たくさんの鳥
そして少しの懐かしい人を乗せ
他に何も無いような空港から
飛行機は飛び去って行った
覚えていることと
忘れていないことは
常に等量ではない
夏の敷石の上で ....
こたえ、という
ことばそのものは
とてもかよわいものです
だからといって
あきらめたりはせず
突きつけることもせず
こころは、そう
並んでいけたなら
じゅうぶんだと思います ....
{引用=「序」
万華鏡に
甘い想い出だけを そっと詰めて
くるくるまわして のぞきこむ
金平糖のじゃれあうような
さらさらした音がはじけて
あまりの甘さに 歯を痛めて ....
おとうさん
ぼくが生まれたとき
祖父母が ぼくを溺愛し過ぎるから
「このままでは息子がダメになってしまう!」
と
滋賀県移住を本気で考えたそうやなぁ
もし ホンマに滋賀県に引っ越し ....
駅までの道を雨の中歩いていて
改札に入ろうと財布から定期券を出して手に持って
けれど指からすり抜けて濡れた道路に落としてしまって
だから拾おうと僕はしゃがんで
水の流れるアスファルトを爪で引っ ....
「観月橋」
せせらぎの音は
いつのまにか、ざあざあと鳴り
錆び付いた欄干が
しとどに濡れる紫陽花の、夜
ここには愛づる月もなく
ただ名ばかりの橋が
通わぬこころの代わりに、と ....
雨に濡れ紫陽花のため息ひとつ
思い出に指先染めて蛍草
ヒツジグサ夢の{ルビ水際=みぎわ}でまどろんで
ジャスミンの香りに偲ぶ「愛の通夜」
向日葵やひとり見送る日 ....
「アリュール」
{ルビ汚=けが}れならば五月雨川に流せりと誘ふその手は{ルビ梔子=くちなし}に似て
「ブラック」
黒髪に触れし指先奏づるは重なる肌のあつき旋律
....
鎖骨に君がいつまでもいて
消えてゆかない
朝が生まれ変わる度
君がいることを確かめて
私を何枚も脱ぎ捨てても
君はいたずらっこのように
チョコンと鎖骨にいる
白いサマー ....
夜の飛行場には
サヨナラが点在する
携帯電話のキーのような
小さな光の形をして
滑走路を疾走するもの
引き離されるもの
雲に呑まれるもの
星になるもの
僕らの住む街 ....
「いつか奇跡」
霧雨の向こうに遠い日の日記 差し出した手が迷い濡れてく
影送り透けて遠のく僕たちの眩ばゆいほどにピュアな夏の日
吹くはずのない甘い ....
一期一会
だなんて、ことばでは語りきれない
こんなデジタルの時代だからこそ
0と1の狭間にあるものを
あなたに伝えたい
それは
感動に震える心臓の鼓動であり
汗ばんでしまった掌の ....
おもてはどこですか
みぎは
ひだりは
うらがわは
問いかけるほど
しずかになるから
物言わずには
いられない
すぐにも
あしたは来るけれど
ちいさな点 ....
プロフィール読んだら
すごく嫌いなタイプだけれど
言葉の使い方が上手いんで
ポイントあげます
いままで
まったく
こっちの作品には
ポイントを入れてくれてないけれど
描かれてる情景 ....
五月のかぜを渡るとき
遠いひかりは
よみがえる
あおたちの名の
車輪のなかで
一斉に
いま
みどりはかえる
日にかわる
かじかむばかりの
指だったのに
いつ ....
生まれて
しまった後ならば、
二度と
生まれて
いけないだろうかと、
ひとりごとだけ
生んでみる
いくつになっても
守られるから、
さびしさは
無くならない
幼なじみ ....
誰かを好きになって
結婚して
こどもを産んで
ごく自然ななりゆき
なんだけど
それを人間らしさと言えるのだろうか
赤ちゃんを抱いた
お母さん
しあわせそうに見えるけど
割 ....
昨日もまた
日めくりの暦が一枚消え
昨日を生きた言葉たちが
静かに眠る
昨日一番生きた言葉は
空だった
そこには故郷がいた
忘れていた思い出が
空の中に浮かんでいた
みんな幸せそ ....
携帯はコンパクトに似ている
電車のなかで
そして街角にたたずみ
見つめる先に映っているのは
わたしであったり
わたしの知らないわたしだったり
お気に入りに登録した
サイトを巡る
....
いい子ねえ、って
大人からいつも
あたまをなでられていたから
ぼくはおおきくなれなかったんだ
と、いって
そらちゃんは笑う
海のみえるブランコが
そらちゃんのなき ....
地獄の沙汰どころか
こうやって生きているときから
と
あの人は言った
ひとと獣の違い
それは
困ったときに
頼れるものがあるかないか
思いとか信じるとかのことなの
そう尋 ....
重ねあう肌のあたたかさに
見いだそうとするもの
胸の奥に秘めるもの
真新しかったスーツに
シワもめだってきて
某寂無人のかかとに踏まれた
つま先が疼く
こんなはずじゃなかった ....
夜の公園の上 ブカブカ 猫が歩いていく
君がハジく指の 音に合わせて
お月さんの前を 猫が横切る
キレイな口笛 BGMに
君を想うと 頭の中
「君が好きだ」「君が好きだ」で いっぱい ....
ねえ、ねえ、ねえ、
ねえってば
こんな感じに甘えたのは
あなただけ
生きることの大切さと
初夏の清清しさを教えてくれた
忘れられない優しい笑顔
こねこのように
ベッドの ....
大きな葉の下から
そっと空を見上げると
とても薄い緑色が輝いている
そろそろ夏が生まれる
風が吹くと
きららとした緑色は
暗くなるけれど
遠くで流れている川の水のように
他の場所で光り ....
擦り切れている背表紙を
後生大事に持ち歩く
付箋に躓くことを繰り返してしまった
左手には一束のシャレード
紐解いている間に
夏の森は
微笑や涙やトキメキを頬張って
色彩を奏ではじめて ....
焼けていくその空は
思ったより高くなかった
天に伸ばした手が燃え染まる
風が私と空をつなぎ
とけていく境界線
明け方の雨が露のごとく
草にとどまっている
匂い立つ今 ....
夜の、
雨の、
それぞれのゆくえを
ひと色に染めて
あかりは桜色
煙る雨の甘さ、
舞う花びらの温み、
絡めた指が
やさしさを紐解く
夜に、
雨に、
焦がれる桜
時計の針 ....
空の、あまりの青さが
出逢った日と同じ色をしていたから
なんだか違和感を覚えてしまって
それを誤魔化すように
むきになって笑ってみた
ここは夜景もいいけれど
飾り気のない素顔の街が見え ....
風のなかに
釣り糸を垂らしている
それはおぼろげとなってしまった古い
記憶をせめて呼び醒ますよすがではなく
かなしい決意でも無邪気な思いつきでも
その日の飢えをしのぐための
投げやりな衝 ....
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