ....
うなぎ、きらい
うな、ぎ、きら、い
骨がささるから
ささ、ささ、ささ、
たくさん食べると
たくさん、ささ、
るから
ぬる、ぬる、して、
きら、きら、し、て、
基礎体温計を口にいれたま ....
たくさんの固形物が
群立するビルの谷間に
在るものが在るものを
こえようとする瞬間
世界中の言語は黙秘した
こだまする
吐息と靴音
家に忘れた裁縫箱を取りに
少女は走った
....
犬の耳がわたしを駄目にする
駄目になったわたしは
大きな桃になって歩く
途中遠回りして
家族に小さな菓子を買った
今日はかけっこで一等になった
娘は得意げに話してくれたが
何メートル走か ....
あげたかった
必要なものはすべて
コップが限界だったのに
それ以上だと作れなくて
カステラみたいに
手は千切れてしまうのに
(2006.6.11)
晴れわたっていた
ページをめくるたびに
空はその青みをまして
澄んだ悲しみのように
雲ひとつ見つからない
その向こう側から
誰かが僕の名を呼んでいる
今朝旅立つことは
すでに決めていた ....
表情の中を魚が泳ぎ
わたしたちは
知らない名前まで
食べなければならなかった
表情の人は会釈をすると
良い色のうちわをくれた
その夏は
たくさん扇いだ
(2006.6.9)
日々の営み
食べかけのマンゴー
砂のようにどこまでも
ずれていく少年
手段を知っている僕たちは
まだ本当の悲しみを知らない
日々の営み
食べかけのマンゴー
それが癖であるかのように微笑 ....
水面でも生きていけた
音も音以外のものも
やがて最後は雨となって
わたしはいつもの
退屈な境界線になった
明日は全国の会議室で
美しい花が観測されるでしょう
予報士は丁寧にお辞儀をすると ....
ジンジャーエイルでいいです
知ったかぶりして注文したら
それはどんな味がするのかな
一杯回してくれないかね
と
亡くなったお祖父さんに冷やかされた
お祖父さんは
お酒が好き ....
一枚のざぶとんに
君と背中あわせで座っていると
温かさがここまで伝わってくる
つまりそれは
君のここに
僕の冷たさが伝わっている
ということなのだろう
二人の真ん中くらいに夕日は落ち ....
雪の真似事が得意だった叔父は
危ない、と言われていたのに
ある日原っぱのようなところで
なくなってしまった
話をする様子がいつも苦しそうだった
幼い私を見ても
たかいたかい、しか
....
私は私の血
息をしないと
自分に苦しい
私は私の血
ブレーキをしないで
坂道を駆け下りていく
熱い日ざしを反射して瓦
生家がみえる
(2006.6.4)
かつて見送られるもののために
窓はあった
そしていま窓は
残されたもののためにある
窓を開け放ち
潮の匂いのする風を迎え入れる
誰かが忘れていった
化石の海が
ひとつ置かれている
....
階段は増え続けた
僕らの知っているところや
知らないところで
やがてこの街は
階段で埋め尽くされてしまう
のではないかと思う
そうしたら君と
階段の無い街に行って
日にあたりながら ....
給湯器のように優しい
考えちゃいけない
考えちゃいけないから
床のタイルを交互に黒く塗ってる
隣に住んでるおじさんの泣く声が
ここまで聞こえてくる
(2006.6.1)
月のない夜に
おっぱいは光る
月のない
そして男のいない夜にだけ
おっぱいは光る
女たちは皆それを知っているが
男たちは知らない
男たちだけが知らない秘密は
おっぱいの
奥にある ....
あんこの煮かたをおそわった
美しい母のそばにうろついて
台所で遊んでいた幼い頃に
小豆はたかいから贅沢ですよ
ささげを茹でてつぶしたあとで
木綿のふきんで皮を濾し
大きなお鍋にお砂 ....
>>さて、ところで詩の余白ということに最初に着眼した方は1900年に活躍した詩人のマラルメさんらしいのです。
と前回「視覚詩と北園克衛 (と私の好きな視覚詩)について」の中で書いてからはや2ヶ月 ....
海岸に沿って並ぶテトラポットには無数のお
っぱいが隙間なく張り付いていて、朝凪の時
刻になるときゅぅるるるぅーとすすり泣くよ
うな音を立てる。声にすら成り切れていない
その音はまるで餓えた乳呑 ....
パパ
と呼ばれる片仮名の
透き、とおされた、Aの、欠片の
代名詞とは
呼ばないでください
ゆめゆめ
呼ばないでください
Aは意思を持ってパパとしてあります
それはパパです
パパは ....
さがしものをしているんです。
と
声をかけたのは
いつもベットに腰かけているはずの
小さなくまのぬいぐるみ。
話を聞くと
ひつじやぞうのぬいぐるみをかきわけ
布団の隅々
た ....
見慣れない肌の子供が立っていて
おまえは苦しんで死ぬと囁くものだから
そんなもの
首を絞めたっていいじゃないか
結局のところ
君たちは知らないんだ
君たちは知らずに転げる
転げている、ろ ....
雪が降って 真っ白になった。今年は 暖かな冬だといいのになぁ.。
いつもより遅い訪れ 根雪にはならなかった今日の日に ほっとするのは
わたしだけなのかな?
過ぎて行く日々に 寒さも 厳しさも迎え ....
前回の、視覚詩のお勉強の続きです。
○北園克衛の視覚詩
北園克衛は日本の視覚詩の先駆者で、ヨーロッパなどで視覚詩がさかんになったのと同じ時期に
(またはもっと前?北園克衛主催のモダニズム ....
おっぱいの先の
乳首は不思議だ
「乳首を見くびって」というフレーズを
産んだ男はスケベだ
いや、すべての男が
おっぱいばんざい!
ふくらみを持つ
女は不思議だ
ふくらみの先の
乳 ....
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