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携帯電話から母が出てきて
べつになんでもないんだけどさ、と
なんでもないことをしゃべり始めた
この「なんでもないこと」というのは
父が発明家になってしまって
サラリーマンのほうが都合が良いの ....
かあさんに あかりをあげたい

めくらになってしまう かあさんに

あかりが そこにあるかないか だけは しっている

盲人になってしまう かあさんに



わたしは
 ....
胸のいたみに身をまかせ

予感のまえで肘をさすった

空がこどくを叫んでいる

あたらしい緑が燃えている

だっくだっくと坂を下る

つないでいるのは骨だった


 春にむか ....
ピーヒャーラ、ピ
ピーヒャーラ、ピ

日曜の昼下がり
買い物客で賑わうアーケードに
音のないマーチが響く

ピーヒャーラ、ピーヒャーラ

通りの真ん中に
立ち現れる
 ....
凍えてる
なんて
いいわけを隠して
プールサイドに
埋めた
水草の気持ち

僕の
好きだったもの
すべて
きみに見せられない
夜が
こないことに
なんの疑問もないなら
朝に ....
世の中には支えるひとと
支えられるひとがいる

支えるひとは暗い海に胸元まで浸かり
力の限り支え続け

次々と押し寄せる荒波に揉まれては
やがて力尽き海の藻屑と消える

支え続ければ ....
囚われる
囚われる
今 あなたに囚われている。


囚われている
囚われている
あなたのやさしい瞳に魅せられて。


あなたの希望はなに?
自分のしあわせ?
それとも、わ ....
人にたどり着くまで
僕はいったい
何億年待つだろう

その田舎町に生まれるまで
僕はどうして
生きながらえることだろう

生まれてもないのに
生きてきた
時があったんだろうか ....
16のころ読んだ

大江健三郎の小説を

古本屋で文庫で百円で買った

道を渡った喫茶店で

39の俺が読んだ・・・


墜落する物体を見る興奮

幻のように確かな手触り
 ....
 
遺影のある家に行くと
線香の良い匂いがして
羊羹を一口食べた
奥さんがずっと昔からのように
右手で左手を触っている
側では子どもたちがわたしの名前を知っているので
窓から外を見ると
 ....
ゴミ箱を作ったので
いらないものを捨てた
だけど、ゴミ箱はまだ満足していなかった
仕方がないので
最近、増えすぎて
持ちきれなくなった不安を捨てた
ゴミ箱は少し満足したようだった
その日 ....
あなたはいつも
わたしの
開かれた窓でした
そこにはいつも
新鮮な空気が流れていて
清潔な水色の空とつながっている

たとえばそれは
岬の草はらの淡いスケッチで
たとえばそれは
ガ ....
屹立した断崖に守られた
小さな浜である

波は平たく伸びて
漂着したものたちの空ろを
静かに洗う

持参した
小瓶のコルクをひねると
砂つぶのような詩がこぼれて
波にさらわれてゆく ....
好きとか嫌いとか
そのような感情と同じ速度で
五月の空はわたしのこころを蝕んでゆく

そして陽射しに揺れる葉桜が
散り行く先など知る縁も無いように
他者への憎しみを
こころの襞奥に抱え込 ....
街なかで白い小鳥を配っていた
籠に入ったたくさんの小鳥を
小鳥配りの人が要領良く配っていく
受け取らないつもりでいたのに
いざ目の前に出されると受け取ってしまう
わたしが手に取ると
それは ....
毒林檎を食べて死ななかった 白雪姫がいるように

姫というヤツは、毒より強い

ケダモノとクダモノとで できている

動脈と静脈みたいに 

ケダモノとクダモノが

体の ....
雨の中に鯉のぼりがいて
彼らは空を飛ぶことしか知らない
だけど、濡れた体を揺らしてみると
遠い昔を思い出したみたいだった
青い空を飛ぶよりも
うんとなめらかに飛んでいた


***
 ....
青い鳥は疾走する
ひとたび潜水しても その翼は 微塵も濡れず
ふたたび空に現れたとき その飛沫に 虹ができる
その飛翔は光のように速い

わたしはいつも
わたしの心の一番たかいと ....
ふらふらと 
京都から帰ってきた
 

またウイスキーを一瓶、
一気に飲み干して 

そうだな 
俺は俺を殺したいのだと思う 

今はそんな夜 


また見たいな ....
おでことおでこをくっつけて
君と春のうたた寝
寝息が波のように遠ざかり
いつしか君は夢の中
匂うような春はこんなふうに
小さな子供に戻って
やさしい眠りに包まれていたい
そっとそっとゆら ....
また、この季節がきたよ
ながかったねぇ
ぼくたち
 
華やいで
きみ 
咲いているよ 

あの花は 
すべてを忘れろっていうように 
咲いて、風に流れているんだ 

 ....
しずけさって つめたいいろ

… ひんやりしたおと

ぽつんとたった まっすぐみた

なんにもない




ゆるやかな こどうだけが

… ひびいてきえて ....
桜舞う水底に佇む魚
たゆたうひとひらを
尾鰭で弾く

開ききった瞳孔で
仰ぐ空は
こみあげる白一色

こぽり、泡が漏れる
どこからか
漏れ続けている

ゆるい水流にもたれれば
 ....
拡散する意識のなかで
三月の
浅すぎる海底に揺れている

季節は傾きながらも
横滑ることなく
白い軌跡を轢いてゆく

街路樹の切り口に
ひたり、しみ込む優しさ
僕はきっと
臆病な ....
学生たちが
そこここに円くあつまって
華やいでいる
どうしたら
あんなふうに笑えただろう
そういえば、もう
何年も卒業していない

花壇のすみで
孤立無援だった球根さえ
新しい黄緑 ....
春、という実感もないまま
海を泳ぐ
わずかに持ちあがった
二の腕から滴る光に
戸惑う
掻き寄せるものは
どれも曖昧な痛みばかりで

だいじょうぶ、と
支える声は
生え変わったばかり ....
なくした言葉がいくつかあって 
それを、また 
見つけだすのにあたふたなんかして 

正しい言葉 
わからないんだ 
ぼくは 


言葉は無力だと知っていて 
それで ....
シギ シギ
森へ行こうよ
春の夜明けに
紅い三日月が出たよ

たくさんのアゲハ蝶が
群れをなして舞い踊る
あの草原へ行こうよ

森を抜けたらもうそこだ
あの貴婦人に会いに行くよ
 ....
ねぇ、死んじゃったら 
なにも見れなくなるんだよね? 
なにも伝えられなくなっちゃうんだよね? 

そこには、なにもなくなっちゃうの? 
なにも残らないの? 
天国にいくの?   ....
物語は
いつからはじまったのだろう
あれは遥かふたばの記憶

いろおにの
むらさきが見つからなくて
忍びよる気配に耐え切れず
かさぶたに触れた、指先

―――ふるえていたのだ
―― ....
シュガー・ソレイユさんの自由詩おすすめリスト(232)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
母の声が鼓膜に残った話- 小原あき自由詩16*08-5-29
不自由な健常者- るるりら自由詩9*08-5-27
バベル- 吉岡ペペ ...自由詩808-5-26
アーケード街のマーチ- 六九郎自由詩2*08-5-26
泳ぎ方のなげやりさ- 山安さぶ ...自由詩608-5-26
支えるひと- 恋月 ぴ ...自由詩28*08-5-25
あなたの花- はるこ自由詩208-5-24
人にたどり着くまで- 小川 葉自由詩208-5-23
幻のように確かな手触り- 吉岡ペペ ...自由詩708-5-23
遺影のある家- たもつ自由詩1908-5-23
ゴミ箱- 小原あき自由詩32*08-5-23
あなたという風景- 佐野権太自由詩22*08-5-22
波葬- 佐野権太自由詩12*08-5-21
五月のひと- 恋月 ぴ ...自由詩34*08-5-19
できごと- 小原あき自由詩34*08-5-17
野薔薇- るるりら自由詩9*08-5-12
五月(さつき)- 小原あき自由詩13*08-5-6
呼吸する椅子- るるりら自由詩11*08-5-5
じゃあ、また- わら自由詩22*08-4-28
春は夢の中- 未有花自由詩12*08-4-18
ひより- わら自由詩26*08-4-7
さくら- caleha自由詩608-4-6
魚眼- 佐野権太自由詩12*08-4-3
ささやき- 佐野権太自由詩10*08-3-31
春の準備体操- 佐野権太自由詩10*08-3-28
春のクロール- 佐野権太自由詩22*08-3-26
返信- わら自由詩35*08-3-18
シギ- 未有花自由詩13*08-3-11
こころ- わら自由詩15+*08-3-7
うねる、時のゆくえ- 佐野権太自由詩10*08-3-4

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