すべてのおすすめ
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おれはたったいま、ビル風に吹かれた一枚のスリップを眺めている ここは小さなアパートメントの最上階 地上ではひとりの男が戦闘機めがけてジャンプしている 声はここにない 中枢都市 ....
二〇一五年七月一日 「I made it。」
あ
かるい
ステップで
歩こう
あ
かるい
ステップで
歩くんだ
もう参考書なんか
いらない
問題集も
捨てて ....
……おいで……、……オイデ……たたたたたっ、
ざ……オイデ、……おいで……、
だれ、
そうして目を、覚ました、厭わしい、あんなにハラリと逝くことができたのに。
よく仲間とし ....
二〇一五年六月一日 「こころに明かりが灯る」
以前、付き合ってた子が遊びにきてくれて、二人でDVD見たり、音楽聴いたりしてた。世界いち、かわいい顔だと、きょうも言った。「きっと、一週間 ....
こころはなんて無様なんだろう
夕方になってようやく一息つけるなんて
ぼくはとんでもないろくでなしだ
みんなが活動してるときになんにもしてやしない
たしかに詩というものを以前よりはちゃんと考 ....
今宵、
白い部屋に
在るもの在るもの
自らの輪郭を鮮明にして浮き立ち
回流する澄み切った夜の空気に
すっかり馴染んで留まっている
横たわっている私もまた寛ぎ
在るものたちと繋がり合う、
....
{引用=冬。
暦には雪の結晶、六角形の季節。
生まれくる雲には水色の涙袋。かなしい。
常緑のもの、それだけが空にたくましい。
石炭紀の繁茂の俤、梢にチラつく褶曲地層のまぼろし。
空気 ....
薄暗い
漠然と広がった
空間のなか
台形の
ノッペリとした
大人の背丈半分程の
鉛色の工作機械が
等間隔で何台も
一列に並べられている
大きな金属音があちこちから
互いに呼応す ....
靴の甲のあたりの高さにもなれない、小さく目立たない花が板塀の脚に沿って群生している、昨夜遅くの雨でそいつらはテレビコマーシャルのように粒の小さい光を跳ねている、板塀はところどころ破れていて、それは ....
よく知らないまま
パンダの{ルビ星星=せいせい}のぬいぐるみが届く
朝の番組で
こどもにも大人にも人気らしい
開封し即おもった
「ちっさ」
でもぬいぐるみって大きいの高いし
ギリだよなこ ....
もののあはれとはそれは
風の包帯
先だつ批判をやわらにつつみ
まるで
{ルビ苫屋=とまや}に吸われるもんしろ蝶
ひなたの蜥蜴
春の
ことぶれとも
僕はゾーキーヌ
でも生まれた時は
タウォールという名だった
それがここにやって来て
しばらく経ったら
ダイーフキーと言われ始め
そして今の名前に
いつしか変わったのさ
耳にした ....
鎖で繋がれた折りたたみ自転車(通称キュキュ)を
散歩につれていったアトー
どこか遠くの外国の人のような名前
でもれっきとした日本人
キュキュは電信柱におしっこを引っ掛け
ほかの自転車にううう ....
今、生をうける。
今、そのかろく、うつくしくもあるアポトーシスの進行形。
れっとう意識から発せられたものでなくして、
垂直な風の歌
お前はそれを、いつ問うだろう。
この倫理のなにかも ....
二〇一五年五月一日 「HとI」
アルファベットの順番に感心する。Hの横にIがあるのだ。90度回転させただけじゃないか。エッチの横に愛があるとも読める。もちろん、Iの横にHがあるとも、愛の横 ....
{引用=あるものがそのものの底をいっかい弾き、とびあがりじぶんや何者かのもとへ訪ねてくることをかんがえていましたが、それはちがったかんがえでした。だってあらゆるのものが、いったんそのものの底を弾いた歌 ....
1.春霞
まだ見ぬ窓は
美しいだけで意味を含まない
詩集のようでした
干からびた紅茶のつじつまが合うころ
存在はただ
うすぼんやりとした夕暮れをむかえ
ときに遠ざけたいほど臭かっ ....
二〇一五年四月一日 「少年はハーモニカの音が好きだと言った。」
これは、『ゲイ・ポエムズ』に収録した『陽の埋葬』の一つに書いた少年の言葉だった。ぼくがまだ20代だったころの話だ。なんで思い出し ....
月の灯り陽の光り
誰もいない銀の馬車
不幸など誰が予測できるだろう
誰も予測できないから不幸ではないのか
あの人たちも
傍らで見覚えのない家族が啜り泣いている
....
二〇一四年七月一日 「マクドナルド」
けさ、近所の西大路五条のマクドナルドのカウンター席で、かわいいなと思った男の子に、ぼくの名前と携帯の電話番号を書いた紙を手渡したら、大きく目を見開かれてし ....
鼻が詰まる季節にはガソリンに気をつけなさい
「こ、この腕、ぃ一本、ぉおいくらでしょうか」?
宣伝(CM)の前には障害のある子にそう言わせている
これが世間的には欲望の話題の対象に ....
二〇一四年六月一日 「偶然」
あさ、仕事に行くために駅に向かう途中、目の隅で、何か動くものがあった。歩く速さを落として目をやると、飲食店の店先で、電信柱の横に廃棄されたゴミ袋の、結ばれていたは ....
みさめがふりつづけばつちはながされて
わたしがうまれた
由来から植物は埋もれ酵素も分解されて
腐食の生きものたちがはみ出してくる ....
どうぞよろしく
この空をただしさが覆いつくし
こまかい罪のすみずみまでがあかるくされ
わたしは死ぬ あなたも死ぬ
ねずみも くまも うさぎたちも 間違いなく死んでいく
さいごにはみずうみ ....
火を盗ってきたから
ここで炎が燃えているのだと
プロメーテウスは言うのだけれど
プロメーテウスはおバカさんだから
火から離れて星を見ている
もちろん星はたいてい火なのだけれど
そうじゃ ....
小さな町の小さな家に
のっぽの君は生きていて
きゅうくつそうなテーブルで
ゆっくりポトフを食べている
小さな皿で二三杯
食べ終えると
君は背中を丸めて天井を見上げる
朝日の町の朝日の ....
ライオンの世界は過酷だぜ
縄張り争いに負けたら
勝った雄に
子供なんかみんな食われちゃうんだってよ!
千尋の谷どころの騒ぎじゃないぜ
雄同士の闘いも
キンタマに噛みついたりさ
背骨噛 ....
1 ある青年
この強力なバーナーから騰がる炎の熱を蓄えた
おおきな{ルビ布袋=ふたい}で空にのぼるのだ
「トーキョーだかニッポンだか知りませんが
ぼくには十世紀まえの遺跡です」
点在 ....
虎がくすくす笑って居るので
児童に英語をうまく教えられない
私の心は二兎を追って
天空へと翔けて行く
鳩が中々飛び立たないので
やはり英語をうまく教えられない
私は仕事の面接を二本予約して ....
「皆既月食です」とテレビの音がして
おやすみなさいを跳ね返す
賞味期限が切れた豆腐を
日付通りの零時に捨てた
ピンクのキティサンダル脱ぎ捨てて
前髪をちょんまげにした女が
冷蔵庫を覗き ....
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