すべてのおすすめ
沈んだ心 深い深い海の
底の方から引き揚げて
二度と沈んでしまわぬようにと
浮き輪をつけて海に逃がした
いつから変わってしまった
すっかり影を落として寂しげに漂う姿
何度も何度も見かけ ....
近所の用水路で小さな魚を捕まえた
家にあった水槽に放し
部屋の日当たりの一番良いところに置いた
魚は黒く細っこくて
その頃のわたしは
なんとなくまだ幼かった
+
....
綱わたりをしていると
月がきれいだったので
僕はまっさかさまに落ちていった
形の良い吉川くんがそれを見ていて
僕らはレンガ遊びを続けた
吉川くんはレンガをちゃんと地面に積んで ....
涙をふいてください。
あなたの長い髪を、
ハンカチがわりに、
少女がするように。
お願いだから、
涙をふいてください。
わたしの心臓のために。
私はあなたにキスをする。
私はあなた ....
(一)
「ぴーちゃん、ぴーちゃん
トイレってどこなのぉ」
河原の石をひっくり返しては
何やら探していた
まーちゃんが突然立ち上がったと思ったら
おいらの元へ駆け寄ってきた
こ ....
さようなら を
言ったつもりで
悲劇のヒロイン
ぶって気取って
あたしの物語きれいに
幕がおりたはずだけど
ほんとは ね
誰よりも
続きを望んで
....
分からないことが
きみの
口に
つめこめれて、むきだしにされた
まま、きみは運ばれていった、
夜には、
わたしの口に、きみの死が
押し込められて、
何もできないということの ....
1
私がただ、
眩しくて手をのばすなら、
日の当たる場所に、
古く乾いた存在があってほしい。
美しく光る埃が、
波の気を引く、
ときめくような、
昨日のプレゼント。
ビーチでスキ ....
父の見舞いに行くと言って家を出た
船橋までの直通の快速に乗ったのに
途中千葉駅で降りて映画を見た
アメリカのアクションものだった
無責任に人が死んでいくのが嬉しかった
夏の終わ ....
架空のサボテンの花が、
わたしの目の輝きの、
十分の一を、
忘れ去られた、
灰色の波にぶつけている。
雪が降る、暗黒の谷を歩く。
錠剤のような愛に、
わたしの膝は震えている。
キッ ....
満員電車に乗って
家を買いに行く
途中、西洋タンポポが
みんな咲いてて
僕はそっと
保安林を抜けたのだった
その先には
どいつもこいつもの風が吹き
ふざけんなの雨が降り
....
メスで線をいれた
ような
泣きはらしたあとの
あの目がいい
かつらゆみ民族衣装
コレクションに
使われてた
マネキンの
あの鼻がいい
しゃべったら
台無し
....
僕は1999年だった。
小学校2年生だった。
校長先生は児童たちを校庭に集めて朝会を始た。
校長が教頭から拡声器を受け取り、話を始めようとした瞬間
拡声器からベトベトの汁が溢れ出した。
....
窓辺の四角い夜に うなだれた手をかざすと
しずかに風は
終わりの夏を打ちつけてくる
部屋中を駆け巡る息づかいは
いつもそこに置き忘れてあるから
死をつつましく夢の先に灯して
ただ耳を ....
砂に埋もれ
沈みそうに生きて
手の届く範囲の幸せを
ただただ全うする
あたりまえに生きることが
どうして
美しくないと
思っていたのだろう
みんなの中に居るか
「だれ ....
音の闇があり
むらさきがあり
白い泡を染め
闇を抜ける
夜の会話が屋根を歩き
窓から入り
まばたきに驚き
再び出てゆく
夜に咲く花と脇道
小さく手を振る気 ....
気づいたときには、わたしが
わたしという輪郭に 縫いしろを足して
日常から切りとられていた
景色はいつも、ひどく透明なので
ふりかえっても もう
戻るべき箇所を、確かめることができない ....
ぴらんぴらん
ちらんちらん
きらんきらん
ガラスの
ちいさな
鐘の音。
暗がりに線の生きものがいて
音を切る円を描きながら
向かいあい 抱きあい
離れてゆく
陽の鱗が
じっとしている
割れてはそそぎ
鏡を反す
水音に挟ま ....
{画像=080717222808.jpg}
ぼくは所在なく佇む
夜が好きだ
そんなとき
梅雨の終わりの
雨が降っているのもいい
屋根を打つ雨の音
軒を伝う流れの音
樋を落ちる水の音 ....
いつものことだが
ノートの一ページ目は
かなり緊張してしまう
まだなにも記されていない白紙に
私のような人が
はじめに記していいのか
朝の雪景色のときと
どこか似ている
あるい ....
羊とシーソー遊びをすると
いつも重い方が沈みました
両方が沈まないでいるのは
とても難しいことでした
わたしはまだ
言葉をよく知らなかったのです
+
眠れないとき ....
6本目の指が
映っていないじゃないか
いつもその指で
現実と幻想の結び目を
引き寄せているのに
鎖骨のあたりの鰓が
映っていないじゃないか
いつもその鰓で
言葉にならないガラク ....
待たされすぎた過ちが
無風のなかをざわめいている
低く、
そらへと
這いだす者を
あやぶむ声はいつも、高い
わかれたはずの
軌道の彼方、
もっとも遠 ....
あらゆるまがりかどの公園の
無人のブランコ
ばかみたいにゴミ箱の中身はちらかったまま
カラスが群れる
夜道切り分けて曇り空は進む
ガラス窓が割れて
流線型で情報が流れ込んでくる
ひき ....
まー、よくあることでさー、
男と女が付き合う前に何かでっかい事件が起こるわけよ。
家出とかオールとか、特に夏。
クソみたいなJポップにありがちじゃない
サビの前で全楽器に黙らせて急に叫ばせる、 ....
正しいとかは、くだらない事で
言い出すのも恥ずかしいんだけれど
いわゆる、群れの空気みたいなもんだよね。
いや、解るんだよ?
あ、解らないかな・・・
例えば・・・
そうだね、僕はその ....
葉に翳る白桃の
香に透き通る憂い
青く伸びやかに
移ろう若き眼よ
白墨の粉に指を染め
唇は今日も弛緩する
午睡の夢に残り
紙の切れ端に
忘れんとする戸惑い
まだ熟れぬ実よ ....
アスファルトを背に仰向けに倒れると
まだじんわりと残る太陽の熱が掌へと伝播して
ざらついた小石が髪に纏わりついた
熱の匂いは潮の香り。
地平線を越えた先の白熱灯が
曇天の端を赤紫の薄闇に色づ ....
手探りで歩くことの恐怖が
大いなる躍動に変わるとき
広々とした都会の中でも
絡めとられてしまいそうな木々の中でも
辿り着きたい場所というものが
現実には存在しないくせに
まぶたに浮かぶ ....
1 2 3 4 5