夏の夜/花のゆくえ
佐東

わた飴を頬ばる
浴衣の肩越しで
はちみつ色に ほころぶ
花のゆくえを
やさしく見つめている


ラムネ壜の底で
眠っている夏を
起こさないように
そっと
指をつなぐ
きみの輪郭に沿いながら


去年の夏
燃えつきた
線香花火の赤い珠
這いあがって
ちらして
花の いのち

(今年は また
 ちがう花が
 流れてゆきますね)

見送るように
ふりむいた
視線の さき
一本の川の流れを
飛び越せないでいる
あおい星を
掴もうとする
拙い指さき






自由詩 夏の夜/花のゆくえ Copyright 佐東 2013-07-27 22:42:03
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