境目
たもつ

犬の耳がわたしを駄目にする
駄目になったわたしは
大きな桃になって歩く
途中遠回りして
家族に小さな菓子を買った
今日はかけっこで一等になった
娘は得意げに話してくれたが
何メートル走か聞くと
わからない
と首を振った
わたしと桃との境目で
妻は犬に餌をあげている
寒くないか声をかけた
わからない
と首を振った

(2006.6.12)


未詩・独白 境目 Copyright たもつ 2006-06-13 22:04:02
notebook Home 戻る