日の丸に敬礼
オイタル

穏やかな秋の一日
その暮れ方 テレビ越しに眼を凝らして
日の丸に敬礼
しようとしたときに 虫が
灰色の繊毛の生えた虫が 少女のお下げの髪に虫が
這っている こんなこともあるものか
それを払い取って
日の丸に敬礼
しようとしたときに風が 吹いてきて
旗をふるわせているのは
青空か 黒い壁か
徐々に沈みゆく心 その沈みを払って
日の丸に敬礼
しないうちに山の頂の
あたりに雲のにごった切れはしを漂わせる 空
日の丸に敬礼
したくとも したくなくとも 秋の暮
うろうろと あちらこちらを 見ているうちに
日の丸に最敬礼
しようとしている 秋の暮
品の○に最敬礼
そしても一度


自由詩 日の丸に敬礼 Copyright オイタル 2011-10-08 20:14:17
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