それでも生きている
ぽえむ君

これから向かう家庭教師先の
国語のテキストを
電車の中で読んでいた

その内容はあまりにも悲しかった

戦争で両親を失い
家もなく食べるものも満足いかない
それでも生きようとする
子どもの話だった

自分が受け持たされた生徒に
あいさつをする
「こんにちは」
「うん」
「宿題はやったの?」
「わかんない」
「前回のノートは見たの?」
「知らない」
「そんなんじゃテストやばいだろ」
「そうなの?」
これはいつもの会話だった

夏休みは夏期講習と称して
何十万もかけて授業を行なう
もちろん親の判断と意志だった

生徒は自分がさっき読んだ物語を
見始めた

その光景はあまりにも悲しかった


自由詩 それでも生きている Copyright ぽえむ君 2007-07-17 23:07:11
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