線が、みえました
線が、みえていました
「ここからはいらないでね」
そう
いつでも
めにみえないかなしみ、というやつは
そこら
ここらに
ころがっています
....
飛ぶ鳥はとても軽いのだということを
わたしはときどき忘れる
飛ぶために鳥が捨て去ったものの重さを
わたしはときどき忘れる
鳥の骨は細く軽く
すきまだらけで脆いということを
150kg超 ....
タイトルに「あなた」なんて使って気恥ずかしいのですが、
なんかそういう気分なので(笑)。
さて。
蘭の会(http://www.orchidclub.net/)の「ふみばこ」というコーナーに ....
ちいさな姉さんたちが
あぜ道を鮮やかに歩いていく
カモミールとか
ベルガモットだとか
とても香りの良い会話をしながら
ちいさな光る粒を落とし
それを知らずに踏んでしまうと
しばらくの間、 ....
泣いた日
左手が動かなくなった日
ボケットに突っ込んだ手を
先生に注意され
からかわれた手と
庇われたことが恥ずかしくて
泣かされた日
泣かされた日
いつも庇ってくれてた友達が触っ ....
身辺整理は着々と進んでいるのに
心の整理はつかないまま
あなたの言葉は
やさしく
残酷だ
身辺整理が着々と進んでいる中
今頃やっと気がついた
あなたの言葉は
額の中に向けて ....
きのう
生きている友に手紙を書いた
行かなかったけれど
忘れたわけではないと
きょうは異常乾燥注意報が出ていて
どこかの土手が延焼したと
広報が単調に喋っている
どうせ誰かが消す ....
打ち出でてみればそこは青く
ウミネコが謳い白く泡だつにぎやかなオモテだ
楽園だなあと思うオレ
「ようっ」と挨拶交わしてくれるじゃないか
嬉しいじゃないか楽しいじゃないか
....
物語は
いつからはじまったのだろう
あれは遥かふたばの記憶
いろおにの
むらさきが見つからなくて
忍びよる気配に耐え切れず
かさぶたに触れた、指先
―――ふるえていたのだ
―― ....
遠くから
貨物列車の轍の音が響き
耳元まで包まった毛布の温もりは
夜への抵抗を諦める
暦が弥生を告げて
色づき始めている、
翡翠を纏った木々の芽吹きを
さくらいろの気配を
止めたい ....
見たものを
すべて
心の中に閉じ込めて
持って行きたい
今夜
それなのに
掌に掬った水のように
うわずった声が
後から後から
唇からこぼれては
二度と取り戻せない
だ ....
そんなふうに
春が眠り 寝息が聞こえて
やすらって いたなら
霞むんだ
高雲の桜色の空に やってきた
風にほんのりと
春の靄は大きな体を
この地にあずけきって
眠っている
....
もう、
どこからどこまでが地図だったかなんて
関係なくなって
美しいことをいうよ
きみはきみで
ごらん、
すれ違う人々の両手には、何か
約束のようなものがぶら下がっているね
....
わたしの影は揺れながら
誰も知らない夜道を歩く
永遠に追いつかない
「 一人前 」に向かって
ああ
いくつもの候補があったよ
さくらとか、みかんとか、まりんとか
植物や風景が多かったかな
もう生まれてくる季節なんか
どうでもよくってね
まろんとか、こなつとか、みさきとか
次々 ....
じょうずに結えない髪の、かきわけたその奥に、
海が広がっている
黒い底は伸びて、光を吸いこんでいる
あなたがその闇へと、手をのばしては
救おうとする影を
あてずっぽうに踏んで、遊ぶ
....
夢の中に落とし物をした日の朝
猫になっていた
仕方がないので
夫を会社に送り出してから
家事は明日にしようと決め
日向ぼっこをして過ごし
夜になったので眠った
明日はせめて、猿になりたい ....
「ねえ、良いだろ?」
何が良いんだかと思いつつ
とりあえず
あなたの左腕にしがみついてみる
押し付けた胸のふくらみに気づいたらしく
慌てふためく様子が可笑しくて
かまととだとか ....
「 もしもし 」
犯人「 おまえのとこの息子は預かった。返して欲しくば2000万円用意しろ! 」
{引用=
(イタズラ電話か?! もしかしたら誰かに試されてるのか? 誘拐ネタか とりあえず ....
あなたが美しすぎるから 僕らは狂ってしまう
時間も距離も歪んで 上手に掴めなくなってる
錆びないセンス ステンレス
たまたま言霊 手玉に取って
夢を見てるだけでしょう
わかってて ....
{引用=からだのすべてを耳にしてしまいたい、いっそ}
糸電話から伝わった振動が、
あのひとの声だったと気づいたときには、もう
音もなく、底はふるえない
わたしを塞いでいく夜にも ....
公園でパンを
食べていると
Justiceと書かれた
Tシャツを着た
欧米の人に叱られた
大地にパン屑が
こぼれているじゃないかと
顔を真っ赤にした
欧米の人に叱られた
夕方 ....
くしゃみをひとつする、と
私たちは地球儀から滑落して空に溺れる
あの日グラウンドから送った影は
手をつないだまま鉄塔に引っかかっていて
捨てられたビニールのレインコートのようだった
バス ....
正気を失いながら、それでも
わたしたちは、生まれてしまうのだろう
何度も、何度も、
そしてほんとうは
一度だって、死んだことはなかったのだと
臨終のそのときに、知るのだろう
....
風になり、花になり
ずっとそばで―――
今日は街に雪が積もって
めったにないことだとニュースでも騒いでいました
わたしはそのことが少しばかり怖くて
あなたの手を握ったのです
やわらかく ....
一秒ごとに
とどまる
時間が
抜殻として
輪郭を残し
なだらかに
連なる
呼吸と
思考
いくつかは保たれ
いくつかは置かれたまま
ふりむけば
うすい
半透明の
殻が ....
何かの手違いで
一緒に暮らすことになった
隣の奥さんは
はじめとても戸惑ってたのに
奥さんがベッド
僕がソファ
と決めてから
少しずつ話すようになった
そのほとんどが
旦那さんの ....
ルーズな踝はいつのまにか姿を消し
タイトな紺色が街を闊歩する
こんな横並びを欲する時代だからこそ
曖昧なままでは許されないと言わんばかりに
膝上近くまで引き上げられた紺色に感じる息苦しさと ....
ひとつひとつに
名前なんてなかった
きみだけが知っていた
美しい世界
神さま
ねえだから
きみは神さま
みんながうまれたときに
さいしょに泣いてくれたのは
きみだったな
あわくする ....
さよなら
風に揺れるぶらんこ
さよなら
公営団地の高圧線
さよなら
クレヨンで描いた
お月さま
さよなら
風にのるシャボン玉
さよなら
水色した幼い約束 ....
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